ロマンティックあげるよ

P「律子、大事な話があるんだが今晩ちょっといいか?」
律「別にいいですけど…なんですか?」
P「この場ではちょっとな……」
律「?よくわからないんですけど…」
P「それは困ったな。まあ軽く食事くらいと思えばいいか?」
律「え?何か奢ってくれるんですか?」
P「そんな高いものでは無ければな。」
律「じゃああのカレー屋にしません?あそこのナンおいしいのよね〜。」
P「カレー屋か……」
律「嫌ですか?」
P「そんな事はないさ。じゃあ今晩頼むな。」
律「ええ。」

 こうして俺の一世一代の勝負は決行される事となる。

−−−夜−−−
P「じゃあ乾杯!」
律「カレーで何を乾杯するんですか!」
P「まあルーでって事で。」
律「ふふっ。なんか今日少し変ですよ?なんかあったんですか?」
P「(小声で)なにかあったと言うかこれからあると言うか…」
律「え?なにか言いました?」
P「いや、なんでもない。」

 俺は必死で動揺を隠した。律子になんかジト目で見られてるが。

律「今日はどのカレーにしようかしら?」

 律子は本日食べるカレーを物色している。今いるこの店はバイキング方式
 なので色んなカレーを選べる事になっている。
 そして戻ってきた律子の皿には中盛りのサフランライスと2枚のナン、野菜カレーに
 マトンカレー、キーマカレー、それにタンドリーチキンがのっていた。

P「そんなに食べるのか!」
律「折角来たんですしおいしいものには糸目はつけませんよ。」

 そんな事を言いつつも早速食べ始めている。

律「ん〜〜、この辛さなんとも言えないですね〜。」

 律子のそんな様子を見ているだけでも和んでくる。

律「で、話ってなんですか?」

 唐突に現実に引き戻される。

P「まあ待て。まずはしっかりと腹ごしらえしてからでもいいだろ?」
律「そうですね。別に急ぐって話でもないんですよね?」
P「急ぐか急がないかは難しいところだな。」
律「じゃあ先に話します?」
P「いや、まずは食べようよ。」
律「OKわかったわ。」

 2人して他愛のない事を談笑しながらもカレーはお腹の中へ。そして……

P「律子、飲み物はなんにする?」
律「ん〜そうね……アイスラッシーがいいかな?」
P「OK。じゃあ取ってくるよ。」

 俺は飲み物を取りに行ってポケットに入っている指輪をアイスラッシーの
 中に沈めた。

P「お待たせ。」

 俺は律子に飲み物を……

律「ちょっと、さっき何か入れたでしょ?」

 しまった!見つかったか!!

律「何入れたんですか!もしかして目薬かなにかですか?でもこれアルコール
  じゃないし……」

 そう言いながらストローをくるくるとコップの中で動かして……

 コン…コン…

律「ん?何か入ってますね。じゃあ変な薬とかじゃないんですね。何入れたん
 ですか?」

 そう言ってずずいっと俺の方に身を乗り出してくる。
 だがこっぱずかしくて言える訳ないだろ。

律「ふ〜ん、あくまでしらを切るって訳ですね。わかりました、この物体の正体
  確かめさせて頂きます。」

 そう言って律子はストローで沈んだ指輪を取り出した。

律「………へ?」

 あまりの事に固まってる律子。

 ドクン、ドクン…おさまれ、俺の心臓!

P「じ、実は話っていうのはな………律子、俺と結婚してくれ!!」
律「…………」
P「…………」
律「…………」

 長い沈黙が続く。

P「………だ、ダメか?」
律「ま、まったくもう、なんでカレー屋なんですか。それに指輪もべったべた
  じゃないですか。」
P「そうだな……」
律「『そうだな』じゃないでしょ!まったく。甲斐性なしなんだから……」

 やっぱりダメか………

P「すまなかった、律子。この話はなかったことに………」
律「ああ、でもそんなだらしない人にはしっかり手綱を操ってくれる奥さんが
  必要かな?」

 顔を真っ赤にして話す律子。手元では指輪が遊んでいる。

P「じゃ、じゃあ!!」
律「も、もっとロマンティックな展開で告白してよねっ!私だってその……
  女の子なんだから………」

…………………………
……………………
………………
…………
……

や「うわー、うわー、こんなロマンチックな展開出来たらいいかもー」
P「お、おい!ちょっと、やよい!何俺のノートを見て……」
や「プロデューサー!私、カレー屋さんでこんな告白されたらいちころですっ☆」
P「そ、そうか?」
や「カレーの食べ放題なんて夢みたいですー。」
P「やっぱりそっちの方か………」
や「でもお相手はなんで律子さんなんですか?」
P「えっ!?そ、それはその………」

 つかつかつか…

律「ふーん、この間の事でも飽き足らずまた妄想ノートですか。」
P「り、律子!」
律「この間の雪山ネタといい、なんで私なんですか!!」
P「そ、そりゃあドラマ化のネタをまとめ……」
律「問答無用!!」

 スパーン!!

P「ギニャーーッス!!」
や「で、律子さんはプロデューサーの事どうなんですかー?」
律「ちょ、ちょっとやよい〜。」

おしまい。





戻る
ホームへ