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西行法師 2  

吉野山さくらが枝に雪ちりて
    花おそげなる年にもあるかな

花にそむ心のいかで残りけむ
     捨てはててきと思ふわが身に

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待つにより散らぬ心を山桜
     さきなば花の思ひしらなん

花見にと 群れつつ人の来るのみぞ
        あたら桜の 科には有りける

(静かに暮らしたいのに次々と花見客が押し寄せて煩わしさを感じることだけは桜の罪である)

尋ねとも 風の伝にも聞かじかし
       花と散りにし 君が行方を

(桜が散るように亡くなってしまったあなた〔待賢門院〕の行方をいくら尋ねても、風の便りにも聞こえては来ないだろうよ)

吉野山 こぞのしをりの道かへて
      まだ見ぬかたの 花を尋ねん

毎春のように道標をつけて吉野の桜を尋ねては山に分け入っているが、去年とは違う初めての道を辿ってみよう、未だ見たことのないより美しい桜に出会うために

うきよには 留め置かじと 春風の
         散らすは花を 惜しむなりけり