【Queen's Paradise】
春「それじゃあプロデューサーさん、突入して下さい♪」
P「了解。」

 イヤホンから聞こえる春香の指示に従って俺は律子が寝てると思われる部屋の
 前に立っていた。

春「ほらプロデューサーさん、もっとテンション上げて下さいよ〜。そうじゃないと
  練習になりませんよ?」
P「でもなぁ……流石にまずくないか?」
春「何言ってるんですか!プロデューサーさんが寝起きドッキリの仕事を律子さんに
  話せなかったのが原因じゃないですか〜。たまたま私がそれを聞いちゃったから
  こうしてお手伝いしてるんですよ?」
P「……そうだな。」
春「じゃあプロデューサーさん、れっつごー♪」

 黒い、黒いよ春香さん……俺は恐る恐るカメラを構えながら律子の部屋に入る。

P「(小声で)おはようございます!今、俺は律子の部屋に来ています!」
律「すぅ……すぅ………」
P「(小声で)よく寝てますね〜。お!メガネを外した律子初公開ですよ!」
律「すぅ……すぅ………う、うーん……」

 やばっ!目を覚ましたか?俺は動きを止めて様子をうかがう。

律「む、む〜………すぅ…すぅ……」
春「危なかったですね!じゃあ律子さんのカバンを調べてみません?」
P「(小声で)で、でも勝手に中身を見るのは……」
春「事前練習ですってば。これで問題あるような物が出ないようにすればいいんですよ。」
P「で、でも……」
春「プロデューサーさん、ふぁいと♪」
P「仕方ない。」

 ごそごそと律子のカバンを漁る俺。

P「(小声で)メモ帳にノートに化粧品入れに……ずいぶんと物が沢山入ってますね!」
春「プロデューサーさん、今見えた定期入れみたいなの開けません?」
P「ん?これか?普通の定期入れっぽいけど……よっと。」

 2つ折りの定期入れをぱかっと開けると……

P「え?律子と俺のツーショット写真?」
春「キャー!やっぱり律子さんプロデューサーさんの事が大好きだったんですね♪」
P「お、おい春香!そんなに茶化すなよ!」
律「ん〜〜〜……」
P「!!……………………」
律「すぅ……すぅ………」
P「あ、危なかった……ってマジで律子、俺の事が……」
律「すぅ……ぷろりゅーさー………すぅ……」
P「!!」
春「どきどき♪」
律「……わたしのこと……すぅ……」
P「私の事?」
律「……すぅ……すぅ……」
P「つ、続きは!?って寝言か……」
春「プロデューサーさん、さっきのノート見てみません?」
P「ノートってこれか?なんか日記帳っぽいぞ?」
春「さ、プロデューサーさん早く開けて開けて。」
P「さっきから気になってるんだが、なんで春香そんなにノリノリなんだ?」
春「え?それはその……律子さんの秘密見てみたいじゃないですか♪」
P「春香、お前なぁ…」
律「……すぅ………う、うーん……」

 律子がうなされるたびにびくびくする俺。見つかったら半殺しじゃ済まなさそうだ。

P「も、もう大丈夫か?」
律「……すぅ……すぅ……」
春「大丈夫ですよ!さ、一気に行きましょう♪」
P「……人事だと思って……どれどれ?」

−−−−−−−−−−−

8月2日(日)
 今日はオフの日。だけど私は会社へと向かう。
プロデューサーがいつものようにPCに向かい格闘している。どうしてこう要領が悪い
のかしら?私はついつい手伝ってしまう。

8月3日(月)
 今日は仕事でグラビア撮影。カメラマンやスタイリストさんの視線が嫌。
なんで水着にならなきゃいけないの?こころなしかプロデューサーの視線も……
その場はなんとか切り抜けたけど私、スタイル良くないからあんまり見せたくない。

8月4日(火)
 レコーディング。時間も押し迫っててうまくいかなくてちょっとイライラしてた。
ついプロデューサーに八つ当たりもしてしまった。ごめんなさい。
でもプロデューサーは軽い食事に連れて行ってくれてその後のレコーディングは一発OK。
頼りないんだけど何故かこういうとこは気が利くのよね。

−−−−−−−−−−−

 春香に見られないようカメラには写さず俺は日記を読んだが気のせいか殆ど俺の事
 ばかり書かれてないか?

春「プロデューサーさん、じゃあ律子さん起しちゃいましょ♪」
P「……春香、やっぱりこれ止めよう。悪いけどこの仕事は断るよ。」
春「でもプロデューサーさん、それでいいんですか?」
P「なんだか律子に罪悪感感じちゃってな……とりあえず俺もすぐ撤収するよ。」
春「あ、ちょっとプロデューサーさん!」

 俺は春香の制止をも聞かずにカバンの中身を元に戻して……

律「で、何かわかりました?」
P「……………………うわっ!!」

 布団でメガネをかけて俺を見つめる律子が………

律「まったく………何にも知らないとでも思ったんですか?」
春「律子さん、大成功ですね♪」
P「え?え?え?」
春「プロデューサーさん、後ろ後ろ。」

 俺は春香に言われる通りに後ろを振り返るとそこにはティッシュ箱が……

P「あ、あれカメラか?」
律「正解。つまりプロデューサーはまんまと私の策にかかったという訳ですよ。」

 バタンッ!

春「大成功〜♪」

 春香がドッキリと書かれた板を持って入って来た。

P「……つまり…だまされたのは……俺?」
律「そう言う事。どうです?なかなかいい企画だったでしょ?」
P「は〜……」
春「律子さん、バッチリでしたね!」
律「まあ、こんなもんでしょ?」
P「俺が仕掛け人って時点でおかしいなとは思ったんだよな……」
春「それにしても律子さん日記帳なんか用意してたんですか?凝ってますね♪」
律「私、日記帳なんか用意した覚えは……」

 カバンを漁って調べる律子。

律「……プロデューサー、これ……見ました?」

 先程見た日記帳を律子が持ち上げる。こころなしか顔が赤いような。

P「ああ、それだよそれ。」
律「………は〜る〜か〜!!」
春「え?その日記帳って今回用の小道具じゃないんですか?」
律「違うわよっ!もうプロデューサー!今さっき見た内容忘れてっ!!」
P「忘れろと言われても……」
律「いいから忘れるっ!!」

 顔を真っ赤にした律子が枕を投げてくる。

P「ど、どうしたんだ?律子。」
春「痛いっ!律子さん物投げないで〜〜!」
律「うるさいっ!あんたら同罪よ〜〜〜〜!!」




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