第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2008年7月5日 

歌劇「魔笛」序曲 KV620 作曲/ W.A.MOZART (1756-1791)

歌劇「魔笛」はモーツァルト最期の年に作曲された。

この歌劇は劇場興行師シカネーダらの台本にもとづき2幕の大オペラとして作曲され、シカネーダが座長を務めるフライハウス・アウフ・デア・ヴィーデン劇場で初演された。歌劇は異境を舞台に神仙や怪物が登場する荒唐無稽な内容であるが、当時流行していたフリーメーソン(モーツァルトもシカネーダも熱心な団員)の影響も随所に見受けられる。歌劇は初演から成功し、翌年には100回目の上演に至っている。

「魔笛」序曲は、管楽器の和音による荘重な導入部に続いてヴァイオリンが軽快な主題を演奏し、これを様々な楽器が受けていく。途中再び管楽器の吹奏をはさみ、軽快な弦楽器の間に木管楽器のソロを交えながら華やかな終局となる。

『交響曲〔第41番〕ハ長調』(《ジュピター》交響曲) KV551

作曲/ W.A.MOZART (1756-1791)

モーツァルトは25歳の時ザルツブルグ宮廷オルガニストの地位を捨てた後、ウィーンで音楽家としての自由な生活を始めた。

しかしながら市民として充分裕福な収入を得ることが出来たモーツァルトだったが、贅沢な暮らしや妻の治療などのため常に経済的に逼迫していた。本日演奏する『交響曲ハ長調』はこのような状況下で、1788年、モーツァルトが一攫千金を狙って作曲されたのである。この年は他にも、『交響曲変ホ長調』(KV543)、『交響曲ト短調』(KV550)の3大交響曲が相次いで作曲されている。

『交響曲ハ長調』の副題《ジュピター》び由来は不明だが、この曲の持つ明るさと力強さは主神ジュピターの名にいかにも相応しいものである。

  第1楽章 Allegro vivace
  第2楽章 Andante cantabile
  第3楽章 Menuetto: Allegretto
  第4楽章 Finale: Molto Allegro

『交響曲第1番 ハ長調』作品21 L van BEETHOVEN (1770-1827)

ベートーベンの『交響曲第1番 ハ長調』は、彼が29歳の1800年にウィーンで初演されている。

ロマン派の始祖といわれるベートーベンの巨大な交響曲群にあって、交響曲第1番は形式的にも内容的にも、彼の先輩であるハイドンやモーツァルトの影響が強い古典的な作風と言える。しかしながらこの交響曲は既に、単なる典雅さだけでない、ベートーベンの熱情が強く感じられる豊かな内容となっている。

第1楽章 Adagio molto - Allegro con brio
第2楽章 Andante cantabile con moto
第3楽章 Menuetto: Allegro molto e vivace
第4楽章 Adagio - Allegro molto e vivace