【True Love and Valentines】

雪「あ、あのぉ……プ、プロデューサー…その……これどうぞ。」
P「ありがとう雪歩。おいしくいただくよ。」

 今日は2/14、そうバレンタインデーというやつだ。
 最近では男性の方から女性に贈る逆チョコと言うものが世間では話題に
 なっているがここ765プロではそんな事もなくいつも通りだった。

伊「アンタがどーしてもって言うんならこのゴディバのチョコをあげてもいいわ。」
P「伊織ありがとう。おいしくいただくよ。」
伊「バ、バカ言ってんじゃないわよっ!まるで私がプロデューサーの為にチョコ
  用意したように聞こえるじゃないのっ!!」

 いや、実際用意してるじゃないか。

春「プロデューサーさん♪これどーぞ。」
P「おっ!春香か。今回も手作りなのか?」
春「はい♪おいしく食べて下さいね☆」
P「ありがとうな。」
亜「兄→(C)、兄→(C)、亜美からもチョコあげるね。」
真「真美からもはい。」

 2人から渡された物は懐かしのペンシルチョコだった。

P「おっ!2人からも貰えるなんてな。おいしくいただくよ。」
亜「兄→(C)食べきれないようだったら亜美たちに言ってね。」
真「最近ママがお菓子あんまりくれないから真美たち兄→(C)にあげないで
  食べちゃおうとしたくらいなんだから。」
P「……ははははは……はぁ……」

 そんなことを言われたら食べるに食べれないじゃないか。

P「じゃあ代わりにこのお煎餅食べるか?」
亜「えっ!?いーの?」
真「さっすが兄→(C)、真美たちのことわかってるね〜。んっふっふ〜。」

 ……あそこで隠れてるんだけどひょこっと見えてる頭は………

P「やよいも食べるか?」
や「えっ!?いいんですかっ!?私チョコレートなんか持ってないし……」
P「やよいの気持ちだけで十分だよ。」

 なんてことをやってると………

律「ほらほら、あんたたち。早くレッスン行きなさい!まったくもう……」

亜&真&や「はーーい。」

 そそくさとレッスン場に移動する3人。

P「さてと、俺もとっととレッスン見るか……」
律「プロデューサーには別の用があります。座ってて下さい。」
P「でもレッス……」
律「いいから座る!!」
P「い・や・だ!」

 俺は引き留める律子をおいてとっととレッスン場に行ってしまった。

律「………プロデューサーの……バカ。」

 律子の手元には小さなピンクの紙袋が握られていた。

…………………………

亜「兄→(C)もう疲れたよ〜。」
真「そういや律っちゃん昨日必死に何か作ってたよ?」
や「チョコレートかもしれませんね☆」
P「なん……だと?」

 俺さっき律子にヒドイ事言っちゃったよ……まずいな……

P「ちょっとお前たちはレッスンしてろ。俺はちょっと用があるから…」

3人「はーい。」

…………………………

P「律子っ!律子っ!!」

 事務室に戻ったが律子の姿が見当たらない。
 俺はバカだ。くだらない意地を張ったがためにこんなことになるなんて。

小「プロデューサーさん、律子さんならさっき買い物に出かけたようですけど…」
P「あっ、ありがとうございますっ!!」

 俺は早速外を探しに行こうとしドアを開けると……

P「り、律子!」
律「なんですか?私にはもうプロデューサーにはなんにも用はありませんけど?」
P「律子、本当にすまなかった!今回の事は全面的に俺に責任がある。」
律「ちょ、ちょっといきなり土下座しないで下さいよ!……まあどうしてもと
  言うのなら……」

 律子はポケットから小さなピンクの紙袋を取り出し………

律「あ、そうそう。プロデューサー、チョコレートフォンデュって食べたことあります?」
P「チョコレートフォンデュ?聞いたことないなぁ。」
律「じゃあそっちにしますか。」

 律子は結局取り出した紙袋をまたポケットに仕舞ってしまった。
 お預けを食らった俺はうなだれるしかない。

P「ああ………」
律「少し待ってて下さいね。とびきりの物を用意しますから。」

…………………………

P「律子、このドロドロのは?」
律「チョコレートですよ。」
P「こ、これを食べるのか?」
律「いえいえそのままじゃあ無理ですよ。これはこうやって食べるんです。」

 そう言うと棒にさした苺をチョコにつけて食べ始めた。

律「ん〜〜やっぱり結構甘いわね。」
P「ほおほお、そうやって食べるものなのか。」
律「はい、プロデューサー。あ〜んして?」
P「えっ!?」

 まさかこんなところで律子にあ〜んしてもらうなんてビバ!バレンタインデー!!

P「あ〜ん。」
律「どうです?」
P「なんかいつもより苺がおいしく感じられるよ。律子が差し出してくれたからかな?」
律「そんなお世辞はいいですから。」
P「いや、お世辞じゃないってば。」
律「う…………」

 頬を赤くする律子をじーっとみつめる。しばし無言の時が流れた。

P「と、ところでこのホオズキみたいなオレンジの実ってなんだ?」

 俺がさっきから苺と一緒に置かれている実が気になって仕方なかった。
 なぜならたくさんの苺が盛られている中、1つだけあるそのオレンジの実。
 どう考えてもスペシャルな物としか捉えられなかった。

律「これですか?まあ……ちょっと勇気要りますけど食べてみます?」
P「勇気?そんなものが必要なのか?」
律「まあ食べてみて下さいよ。はい、あ〜ん。」
P「あ〜ん。」

 ポリポリ。ふむ、なんか甘い香りが鼻に抜け…抜け……

P「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」

 辛い!辛い!痛い!熱い!なんだこれは!!

P「ぐああああ!り……りふふぉふぁん………ふぉ、ふぉれはふぃっふぁい……」
律「ああ、これはハバネロですよ。誰かさんの為に用意したんです。」

 誰かさん……お、俺のことか?

P「も、もひはひへ…お、おほっへはふ?(訳:も、もしかして…お、怒ってます?)」
律「なんですかー?なんて言ってるかよくわかんないですね〜。」
P「ふ、ふひはへんへひは……(訳:す、すみませんでした……)」
律「ん〜〜、どうしましょうかね〜。」

 り、律子さん……た、たすけ……ガクリ。

律「あれ?ちょ、ちょっとプロデューサー!プロデューサー!!」

…………………………

P「う、う〜ん……」
律「プロデューサー、大丈夫ですか?」

 泣きそうな顔で俺の顔を覗き込む律子。

P「あ、ああ……妙に胃がムカムカして口の中がヒリヒリするけどな……」
律「すみません、まさかこんな凄い事になるなんて……」
P「いや、律子が悪いんじゃないよ。元はと言えば俺が悪いんだ。」
律「いえ、私が……」
P「……………ぷっ。ははははは!」
律「なんです?急に笑い出して。」
P「いやな、2人して自分が、自分がって言い合ってるのを思ったら馬鹿馬鹿
  しくなってな。」
律「それもそうですね。ふふっ。」
P「そういえば律子。俺、今年まだ律子からちゃんとチョコレート貰ってない
  んだよなー。」
律「うーんどうしようかな?」

 ここまで来てもったいぶりますか、律子さん。

P「お願いです、律子様。どうか、どうか私めに清きチョコレート1個を!」
律「ええっ!?ま、まあ……清いかどうかはおいといてありますけど……」

 ここで登場するのがそう!例のピンクの小さな紙袋だ!

律「はい、プロデューサー。あんまりうまくできてないけど………」
P「ありがとう律子。大事に頂くよ。」
律「…バカ。」
社「ところで律子君、私には…その…チョコレートはないのかね?」
律「えっ?社、社長!!」
P「あ、あの、こ、これはその……」
社「仲がいいのは構わんがもうちょっとその…人目をはばかった方がよいのでは
  ないかね?」

P&律「へっ?」

 言われて周りを見ると……

あ「あらあらお二人とも、仲がとってもよろしいんですわね〜。」
亜「ここでチューしないと駄目だよー。」
千「こ、こういう事を職場でやるのは……」
P「お、お前たち!なにこっちみてるんだ!レッスンしろ、レッスン!」
律「そ、そうよ!べ、別に私はプロデューサーのことなんか……」
P「ええっ!そうなのか………orz」
律「ああっ!そ、そうじゃなくて〜〜〜〜!!」

おしまい。





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