第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2008年7月5日 

『交響曲 第7番 ロ短調』D.759《未完成交響曲》

作曲/フランツ・シューベルト(1797-1828)

「冬の旅」「白鳥の歌」など歌曲の王として知られるシューベルトの曲の魅力は、第一にその美しい旋律にある。世に数ある交響曲の中でこの「未完成交響曲」が特に頻繁に演奏される理由も、この点にあるといえる。

「未完成交響曲」は作曲者が25歳の時2楽章まで完成され、第3楽章は一部スケッチが残っている。なぜ未完成のまま放棄されたのか真相は不明だが、これも曲の魅力の1つとなっている。

シューベルトはわずか31歳でこの世を去り、この曲が初演されたのはその37年後である。以来、世界中で演奏され続けている。

第1楽章、ソナタ形式。低弦楽器による序奏に続き、オーボエとクラリネットが第1主題を、チェロが第2主題を奏でる。静寂と高揚を繰返す情熱的な展開部の後、再現部となる。

第2楽章、2部形式。ホルンとファゴットで始まる第2楽章は、比類ない美しさに溢れている。
(Bn. M.K.)

『交響曲 第4番 変ホ長調』《ロマンティック》(ノヴァーク版第2稿)

作曲/アントン・ブルックナー(1824-1896)

ブルックナーは19世紀ドイツを代表する交響曲作家であり、彼の9曲の交響曲(習作時代の2曲を含めれば11曲)は近年、我国でも頻繁に演奏されるようになり、一時のブームは去ったとはいえ今でも根強い人気を博している。

特にこの第4番は唯一ブルックナーの交響曲の中で”ロマンティック”というタイトルが付いていて、どちらかといえば取っ付きのあまり良くないブルックナーの交響曲の中では最もポピュラーであり、内容的にも標題の意味する箇所もいくつかあり、ブルックナー入門には打ってつけと言っても良いかもしれない。但しフィナーレ(第4楽章)は標題のイメージとはかなり懸け離れる。

ブルックナーで一番問題になるのは、自分の作品に複数の『稿』が存在することである。この交響曲も例外ではなく、今日演奏されるのは第2稿と呼ばれるもので、ブルックナーが後年、初稿を改訂したものである。現在ではこの第2稿を取り上げる指揮者が大半のようである。

第1楽章、霧のような弦のトレモロにのって、ホルンによってこの交響曲の最も重要な主題が提示される。しだいに音の生成が始まり巨大な音楽へと発展する。

第2楽章、ほの暗いメランコリーとファンタジーに満たされた音楽である。冒頭の主題はチェロによって歌われる。

第3楽章、「狩り」のスケルツォ。3拍子のトリオは、作曲者の説明では「狩りの食事時の踊りの節」。

第4楽章、低音楽器の刻みにのって弱い属音から始まり、やがて高揚して巨大なユニゾンに至る主要主題の提示。その後幾重にも様々な主題が現れ、終結部では交響曲の冒頭の主題が高らかに金管楽器群により賛美歌風に歌われ、荘重に締めくくる。
(Vc. 富山)