【ヒトリアソビ】

律「っ!………くしゅん!」
P「どうしたんだ?風邪か?」
律「違いますよ〜………くしゅん!」

 なんか見た目もぼーっとした感じだしこれはもしかして………

P「今日、律子と一緒に帰りたいな。」
律「はぁ?何をねぼ……くしゅん!……ああっ!もうイライラするわね〜。」

 あれ?律子が誘ってるって訳じゃなかったのか?

P「でも顔も赤いしなんか風邪っぽいぞ?」
律「アレですよ、アレ。花粉症ですよ。」
P「もうスギ花粉は終わったろ?」
律「いえ、今はもうヒノキ花粉です。」
P「ああ〜なるほど、それでか。」

 なんだ……なんか色っぽい目で見てるからてっきり誘ってるとばかり……

律「なんか変な目で見てましたね。どうせろくな事考えてなかったんでしょ?」
P「はっはっは、何を言う。ろくな事の訳ないだろ。どうやったら律子をお持ち帰……
  へぶっ!!」

 どこから取り出したかハリセンが俺の顔面に直撃する。

律「何を寝ぼけたことをいっ…いっ……くしゅん!…言ってるんですかっ!!
  担当アイドルにモーションをかけるプロデューサーなんて聞いた事ないですよっ!」
P「じゃ、じゃあ俺がその初めてになれ……げはっ!!」

 再びハリセンが炸裂する。

律「このケダモノッ!!寝ぼけるのも大概に……っ!……くしゅんっ!」
P「だ、だいぶ………辛そう……だな……ウチに来るか?いい薬あるぞ?」
律「誰が行きますかっ!!今までの発言を考えれば貞操の危機以外考えられませんっ!」
P「信用ないな〜。」
律「その信用を無くすような発言したのは誰ですかっ!!」
P「よし、わかった。ウチ行こっ。」
律「何サラッと言ってるんですか!!」

 スパーン!!本日3度目のハリセンが炸裂した。

P「ふふふふふ………こんな事で俺の欲望は潰……え……ガクリ。」
律「はぁっ!はぁっ!やっとくたばったわね……くしゅん!…んもうっ!このくしゃみ
  だけでもどうにかならないかしら?」
社「おお律子君、何やら困っているようだね。」
律「あ、社長。」
社「私も以前花粉症でだいぶ苦しんだんだがとある薬で治療したらなんと!まあ今現在
  見ての通りの状態だよ。」
律「社長本当に花粉症だったんですか?」
社「嘘だと思うだろう?私の顔色を見てみたまえ!」
律「顔色も何も真っ黒じゃないですか!……くしゅん!ああっ、もうっ!!」
社「やれやれ信用ないな。おい音無くん。」
小「社長どうしたんですか?」
社「いやな、律子君がどうも花粉症で苦しんでいると言うのでな、音無くんに例の薬を
  頼もうと思ったところだ。」
小「ああ、あのクスリですね。」
律「なんか尚更不安を掻き立てられるんですが。」
社「大丈夫だよ律子君。」
小「そうですよ。ちょっとばかり服を脱いで外に飛び出したくなるだけですから。」
律「誰が飲みますかっ!!」

 スパーン×2!!

律「まったく……っくしゅん!」
亜「あ、律っちゃん、律っちゃん〜。」
律「なぁに、亜美。」
亜「なんかくしゅんくしゅんしてたからいいものあげよっかな〜って思ったの。」
律「何をくれるの?」
亜「ほら、凄いでしょ〜。」

 亜美が取りだしたのはコップに入った緑色した液体だった。
 なんかゲル状っぽい気が……。

律「これ……ジュース?」
亜「ううん、これめっちゃ凄いんだよ〜。」

 そう言って亜美は傍で転がってる小鳥さんに少量コップの中身をかけた。
 んじゅるんじゅる。

律「……うわっ!うじゅうじゅ蠢いてるじゃない。」
小「……ぁっ………」
亜「これね〜、服だけ溶かすスライムなんだってー。」
律「……却下。小鳥さん用にしときなさい。」
亜「は〜い。」
小「……ちょっ………たす……はうっ!……そ、そこは……」

 早速コップの中身を全部小鳥さんにぶちまけようとしてる亜美。
 まあ見なかったことにしておいた方がいいわね。

律「っ!………くしゅん!あー、もうっ!」
P「ここはやっぱり俺の出番だな。」
律「また現れたわね、この変態プロデューサー!」
P「まあ待て待て。今度は本当に止めてやろうと思ってるんだが。」
律「信用できるもんですか。」
P「じゃあ今日1日頑張ってな。」

 そう言ってプロデューサーはすたこらさっさとこの場を立ち去ろうと……

律「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!」
P「ん?なんか口調が伊織みたいになってるぞ?」
律「えー、あー……コホン。で、どういう方法なん…くしゅん!…ですか?」
P「ああ。ちょっとおまじないをな。」
律「おまじない〜?そんなので治るんだったら病院要りませんよ!!」
P「まあ試すだけ試してみないか?」
律「内容によりますけどね。」
P「まず少しだけ顔を上向ける。」
律「こ、こう?」

 私は少し顔を上向く。ちょうどプロデューサーを少し見上げるような感じだ。

P「動くなよ。」

 そう言ってプロデューサーは指を私の鼻の頭にあてる。

P「くしゃみさせる悪いのはどっかにとんでけ〜〜!ちちんぷいぷいのぷ〜。」
律「はぁ?」

 あまりにも幼稚な方法に私はつい呆けた声を上げてしまった。

P「どうだ?」
律「どうってこんな事で治る訳……あれ?くしゃみ出なくなった。」
P「だろ?俺になんか言うことあるんじゃないのか?」
律「……その…あ、ありがとうございます……」
P「じゃあ俺はお礼を貰うな。」

 そう言ってプロデューサーは強引に私をギュッと抱き締め一気に顔が迫って来た。

P「もう離さないぞ。律子は俺の物だ。」
律「ちょっとやめてってば!!」

 どんどん顔が近付いてくる。私の…私のファーストキスが……

…………………………
……………………
………………
…………
……

律「で、懲りずにまたこんな妄想を続けてるという訳ですか。」
P「……はい。」

 俺は例の妄想ノート、通称リツノートをまたまたまたまた律子に取り上げられ
 事務所で正座させられていた。

律「まったくプロデューサーには本当呆れるわね。大体私は花粉症なんかになる訳
  ないで………くしゅん!!」
P「りーつこっ。いいおまじないがあるんだが試してみるか?」
律「だ・れ・が・試しますか〜〜〜!!!!!!!!!!」

 スパパパパパパパパパンッ!!
 いつものハリセンではなく平手打ちが炸裂する。

P「律子…愛して……ガクリ。」
律「そんな屈折した愛いるか〜〜〜〜!!」

 はぁ…はぁ…といい加減突っ込むのも疲れたところで亜美がやってきた。

亜「律っちゃん息切らしてるね。これでも飲む?」
律「あ、ありがと。」

 渡されたのは緑色の液体の入ったコップ………ん?
 私はそれを飲む前にふと気付いた。

律「ところで亜美、これなに?」
亜「んっふっふ〜、これはね〜……」





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