【防人恋歌】
■■■律子サイド■■■
 ピッ…ピッ…ピッ。

律子ですけど、このメールアドレス、プロデューサーのものですよね?
おーい!プロデューサー!生きてますかー!?
事務所ではそろそろ、プロデューサーの死亡説がまことしやかに語られていますけど。
「憎まれっ子世にはばかる」って言うし、まさかね、とずっと思っていたんですが、
あまりにもプロデューサーが事務所に顔を出さないんで、ちょっと心配になってきました。
そろそろ、顔ぐらい見せてもらえません?
いきなり新聞の三面記事に「765プロ社員、死体で発見!金欠による餓死か?」とかそういうの、
カンベンですよ。
1日(水)の10時から、2日(木)の0時は、私は事務所にいますから、その時間帯に来てもらえます?
絶対来て下さいよ?わりと本気で心配してるので。ほんとに、お願いします。

律「これでよしっと。いい加減来てくれるかしら……」

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……

私、あなたがプロデュースを担当しているアイドルの秋月律子ですけど。お忘れかしら?
…今、プロデューサーが言いたいこと、わかりますよ。「イヤミったらしいなあ、律子は」でしょ!?
でもね、言わせてもらいますけど、イヤミの一つも言いたくなりますよ。
こんなに長い間、レッスンも仕事の話もまるでナシ。担当プロデューサーは事務所に顔すら出さないって
いうんじゃね!
…プロデューサーとなら、トップアイドル目指せるかもって本気で思ってたの…私だけだったんでしょうか。
それってなんか、すごく寂しい…。そうじゃないと、いいんだけど…。
8日(水)の10時から、9日(木)の0時、なんとか時間あけられませんか?私、事務所で待ってますから。
よろしく!それじゃ。

律「プロデューサー…来て下さいよ……」

…………………………
……………………
………………
…………
……

お仕事中失礼します。律子です。
プロデューサーにちょっと言いたい事があります。
確かに私は他のアイドルと違って、勝気でしっかりしているように見えるかもしれませんけど、
プロデューサーは…、私が一人でもなんとかやっていける、と思ってらっしゃるんですか?
私がやってこれたのは、プロデューサーがいたからで…。一人でなんて、とても……。
15日(水)の10時から、16日(木)の0時、来ていただけませんか?
事務所でお待ちしています…。

律「プロデューサー……」

…………………………
……………………
………………
…………
……

律子です。
最近どうしたんですかプロデューサー?仕事の数、激減してません?
ぜんぜん事務所へ顔出してくれないし。今日って、何日ぶりの仕事だったのかしら?
もしかして、このままあきらめちゃう気?私、自分が必ずトップアイドルになれる器だなんて、
うぬぼれてはいないけど、今あきらめるのは正直、早すぎるって思います。
プロデューサーって、もっと粘り強いタイプだと思ってたのに…。このままお互いに失望してサヨナラ…
ってあんまりだと思いません?
私、プロデューサーが事務所にまめに顔出ししてくれるのを待ってます。
次は、間をあんまりあけずにすぐにまた来て下さい。
できることなら、22日(水)の10時から、23日(木)の0時にでも!
もし来てくれたら…、これまで通り一緒に頑張りましょ!
来てくれなかったら…しつこく食い下がってもいいことなさそうだし、それまでってことで、
あきらめることにしようかな…。そうすべき、なんだよね…?
でも、来てくれなかった時のことは、私あんまり考えてませんから。来てくれますよね…?
待ってますから。忘れないでよ?

律「プロデューサー、どうして?9月に入ってからいくらメール投げても返事もくれないし……」


■■■Pサイド■■■
P「あれ?律子の携帯繋がらないな。とりあえずメール打っておくか。」

律子へ。
明日レッスンするから事務所に顔出してくれよな。

P「これでいいか。」

−−−翌日−−−
P「おっはよ〜ん。って誰もいない…今日休みだっけ?」

 俺は暫くたまっていた伝票を処理すべく自分の席で作業を始めた。

………1時間経過。

P「本当に誰も来ないな。むしろ事務所で一人と言うのがおかしいと思うべきか?
  とりあえず律子に連絡を……駄目だ、携帯に繋がらん。仕方ない、続きでも
  やってまってるか。」

………更に1時間経過。

P「おかしい。おかしすぎる。いつもなら時間に正確な律子が来ないはずがない。
  ちょっと試しに他の子にも連絡を取ってみるか。」

…………………………
……………………
………………
…………
……

P「だ、誰とも繋がらない……社長にも連絡取れないしどうなってるんだ?
  とりあえず今日はもう帰るか。」


■■■律子サイド■■■
律「プロデューサー!来てくれたんですね!早くレッスンを……ってどこ行くんですか!
  そっちの三國志大戦じゃなくって!!プロデューサー!プロデューサーってば!!」

 しかしモニタごしに見えるプロデューサーは今日も去ってしまう。

律「そんな……もう私の事嫌いになっちゃったのかな?ううん、そんな事ない!
  きっと…きっと来てくれるに違いないわ。私、プロデューサーの事を信じてるから…」




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