第35回定期演奏会曲目解説
本文へジャンプ 2005年4月29日 

メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」

メンデルスゾーンといえば誰でも一番に思い浮かべるのが”ヴァイオリン協奏曲”、第一楽章冒頭の甘く美しい旋律は一度聴いたら忘れられません。次に上げるとすれば”結婚行進曲”、ウェディングケーキにナイフを入れた瞬間に「パパパパーン、パパパパーン」とくる曲ですからクラシック音楽に全く興味のない人でもよくご存知でしょう。ついでですが、同じ結婚行進曲でも「タンタータタン、タンタータタン」というのはワーグナーですからお間違いないように願います。

ものの本によりますと、メンデルスゾーンの音楽を評して「教養のある上流階級に育ち経済的に苦労がなかったので、その作風は端正でのびのびしているが、同時に悲壮味や激しさに乏しい」とあります。しかし同じドイツ音楽でもベートーベンやブラームスのような重厚なものと相対して、彼の特徴である端正さが多くの聴衆に受け入れられているのではないかと思います。私も、二十歳台の頃は、ワーグナーのような濃厚でインパクトの強い曲を好んで聴きましたが、今になってメンデルスゾーンに魅力を感じています。

さて、今回演奏する”フィンガルの洞窟”は、スコットランド北西のヘブリディーズ諸島にある巨大な洞窟の印象をもとに作曲された演奏会用序曲であり、風景描写の巧みさを見せた名曲です。”フィンガル”というのはその土地の伝説的英雄の名前だそうです。

レコードで聴くといかにも「スコットランド」という感じがしますが、我々の演奏はどうでしょうか・・・

Va. T.S

ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルテ」より前奏曲と愛の死

リヒャルト・ワーグナーと言えば、多くの素材を自由に脚色して新台本を創作することで定評があり、この作品も中世ドイツの詩人ゴットフリート・フォン・シュトラウスブルグの叙事詩「トリスタンとイゾルテ」が下敷きとなりました。

この頃、ワーグナーは富裕な商人、オットー・ヴェーゼンドンクの夫人、マティルデを知り、激しい恋愛の感情が起こったのでした。また、時同じくしてショーベンハウアーの「意志と表象の世界」を読むに及び、はかり知れない感銘を受け、みずからの恋愛に反映させる結果となったのです。

この様な背景の中で、ワーグナーは「トリスタンとイゾルテ」の2人の主役に自分とその恋人、マティルデが重なり、そこにショーベンハウアーの哲学が覆いかぶり、愛は永遠に渇望するものであり、その究極は死でしかあり得ないという思想がこの作品全体を支配するようになったのです。

前奏曲の最初の音からして、絶えず渇望しながら遂に満たされない想いの表現であり、イゾルテの愛の死の音楽が現実の次元を乗り越えて、はるかなる無限の世界に飛翔する調べであり、この作品の場合は前奏曲と終曲をつなげ、しかも終曲の声楽部分を器楽で代奏してもほとんど不都合がが起こらないのは、この作品がそうした一つの思想、一つの流れに基づくものだからです。

Cl. S.Y

ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」

「英雄」って誰のことだと思いますか?なんと、あのナポレオンのことなんですって。そういえば18世紀末〜活躍したナポレオンと作曲時期1803年って近いですね。これでひとつおりこうさんになりました。

さて、私は難しいことはわからないんで、皆さんに聴いてheartで感じて欲しいんですが、1つ聴き所をお教えしましょう!!それは、第3楽章のトリオだ・・・!ホルンの三重奏があるんですよ。まあトリオ(trio)には、三重奏っていう意味と三部形式の曲の中間部っていう意味があって、この場合は後者の意味なんですが、もとからHornは3本しかないんです。普通4本や2本で、時たま8本とか10本とかそういうのもありますけど、英雄は3本なんです。ここにも注目して下さいね。(本日の演奏ではassistantも入れると6本ですが)

ベートーヴェンさんは、第9番ができるまでは、この3番を最高の出来だって思ってたんですって。どう感じるかは、人それぞれだけど、なかなかすてきな曲ですね、と素人の私も思います。皆さんは、どう思われますか?ちなみに、R.シュトラウスはこの曲を念頭において、「英雄の障害」を作曲し、「メタモルフォーゼン」にはこの曲の第2楽章の旋律を引用したそうです。もちろん、R.シュトラウスは、ナポレオンをイメージして書いた訳ではないんですが・・・。

締切日なんてとっくに過ぎていて、最終的に明日出すそうで、必死に書いています。下手な文章で読んで下さる皆さんに申し訳ないです。(誰もここまで読んでないか。)文才がない奴は仕方がないっと笑って許して下さいませ。また、私、実はクラシック音楽は、自分がやる曲位しか聞かないので、大変知識が不足してすみません。これを機会に学ばなければと思っています。(これで何とか700字位はいきますね。)

Hn. M.F