第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年4月29日 

チャイコフスキー/幻想序曲「ロメオとジュリエット」

シェークスピアの有名な悲劇、ロメオとジュリエットの物語をチャイコフスキーの調べにのせてお送りします。チャイコフスキーは友人であるロシア人の作曲家、バラキレフの勧めでこの幻想序曲を書きあげました。1869年に完成をみた、チャイコフスキー若干29歳の作品です(その後第3稿まで書き改めている)。

今日の演奏は荘厳な木管の和音で幕があがります(予定)。古い教会のオルガンさながらの響きがこれから始まる愛と死の悲劇を予感させます(予定)。そしていよいよ場所はイタリアの町ヴェロナ、宿敵モンタギュー家とキャブレット家の町中での争いの様子が聞こえてきます。鋭い剣の音が響きわたることでしょう。そして私たちは優美でロマンチックなロメオとジュリエットの悲愛の世界へ招かれます。

しかし二人の愛は両家の争いに巻き込まれ、争いと情熱がかけあい、運命の力に押し流されていきます。その後にくる祈りにも似た和音が、チャイコフスキーのこの悲劇への果てしない清らかな想いを表現しているようです。(残念ですが、「予定」です

さて、私たち木管パートは曲の中でロメオとジュリエットの清らかな想いや深い情熱を表現する役目を仰せつかっています。この序曲が悲劇となるかはたまた喜劇となってしまうか天下分け目のところです。

私たち若手(?)木管パートに29歳のチャイコフスキーに負けない情熱があるか、あるいはロメオとジュリエットに負けない恋愛をしているか、どうぞ演奏をお楽しみください。

Fl. R.T

グノー/バレエ音楽「ファウスト」

今年1993年はチャイコフスキーの死後100年にあたり各地でチャイコフスキープログラムが組まれています。我々港北区民響もご多分にもれず、といったところですが、「皆でチャイコ・チャイコと騒ぎやがって!俺の事も忘れてしまっては困る」と草葉の陰で怒っている人がいます。その名はフランソワ・グノー(1818〜1893)パリ生まれ・・・そうです。「グノーのアベマリア」で知られているグノーです。

今回の演奏会でファウストのバレエ音楽を採り上げることになった理由は、当団のホルン奏者の某氏が以前から「やりたい」と言っていたのを聞いた選曲委員の1人が提案し、検討の結果、プログラム構成からふさわしい曲であるとの事で決定したわけで、死後100年は全くの偶然でした。

私の勝手な考えかもしれませんが、曲が知られるパターンとして、曲名先行型とメロディー先行型があります。名曲といわれるものの多くは、前者のパターンで知られることが多いのではないでしょうか。たとえば、学校の音楽の時間に聴いて覚えた曲とか、人にすすめられてCDを買って聴いた曲とかです。

これに対して、この曲は、後者の典型であると思います。第1曲「ヌビア人の踊り」、第5曲「トロイの娘たちの踊り」は、NHK・FM放送の音楽番組のテーマ音楽に使われていた事があり、曲名を知らなくてもクラシックファンの方ならば一度ならずとも耳にされた事があるのではないでしょうか。

後者にあてはまる曲には熱狂的ファンがつく様な重厚長大なものは少ないですが、美しく親しみやすい曲が多いようです。

今日演奏する曲は、フランスの香りがする感傷的で甘美なメロディーが随所に流れてきます。どうぞお楽しみ下さい。

Va. M.S

チャイコフスキー/交響曲第4番

チャイコフスキーの3大交響曲と言われている4番、5番、6番を理解するには、まずこの4番から・・・とプロはおっしゃるのですが、私達のオケはすでに5番、6番を演奏し、4番が最後になってしまいました。

この4番は、とにかく難しい!特に第1楽章。20分近くもあって異様に長いのです。当のチャイコフスキーさんもこの第1楽章を「これは非常に複雑で長い。また非常に漸進的なテンポの変更がある」と知人への手紙に書いているのですが、まさにそのとおり。最初3拍子で始まり、途中で9拍子に変わり、また3拍子に戻るといった具合でリズムがとりづらい。楽譜にもシャープやフラットがいーっぱいついていて、半音上げたり下げたり、これって打楽器しかできない私にとって、ただ”すごい”の1言につきます。

第2楽章はオーボエのソロで始まります。第1楽章の激しさと変わって静かなやさしい曲です。第3楽章は弦楽器のピチカートで始まります。この第2・第3楽章は弦楽器と木管が主なので、金管と打楽器は第1楽章のお疲れ休みと第4楽章への準備といったところです。さぁ最後の第4楽章。これはもう完全なお祭り。聞いていると、とかく金管の音が耳に入ってきがちですが、その中で弦楽器と木管がとても細かーい音符を演奏しているところに注目して下さい。1小節4拍の中で16もの音を出していたりするのです。きっと皆、必死な顔で演奏していることと思います。

それからシンバル。けっこう簡単そうに見えるかもしれませんが、重たいし、細かい音符を均等で且つ、きれいな音でたたくのは至難の技なのです。

半年間の練習で、この大曲が完璧に仕上がったとはお世辞にも言えませんが、皆必死に練習しました。音程がはずれたり、リズムがずれたりしても、まぁ笑って許してやって下さい。

Perc. M.A