【キミに届け】

 俺は何故か社長に押さえつけられていた。

社「頭が高い!こちらをどなたと心得る!!我が王国の姫君、リッチャン・オータムーン
  であらせられるぞ!!」
P「……社長?どうしたんですか?それに律子もそんな恰好して……」
律「ハイウッドよ、しばし席を外して貰えぬか?」
社「し、しかし……」
律「わらわの言う事が聞けないと申すのか!?」
社「失礼致しました。」

 社長?がこの場から去っていく。
 まず俺は一体どこにいるんだ?訳がわからん。

律「プロデューサー、大丈夫ですか!!」
P「律子、なんだその格好は。それにここどこなんだ?」
律「私もわからないですよ。社長みたいな人に『姫君!どちらに居られたのですか!』
  と捕まっちゃったんですよ。」
P「ふむぅ………」

 律子の説明を受けたがまったく状況がわからん。

律「認めたくないけど異世界ってとこかもしれませんね。」
P「異世界〜!?じゃあ俺達はこの世界に飛ばされたとでも言うのか?」
律「プロデューサー、ここに来る前の事覚えてます?」
P「ここに来る前?う〜〜ん………」

 確か屋上でライブを行ってたら看板が倒れてきて律子あぶない!と助けに
 入って………

P「俺達看板に潰されたんじゃなかったか?」
律「やっぱりプロデューサーもそこまでは覚えてたんですね。その後目が覚めたら
  こんな事になってたんですよ。」
P「じゃあ俺達はこのまま帰れないのか?」
律「そんなの嫌ですよ。私の為に来てくれたファンだって沢山いらっしゃったのに。」

 俺も律子の為に来てくれたファンの為に応えたい、元の世界へ戻りたい。

P「よし、なら少しでも可能性があることにかけよう!ところで律子は熱気バサラって
  知ってるか?」
律「えっと確かオーディションにたまに受験するライバルユニットですよね?」
P「いやそっちじゃない。まあ論より証拠だ。考えるよりもやってみるか。」

 こうして無茶苦茶な状況を打開すべく俺達は「歌」に全てをかけた。

…………………………

律「プロデューサーなに考えてるんですかっ!!」
P「なにって?もちろんコンサートだが?」
律「そんな事出来る訳ないじゃないですか!!仮にも私はこの国の姫って事になって
  るんですよ!?」
P「まあ普通に考えたら許可なんかおりる訳ないだろうな。だからここは強行突破だ。
  と言うことでこの場で歌ってくれ。」
律「ここって城下町のど真ん中ですよ!?」
P「大丈夫。律子の今の立場は姫だがその前にアイドルだ。思う存分歌ってくれ。」
律「いいのかなぁ……」
P「俺達の世界のファンにも届く最高の歌を頼むぞ!」
律「そんな事出来るのかわからないけど……とりあえずやってみるわ。」

…………………………

律「風が行く 空を行く ちっぽけな町を ちっぽけな町へ」

 何事か!?と町の人たちが歩みを止める。

律「当ても無く 流されて どんな場所から 何処へと行くの」

 律子の歌声が辺りに響き渡る。

律「自分さえ わからなくなってた ああ一人きり ただ怯えてる
  そんな心に 呼びかける」

 俺がやれることはただ1つ。律子の歌の邪魔をされないよう護ること。

律「キミに届け ボクの祈り 広い夜空を 海の彼方まで」

 社長、ハイウッドの妨害を阻止しつつ俺は律子を護った。

律「キミに届け キミに届け 悲しみも 喜びも 温もりも 愛おしささえも」

…………………………
……………………
………………
…………
……

社「おいキミ!大丈夫かね?おい!おい!」

 俺は社長にゆり動かされ気がついた。さっきまで律子が歌って……

P「ハイウッドさん!律子はどこに!?」
社「ハイウッド?キミ一体どうしたのかね?私は高木であってハイウッドなんか
  ではないぞ?」
P「え?と言うことは元に戻れたのか!?」
社「それよりも律子君の様子がおかしいのだ。キミなにか知っているかね?」
P「え?律子が?」

 言われて辺りを見ると先程と同じ姫の格好をした律子がいた。

P「律子!大丈夫だったか!!」

 ペシッ!!つかもうとした手をはたかれる。

律?「何をする。わらわを誰だと思っておる。」
P 「ま、まさか……リッチャン・オータムーン……」
律?「ほぉ。わらわの名を存じておるか。」
P 「うわぁぁぁ!律子〜〜〜〜!!」
律 「呼びました?プロデューサー?」

 背後から別の声がかかる。

社 「なに!?律子君が2人いるとはなんと面妖な。」
P 「もう何がなんだかわからねー!!」

…………………………
……………………
………………
…………
……

P「と言う夢をだな……」

 俺はライブの日、当日に大寝坊をしてしまい律子にそう説明を……

律「見る訳ないでしょ!!」

 ガスッ!!

P「げはぁっ!!」





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