【NEW SENSATION -もう、あなたしか見えない-】
−−−活動最終日−−−
P(まもなく律子が来る。なんて切りだそうか……ウソでも……いや、ここは
  正直に話そう。)

律「おはようございますプロデューサー。どうしたんです?なんか顔色悪いですよ?」
P「律子、大事な話があるので聞いて欲しい。今日をもってアイドル、秋月律子は活動停止する。」
律「活動停止ですか!?」

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……

P「最近の傾向を見ているとマンネリしてきたというかそのだな……」
律「大体言いたい事はわかります。私自身も少し感じ取ってましたから。」
P「別に律子を解雇するとかそんな話じゃないんだ。」
律「わかってますって。ただファンがそれで納得するとは思えないですよね?
  どうするんですか?」
P「そこでお別れコンサートを開こうと思う。」
律「お別れコンサートですか。そこまで考えてるならもう私からは何も言いません。」
P「一応日時は3週間後、場所はドームを確保してある。」
律「じゃあコンサートの内容を決めましょ。」
P「OK。」

 こうして俺と律子はお別れコンサートの構成、使用する曲の検討に入りコンサート
 に向けてのレッスンに律子は励んでいた。

−−−お別れコンサート1週間前−−−
律「プロデューサー、やっぱり活動は続けられないですか?」
P「おいおい、いまさら何を言い出すんだよ。律子だって納得したじゃないか。」
律「でも私、やっぱりこのままじゃ納得いきません!」
P「だがな……」
律「もういいですっ!」

 バタンッ!!

P「律子、律子っ!!」

 そしてしばらくの間律子は事務所に姿を見せることなくとうとうコンサートの日を
 迎えてしまった。

−−−お別れコンサート当日−−−
社「おいキミ、言われるままに準備したが本当に律子くんは会場に来るのかね?」
P「絶対に来ます!絶対……」
社「だがもうあと1時間もないぞ?」
P「お願いです、俺を信じて下さい。」
社「キミがそこまで言うのならもう少し待ってみるが……」

 未だ姿を見せない律子。だがあの律子が仕事を完全に放りだしたままにするとは
 俺には思えなかった。

 ガタンッ!

?「あっ!」
P「もしかして律子か?」

 俺は物音のする方へ駆けて行った。

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………………
…………
……

P「はぁっ、はぁっ、はぁっ、やっぱり来てくれたんだな。」
律「はぁっ、はぁっ、なんで…追いかけてきたんですか。」
P「律子なら必ず来てくれると信じてたからな。」
律「やめて下さい。降参です、降参。プロデューサーの熱意には負けました。」
P「じゃあ今日歌ってくれるのか!?」
律「もうここまで話が進んじゃった以上しょうがないでしょ?」
P「ありがとう律子。」
律「でも1つだけ条件があるわ。」
P「なんだ?」
律「このコンサートが終わった後、私に少し付き合って欲しいの。」
P「なんだそんなことか。わかった覚えておく。」
律「ついでに私が納得していないのは変わってないから。」
P「う゛……」
律「とりあえず魔法をかけてを『トリ』に持ってきてくれたのはありがとう…かな?」
P「じゃあ律子、一発頼むぞ。」
律「OK。ふふっ、とびっきりの歌をみんなに贈ってくるわ。」

−−−ラストソング−−−
律「♪まずちょっとだけ探ってみよう 私の眼鏡 好き?嫌い?」

 『大好きーー!!』

律「みんな、今日まで私の事応援してきてくれて本当にありがとう。
  またみんなと逢えるかわからないけどひとまずこれでおしまい。
  またね!」

 『律っちゃーん!』『お別れなんかヤダー!』『アンコーーール!!』
 『アンコール、アンコール、アンコール、アンコール!』

律「みんなずるいよ……じゃあ最後にもう1曲だけ。私の代表曲と言えば?」

 『魔法をかけてー!!』

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………………
…………
……

P「律子、大成功だったな!」
律「当り前ですよ。その為に色々考えたんですから。まあ途中…ちょっとブランク
  ありましたけどね。プロデューサー、少し時間いいですか?」
P「開演前の話の続きだな。わかった外に行こうか。」
社「よくここまで律子くんを育て上げた。ではキミの評価をって君たち、どこへ行くんだね?」

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………………
…………
……

律「ふぅ……なんだか全てをやり遂げたって気分でいっぱいですよ。」
P「それで俺に付き合えって言うのは?」
律「私の話を少し聞いて下さい。」
P「わかった。」

 いつになく真剣な眼の律子を見て俺は頷く事しか出来なかった。

律「私、今日のコンサート開くにあたって色々考えたんです。でもプロデューサーの
  指摘通り確かにマンネリ化してる部分はあったかな?って。
  このまま活動してたら駄目になっちゃう。プロデューサーの読みはあってると思うの。」
P「まあ殆ど俺のカンだけだったがな。」
律「そのカンがプロデューサーの強みよ。コンサート前までは納得いかなかったけど
  今日のコンサートをやって確信を持ったわ。私、今日で引退する。」
P「律子………」
律「でも勘違いしないで。これで終わった訳じゃないわ。また新しい秋月律子として
  アイドルの頂点に立ってみせるわ!」
P「それって……」
律「ええ。もっとアイドルとして頑張ってみたい!」
P「そうか!律子なら再びトップアイドルに立てるさ!」
律「ふふっ、ただ……これでプロデューサーとはお別れなのよね。」
P「……そうだな……」

 急に後ろを振り向く律子。

律「ありがとうとは言わないわ。私も色々教わったし、プロデューサーにも色々教える
  事があった。大体プロデューサーは伝票出すの遅いんですよ。」
P「う゛……それをこのタイミングでいうか、普通……」
律「本当の事じゃないですかぁ。これでプロデューサーにお小言言ったり、ハリセンで
  ツッコンだり……ううっ……」
P「お、おい、律子?」
律「これから私はプロデューサー無しでどう頑張っていけばいいんですかっ!!」

 振り向いたその目には涙が浮かんでいた。

P「え、あ……お、俺律子がそんなに苦しんでたなんて全然わかってなかった。」
律「……そうですよね。こんなに鈍感なんですから。すみませんこんな姿見せちゃって。」
P「い、いやその………すまん!俺も正直に言う。俺は律子の事が好きだ!」

 ……冷たい空気が流れる。

律「ぷっ。」
P「ぷ?」
律「あっはははは。このタイミングでなにいきなり言いだすんですかぁ。」
P「お、俺はほ、本気でだなぁ。」
律「あっははははははは……」
P「律子、お前……」

 声は笑っているが律子の目からは止めどなく涙が流れていた。

律「あれ?おかしいです。凄い嬉しいのに涙が止まらないです……」
P「律子……」
律「プロデューサー……」
亜「あーー!りっちゃんとにーちゃんキスしようとしてるー!」
真「真美も見ーちゃった。ラヴラヴですねぇ亜美君。」
P「あ、亜美!真美!こ、これはだなその……」
律「ふふっ、なーにうろたえてるんですか。私の事好きって言ってくれたじゃないですか。」
P「律子!それをどうどうと言ったら……」
亜「にーちゃん、りっちゃんに告白したの!?」
真「わー、にーちゃんチョーイケてる〜!」
P「お前らあっち行け!!」
亜「にーちゃんが怒った〜!」
律「ふふっ。あはははは。」




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