【begin】

小「今日は電話が多くてのんびりと息つくことも出来ないですねぇ。」

 Prrrr Prrrr

小「はい、765プロです。あ、プロデューサーさん。どうかしたんですか?
  はい、はい、ええっ!!雪歩ちゃんが行方不明になった!?それは困りましたね…」

 とその時、背後の物陰からごそごそと物音が……

?「お困りのようですね。」
小「はい、とっても……って、ええっ!?」

 私はつい今受けていた電話を取り落としてしまった。ああ…プロデューサーさん
 ごめんなさい。受話器が置かれてしまったので電話切れちゃいました……ってそれ
 どころじゃないですっ!!

小「り、律子さん、そんな恰好でどうしたんですか?」

 そこには緑の衣装を着た律子さんが立ってました。

律「いえ、私は魔法少女リッチャンデスヨ。」
小「……は?」
律「はい、小鳥さん復唱して下さい。魔法少女リッチャンデスヨ。」
小「………律子さん、どうしちゃったんですかっ!?」
律「私は律子じゃなく、リッチャンデスヨ。さ、復唱願います。」

 あきらかにおかしい。律子さんがこんな壊れた事を言い出すなんて……なんかの罰ゲーム?
 そう思いつつとりあえず私は復唱した。

小「魔法少女リッチャン?」
律「いいえ、魔法少女リッチャンデスヨです。」

 Prrrr Prrrr

小「あ、律子さん、ちょっと電話が入ったのでちょっと待ってて貰えます?」

 フォンッ!!
 電話を取ろうとした手にステッキのような物が振り下ろされる。

律「私は律子じゃないです。魔法少女リッチャンデスヨです。」
小「……と、とにかくちょっと待ってて下さい。もしもし。あ、プロデューサーさん。
  はい、はい、雪歩ちゃん見つかりました?ああ〜良かったですね。こちらは……」

 チラリと律子さんを見るが素知らぬ顔をしている。とりあえず……

小「特に問題ないです。はい、はい、じゃあ頑張ってくださいね。」

 ガチャッ。

小「なんとか無事みたいですね。」
律「それで何でお困りなんですか?」
小「はいっ!?」

 あ〜、なんか魔法少女とか言ってましたね……

小「いえ、とくに困ったことは……」

 ヒュンッ!
 ステッキのようなものを眼前に突きつけられる。

律「嘘っ。さっきちゃんと『困りましたね』と言うのを聞きましたよ?」
小「あ、あれはもう解決しました。」
律「いいえ、まだ解決してないわ。」
小「ええっ!?」

 まだこんな魔法少女ごっこやるんですか?思わず声に出しそうになったが
 ここは黙ってた方がいいわ。今の律子さん何するかわからないし。

律「小鳥さん、あなた魔法少女の素質があるわ。」
小「えーっ!?」
律「魔法少女に彼氏はいないわ。」
小「ほ、ほっといて下さいっ!!」

 ううっ……気にしてる事なのに………

律「それに今まで払った御祝儀、200ま……」
小「それ以上言っちゃ駄目ですっ!!」

 どーせ私には彼氏もいませんし友達もみんな結婚しちゃって御祝儀支払放題ですよーだ。

律「さらにもう30の大台に……」
小「キャー!キャー!キャー!」
律「でも小鳥さんには魔法少女の道が残されてるわ。」
小「なんでですかっ!」
律「私は知ってますよ。毎晩夜事務所に誰もいないのをいい事に歌いながら踊ってる
  小鳥さんを。」
小「ど、どうしてそれをっ!?」
律「魔法少女ですからなんでもお見通しなのです。」

 だ、誰にも見られてないと思ったのにぃ〜〜><

小「そ、それで律子さんの目的は何ですか。」

 ヒュンッ!
 ステッキのようなものを再び眼前に突きつけられる。

律「律子じゃないです。魔法少女リッチャンデスヨです。」
小「どうだっていいですっ!も、もしかして、わ、私の身体目当てなんですねっ!!」
律「ええそうよ。」
小「やっぱり……毎晩毎晩ベッドの上で律子さんにいじ…いじ…キャー♪ってここで
  するんですかっ!?}

 律子……リッチャンデスヨさんは私の服を脱がしにかかっていた。

律「早く服を脱いで下さい。小鳥さん用の魔法少女の衣装がありますから。」
小「ふ、服を脱がせてそれからあんな事やこんな事を……」
律「さ、脱がせ終わったからこれ、着て下さい。」

 律子さんから渡された衣装はリッチャンデスヨが着ている衣裳の色違いだった。
 律子さんの衣装は緑。渡された衣装は白。私そんなに清楚だと思われてたんですねっ!

小「こ、こんな感じですか?」
律「………なんか痛いオバサンっぽいですね。」
小「ひっ、酷いですっ!!」

 そりゃあ私だってもう20代後半。肌も少しハリが減ってきたかなぁって……

律「じゃあ早速魔法の特訓よ。」
小「魔法の特訓?」
律「ええ。小鳥さん……いえ、魔法少女ピヨチャンの魔力の適性を測るわ。」

 魔法『少女』……なんかむずかゆいですね。

律「じゃあ早速魔法を使ってみて。」
小「ど、ど、どーやって使うんですか?」
律「まず集中して自分の奥底に秘められたものを想像するのよ。私の場合はほら。」

 そう言って一瞬でハリセンを取り出す律子さん。って今何もない空間からハリセンが
 出てきたような……

律「こんな感じよ。さ、やってみて。」
小「出来る訳ないじゃないですかっ!!」
律「つべこべ言わずやりなさいっ!」

 スパーン!!

小「い、いひゃいっ!」
律「集中して……」
小「うう……」
律「いちいち口に出さないっ!!」

 スパーン!!

小「あいたたた……本当にこんなので魔法なんか出せるんですか?」
律「それは小鳥さん次第です。」
小「はぁ………」

 私は半信半疑でとりあえず集中してみた。そして5分後。

小「律子さん、何も起きませんよ?」
律「うーん、小鳥さんから魔力は感じるんだけどもしかして魔法少女ではないの
  かしら?」
小「散々酷い事を言っておいてそれですか。」
律「じゃあちょっと可愛い物を想像して集中してみて。」
小「う〜〜ん…可愛い物、可愛い物………」

 私は必至に可愛い物を想像すると身体がふわっとした感じがして……
 ポンッ!!

………………………………

律「ふーん、小鳥さんは魔法少女じゃなくマスコット属性だったのね。」

 私は魔法少女に付き物な小さな生き物と化した小鳥さん、ぷちぴよを頭に乗せ
 新たな魔法少女の仲間を探す旅へと出た。

律「どう?ぷちぴよ?」
ぷ「きゅぅ〜ん。」
律「こっちね。」

次回、魔法少女アールデコ編に続かない。





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