【Endless Summer】

 白い砂浜!押し寄せる波!カンカンと照る熱い日差し!
 まさに夏といったところだな!!

律「むぅ……」

 だがその気分も隣の律子の不機嫌さで吹っ飛んでしまう。

P「どうしたんだ?夏だぞ?海だぞ?これでテンションあがらないなんて
  律子おかしいんじゃないか?」
律「なんでですか……暑いし潮臭いし。大体日焼けなんかしたらあとが大変
  じゃないですか!」
P「それが夏だろ?」
律「いえ、私はそんな夏は嫌です。やっぱりクーラーがガンガン効いた部屋で
  自分の課した課題でもまとめる方が有意義ですよ。」
P「仕方ないだろ?水着姿の撮影なんだから。」
律「それが一番のネックなんですよ!」
P「なんでだ?」
律「決まってるじゃないですか。肌は露出しなきゃならないし、周りの視線も
  気になるし……(小声で)お世辞にもスタイル良くないし……」
P「俺は見てみたいけどな。律子の水着姿。」
律「嫌です。」
P「おいおい、それじゃあ今日の撮影が終わらないじゃないか。まあ泊まりなん
  だけどな。」

 そう、今いる場所は石垣島。まさに南国パラダイスといったところだ。

律「もう今すぐにでもとって帰りたいですよ。」
P「帰りはまた船に乗るけどな。」
律「はぁ……それも嫌なんですよね……」
P「行きは酷い船酔いしてたからな。」

 行きの船を思い出す。まるでマグロのように船でのびてる律子を見た時、
 どうしたものか?と思ったくらいだ。

律「大体こんなとこでやらなくてもCGでいくらでも誤魔化せるじゃないですか!
  そうすれば私が水着を着ることも、船でこんなとこにくることもなかったのに。」
P「おいおい、ここまで来てそれはないだろ?」
律「じゃあ代わりにプロデューサーが撮影されて下さいよ!!」
P「……わかった。」
律「ふん、どうせカラ返事でしょ。」

…………………………
……………………
………………
…………
……

P「カメラマンさ〜ん、こっちこっち〜。」

 俺は短パン姿でエクステをつけて律子風の三つ網にして浜辺を走ってた。
 風が気持ちいい。カンカンと照る日差しがまたなんとも………

律「本当にやるな〜〜〜!!!!」

 スパーン!!

P「今更何を言ってる。律子がやれっていったんじゃないか。」
律「私のイメージが完全に壊れるじゃないですかっ!!」
P「まったく…じゃあちゃんと撮影やるのか?」
律「う゛……」
P「じゃあしょうがないな。引き続き俺が……」
律「わかった!わかりましたよもうっ!」

 そう言って律子は脱衣所へと向かった。

律「あ、そうそう。」
P「ん?なんだ?」
律「いつまでそのエクステつけてるんですかっ!!」

 スパーン!!

…………………………
……………………
………………
…………
……

 数十分後、いつもの『DEEP SEA』な律子が出てきた。

P「ふ〜ん……」
律「な、なんですか。ジロジロ見ないで下さい。」
P「あとは頼むぞ。」
律「ああ、もう……私肌弱いんですから早めに終わらせて下さいよ。」
P「わかった。交渉はしておく。」

 こうしてようやく撮影は始まった。
 パシャパシャパシャパシャ!カメラのシャッター音が響きわたる。

P「う〜ん……なんか律子の動きに躍動感がないんだよな……」

 さっきから撮影されているのは寝そべってたり、パラソルにもたれかかって
 みたりと静的な姿ばかりだ。

P「おい律子、もっと元気に動けないのか?」
律「何言ってるんですか!そんな事したら日に当たっちゃうじゃないですか!」

 まだ言うか。

律「キャッ!!おっ、降ろしてっ!!」
P「駄目だ。」

 俺はそんな律子をお姫様だっこで無理やり抱えあげ波打ち際にドボ〜ン。

律「なにするんですかっ!!」
P「ほら、気持ちいいだろ?」

 俺は早速海水を律子にかけ始める。

律「キャッ!やったな〜〜〜!!」

 律子も即座に応戦してくる。その間もカメラマンは写真を撮り続けていた。

…………………………
……………………
………………
…………
……

律「ああっ、もうヒリヒリしてきちゃったじゃないですか〜。」

 今日の分の撮影も終わり、既に着替えた律子は真っ赤になった腕を擦りつつ
 愚痴っていた。

P「まあそう言うな。律子も結構楽しんでたじゃないか。」
律「そりゃあまぁ……」
P「ま、結構いい写真が撮れたと言ってたし俺も後で確認しておくよ。」
律「あんまりじろじろ見ないで下さいよ?」
P「はいはいわかったわかった。」
律「じゃあプロデューサー、また明日ですね。」
P「ああそうだな。おやすみ律子。」
律「おやすみなさい、プロデューサー。」

 こうしてホテルで各々の部屋に別れ……俺の時間がやって来た。
 スタッフから貰った今日の写真データを早速ノートPCで確認する。

P「ふむ、結構いい感じじゃないか。」

 俺はビールを飲みながら撮れた写真を確認しつつこれは写真集用、これは雑誌用と
 フォルダ分けを始めた。

P「そう言えば律子が今日言ってたな。」

〜〜〜〜ぽわぽわぽわぽわ〜〜〜〜
律「大体こんなとこでやらなくてもCGでいくらでも誤魔化せるじゃないですか!
  そうすれば私が水着を着ることも、船でこんなとこにくることもなかったのに。」
〜〜〜〜ぽわぽわぽわぽわ〜〜〜〜

P「……やってみるか。」

 俺は1枚の律子の写真を加工し始めた。最初は背景を夕日にしてみたりと遊んで
 いたがだんだん調子に乗ってきて律子そのものを加工し始めた。

P「おおっ!!ビキニ姿の律子イイ!!」

 律子の生まれたばかりの姿、見てみたくないか?と悪魔の囁きが俺に告げたので
 ある。

P「流石にそれはまずいよなぁ……」

 しかし画面ではいつもとは違うビキニ姿の律子が微笑んでいた。

P「この俺の熱いパトスは止められん!フハハハハ!!」

 うん、そうなんだ。若気の至りと言うか……つい勢いでやってしまったんだ。

P「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

 今の技術は凄すぎる!!なんでこの技術が中学、高校の時になかったんだ!と
 俺は今更ながら後悔をした。
 画面には上半身のみ生まれたまんまの律子が微笑んでいた。

P「ビバ!技術革命!」

 俺は意味不明の事を口走りながらまた1缶ビールを飲み干した。

P「これ、もしかして下もいけるんじゃね?」

 更なる悪魔の囁きが俺を誘う。

P「まあ待て。まずはシャワーを浴びてからだな。」

 俺はこの興奮を抑えつつシャワーを浴びに行った。

…………………………
……………………
………………
…………
……

 うーむ…妙に頭が痛い……どうやら寝てしまっていたようだな。
 ドンドンドン!

P「……ん?」
律「プロデューサー、起きてます?」

 なんだ律子か。俺は寝起きボサボサ頭のままドアを開けた。

律「うわっ!まだ寝てたんですか?」
P「ああ。昨日色々とまとめてたらな。」
律「へ〜。どんな感じですか?」

 律子がするっと部屋に入り込みノートPCをいじり始めた。

P「……あっ!!」

 俺は思い出した。昨日シャワーを浴びる前にやっていた作業を。
 そしてそのまま眠りについた事を。

律「………………」

 ノートPC前で固まる律子。

P「あ、あはははは……」
律「じ…」
P「じ?」
律「地獄へ堕ちろ〜〜〜!!!!!」

 ドギャッ!!バキッ!!
 俺はノートPCで殴打されもちろん改造したデータは粉みじん。
 せめてもの救いは写真集用のフォルダ分けしたデータをストレージに移していて
 無事だった事だけだった。

教訓:これもリツノートじゃね?





戻る
ホームへ