 |
シューベルト/「ロザムンデ序曲」
1797年、オーストリアに生まれたシューベルトは《ドイツ歌曲王》として有名です。十数年前に声楽を勉強していたころ、どうしても好きになれずに私を悩ませたのが彼の多数の歌曲でした。緻密な計算で描写された伴奏に対するメロディのイモくささが原因です。(例外もありましたが・・・)以来「シューベルトは嫌い!!」と言い放っていた私に天罰が下がり、曲目紹介を書く羽目になりました。
ロザムンデは、未完成交響曲作曲の翌年にH.V.ヒィツィのロマン的劇「キュプロスの女王ロザムンデ」の付随音楽として作曲されました。拙劣な脚本は失われて現在見ることができません。
1823年ウィーンで初演された時に序曲の作曲が間に合わず、前年作の歌劇「アルフォンソとエストレッラ」序曲を流用しました。後にシューベルトは何を考えたのか、1819年作曲の「魔法の竪琴」序曲を連弾用に編曲し「ロザムンデ序曲」として出版し、さらに管弦楽パート譜も同名で出版しました。このようなわけで「魔法の竪琴」序曲が「ロザムンデ序曲」として今日広く知られるようになりました。
曲はハ短調の序奏で暗く始まります。続く主部はアレグロ・ヴィヴァーチェで、元気丸出し、ノリノリの第1主題と牧歌風の第2主題に基づいています。
|
 |
|
Vn. Y.T |
|
|
ビゼー/「アルルの女」第1組曲
この曲は、フランスの後期ロマン派作曲家ビゼーが、フランスの作家ドーデの戯曲「アルルの女」のための付随音楽として作曲した27曲の内、作曲者自身が4曲を選定し、演奏会用に編曲したものです。(ちなみに第2組曲は、ビゼーの友人が選定し、編曲をおこなっています)編曲によって、オーケストラの編成は、劇場用室内楽編成から、2管編成のフルオーケストラに拡大され、アルトサックスも加えられました。
1曲目「前奏曲」は、劇の幕間に用いられています。この曲の第1主題は、第2組曲の「ファランドール」と同じ主題が用いられており、これはプロバンス地方の民謡「3人の王様のマーチ」の旋律とされています。
2曲目「メヌエット」は、テンポ感のある舞曲で、劇中では、第2幕・第3幕間の間奏曲になっています。
3曲目は、「アダージェット」で、弱音器をつけた弦楽器(コントラバスを除く)のみの合奏となっており、劇中では年老いた嘗ての恋人が何十年ぶりかに再会し、しみじみ昔を語り合うという場面に用いられています。
終曲「カリヨン」は、劇中では婚礼を祝う鐘が鳴り響く場面でもちいられて、曲中ホルンが、鐘を模した旋律を繰り返し奏で続け、静かな中間部を経て、この組曲のクライマックスへと導いています。
|
|
|
Tb. K.E |
|
|
ブラームス/交響曲第2番
悪夢のようなチャイ4(チャイコフスキー交響曲第4番)から早半年、この度はブラームスの2番をお届けいたします。ブラームス最初の交響曲つまり1番を作曲するのに非常に慎重であったことは有名です。彼は構想およそ20年を掛けて、この1番を作曲していますが、ドイツ正統派として、さらにはドイツ・レクイエムなどで既に高い評判を得ていた作曲家として、ベートーベンの交響曲に続くものを作曲することに相当の注意を払ったということでしょう。
今回お送りする2番は1番とは対照的に1年、実質的には4ヶ月という短い期間で作曲されました。ブラームス自身は「この曲は小さなシンフォニア(SINFONIA=イタリア語で小さな交響曲の意)にすぎません」と友人に手紙を書いて送っています。また、その言葉のようにアルプスに囲まれた南オーストリアの小さな村で書かれたこの曲は、その風景を反映しているともいわれています。
初めてこの曲を聴かれる方にとってもこの2番は、綺麗な旋律だけれどなかなか印象に残り難い曲かもしれません。しかし、聴き込んでみるとブラームスらしい弦の使い方、特に中声部の充実ぶりは私ども弦の人間にとってとても弾きがいのある曲です。
また、木管や金管においても吹いていて充実感のあるもてる曲ではないかと思います。しかし、弾きがいや充実感があるということは、たいへん音楽的にむずかしい曲であるといえます。
今回の演奏会は私たちと白川先生との初の協演です。これまでの私たちと違った新しい局面が皆さんに伝わればと願っています。
|
|
|
Vc. T.W |
|