【I love マミー】

 ピンポーン。

律「は〜い。」

 トタトタトタトタ。ガチャッ。

あ「律子さんお久しぶりです〜。」
律「あずささんじゃないですか!どうぞ上がって下さいよ。」
あ「じゃあお言葉に甘えてお邪魔します〜。」

 トタトタトタトタ。

律「あずささん本当にお久しぶりですね。女優のお仕事、どうです?」
あ「ん〜〜まさか私がこんなお仕事をまだ続けられるとは思ってなかったって
  感じですね〜。」
律「みんなで765プロでアイドルやってからもう12年ですもんね……」
あ「時間が流れるのはあっと言う間なのは本当ですね〜。」

 2人して感慨に耽っていた。

律「あれから千早とかと連絡取れてたりします?」
あ「千早ちゃんはずーっと海外生活で全然連絡取れないですね〜。春香ちゃんは
  今でもお会いしますけど相変わらずですね〜。」
律「ふふっ、春香らしいわね。また本番中に転倒とかしてるんでしょうね。」
あ「やよいちゃんは幼稚園の先生をやってるそうですよ。『子供が一杯で楽しいですー☆』
  ですって。うふふっ♪」
律「やよいらしいわね。そう言えばこの間亜美と真美をTVで見たけどあの2人も
  随分変わりましたよね。特に真美はメガネかけてなんか凄い落ち着いた感じ。」
あ「亜美ちゃんは昔のまんま大きくなった感じですね〜。共演するとよくわかりますよ〜。
  スタッフさん達を色々笑わそうと色んな事やってます〜。」
律「まったく亜美ったら。伊織はなんか一気に化けたわね。TVでは更に歌唱力が伸びた
  みたい。国内では歌姫なんて呼ばれてるわね。」
あ「雪歩ちゃんは……連絡とれないんですよね………御実家の事がスキャンダルされて
  雲隠れしちゃったんですよね………」
律「まあ雪歩の事ですから大丈夫……とは思えないわね。あの娘すぐへこむから。」
あ「雪歩ちゃん大丈夫かしら……」
律「真はどうですか?」
あ「真ちゃんは相変わらずです〜。むしろ昔よりも女性的な魅力が更に増した感じで、
 『もうボクは男の子に間違えられないぜ!へへっ。』だそうです〜。」
律「まあそれもどうだか。それであずささんはどうなんです?彼とは。」
あ「ん〜〜そうですね〜。私、プロデューサーさんが運命の人だと思ってたんですけど
  結局今の彼が運命の人だったのかな?って思ってます〜。」
律「じゃあもうそろそろゴールインかしら?」
あ「り、律子さん…そんな私恥ずかしいです〜。」
律「なに言ってるんです。この間のドラマでもラブラブな役だったじゃないですか。」
あ「あ、あれは……そういう役だったから……律子さん酷いです〜。そんな事言う律子さん
  からプロデューサーさんを奪っちゃおうかしら。」
律「ちょ、ちょっと!ってもうプロデューサーじゃないですよ。」
あ「そうですよね……でも私にとってはプロデューサーさんはプロデューサーさんですから。」

 トタタタタ……

?「ママー。」
あ「あらあら、三つ編みのメガネさんで律子さんをまんまちっちゃくしたみたいですね〜。」
律「なぁに直ちゃん。」
直「こちらのおばちゃん誰〜?」

 ピシッ!!

あ「お、おば……」
律「こらっ!こちらはあずさお姉さん!ママの昔のお友達。ほら、ちゃんと
  挨拶なさい。」
直「直美です……」
あ「直美ちゃんって言うのね〜。可愛いわね〜今何歳?」
直「6歳……」
あ「あらあらあら。じゃあもう小学生なのね。」
律「そうなの。最近では家の中で歌を歌ったり踊りを踊ったり、もう大変よ。」
あ「未来のアイドルって感じですね〜。うふふっ♪」
律「血は争えないのかしらね。ダーリンとの娘ですもの。」
あ「うふふっ♪律子ちゃん相変わらず幸せそうね。昔事務所で『伝票早く出して下さい!』
  とかプロデューサーさんに怒鳴ってた頃が懐かしいわ〜。」
律「そ、それは……あの頃は若かったから………も、もう!あずささん、何を言わせるんですか!」
あ「うふふっ♪でも律子さんが765プロをやめてからプロデューサーさんと新しい事務所を
  立ち上げた時、みんなして泣いたんですよ〜?」
律「私もあの後プロデューサーとして色々と仕事してたけどこの娘を産んでからはもう
  家の中に居っぱなしですね………」
あ「やっぱり律子さん、もっとお仕事してみたい?」
律「うん。ダーリンみたいにもっともっと凄いプロデューサーになってみたかったのは事実ね。
  今となってはこの娘がいるから。」
直「ママー、どっか行っちゃうの?」
律「ううん大丈夫よ。ちゃんとママは家にいるから安心なさい。」
あ「やっぱり子供っていいですね〜。」
律「時によりけりですよ。やっぱり自分のやりたい事は制限されますから。」
あ「でも彼女はプロデューサーさんとの愛の結晶でしょ?」
律「そ、それは……まぁ……」
あ「羨ましいです〜。」
律「だ、駄目ですからね!ダーリンは私の………」
あ「うふふっ♪大丈夫ですよ。もうプロデューサーさんは律子さんの旦那様なんですからね♪」
律「あずささん……」
あ「あらあら、もうこんな時間。じゃ律子さん、直美ちゃん、また今度ね。」
律「あずささんもお仕事で身体、壊さないで下さいよ。」
あ「大丈夫。私にはもう私だけの運命の人がいるんですから。それじゃ、ね。」
律「……はいっ。」
直「バイバーイ、あずさおばちゃん〜。」
あ「お、おば………」
律「こらっ!あずさお姉さんって言ったでしょ?」
直「バイバーイ、あずさお姉ちゃん〜。」
あ「はーい。また今度ね。」

 トタトタトタトタ……パタン。

律「はぁ……みんな元気かなぁ………」
直「ママー。」
律「なぁに?直ちゃん。」
直「これ……ママなの〜?」

 直美が出してきたのは1冊のアルバムだった。

律「ちょ、ちょっと!なんでこれが出てるのよ!!」
直「ママ奇麗〜。」
律「……そうね。もうあれから12年かぁ………」
直「このカッコいい人パパー?」

 直美が示した物はダーリンとの初オーディション合格の記念写真だった。

律「そうよ。実はママね、昔はね……」
………………
……………
…………
………
……





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