魔法のタルト

律「はぁ…またこの憂鬱な季節がやってきちゃいましたね。」
小「ええ、私たちにとって史上最悪な時期が。」

 この2人は一体何を言ってるんだろうか?そう疑問に思っていたが
 聞こえてきた拡声器の音で全ての謎は解けた。

車「いしや〜きいも〜、や〜きい〜も〜。ほっかほかのおいもだよ〜。」

 ふむ、久々に食べたくなったな。

P「すみませーん!」

 こうして俺は念願のサツマイモを手に入れたのであった!

………………………

律「プロデューサーの」
小「馬鹿〜!」

 そう文句を言いつつ食べてしまうのは女性の性(さが)だろうか。
 泣きそうな顔をしながらも俺が買った焼き芋はお腹の中に入っていく。

P「ふむ、やはりこういうものはみんなで食べてからこそだな。モグモグ。」
律「だったら自分の分……モグモグ……だけ買えばいい…モグモグ…じゃない
  ですかー。」
小「そうですよ!……モグモグ。」
P「おいおい、2人とも話すのか食べるのかどっちかにしろよな。行儀悪いぞ?」
律「そんな事言われても………モグモグ…誘惑に勝てないんですよ〜。」
小「この一口が……モグモグ……危険なのはわかってるんですけどね〜。」
P「そんなに危険なのか?」
律「なにデリカシーの欠片もない事言ってるんですか!当り前じゃないですか!」
小「この時期は美味しいものが沢山あるからついつい手を伸ばしてしまうんですよね〜。
  お芋とかサンマとかきのことか千早ちゃんとか。」
P「なんか小鳥さんがきのことか言うとまったく別の物を想像し……なぬ!?」
律「はいはい、いつもの妄想はいいですから。」

 そんな他愛もない事を話しながらもつい食べきってしまう。

小「ああ…今年も涙、涙の日々が続くのね……」
P「そんなに太るのがいy」

 スパーン!!

律「嫌に決まってるじゃないですか!!」
P「はい!すみませんでしたっ!!」

 しっかりと調教されている俺。情けないというかなんというか。

小「プロデューサーさん!私にダンスレッスンをお願いします!」
P「……は?」
律「ちょっと、小鳥さん!」
小「律子さんはいいですよね。ダンスで多少なりとも落とせるんですから。」
律「ま、まあそりゃあ……」
P「俺の指導はかなり厳しいですよ?それでもよろしいのですか?」
小「か、覚悟の上です!」

 こうして音無小鳥のデビューもといダンスレッスン(ダイエット)が始まった
 のである。

………………………

律「ほんのささ〜い〜な〜こと〜ば〜に〜きず〜つ〜い〜た〜♪」
小「だけどあまい……はぁっ、はぁっ。」
P「ダメダメ、全然ダメ!リズムに全くあってないですよ!」
小「そ、そんな事言われても〜><」
律「プロデューサー、一応小鳥さんは『事務員』なんですからもうちょっと
  テンポの遅い曲にしません?」
P「と言ってもだなぁ…」
小「い、いいんです!こ、このまま続けてくりゃさいっ!!」
律「小鳥さん、呂律回ってないですよ。」
小「しょ、しょんなこひょ〜……」

 コテン。

P「あっ!小鳥さん!小鳥さん!!」

………………………

小「うう〜ん……」
律「小鳥さん、お目覚めですね。」
小「律子さん。私……」
P「まだまだですね。基礎体力不足ですよ。」
律「ちょっと、プロデューサー!」
小「いいんです、律子さん。本当のことなんですから。」
律「で、でも……」
P「一応これでも手を抜かず律子と同じように扱ってるつもりです。
  ここで小鳥さんのレベルに合わせてしまうと律子のレッスンが
  おざなりになるので厳しくさせて貰いました。」
小「律子さん凄いですね……毎回こんなレッスンを。きっと今の体型が維持
  出来てるのはこのレッスンの御蔭なんですね。」
律「そ、それは……」
P「いえ、律子は更に食事制限も少し行ってますので。」
小「そうなんですか!?……プロデューサーさん。いえ……コーチ!!
  私をもう一度ダンスレッスン見て下さい!!」
P「え?コーチって……ああ、わかりました。その路線ですね。
  わかりました、小鳥さん……じゃなくて音無!ビシバシ行くからな!!」
小「はいっ、コーチ!お律夫人もよろしくお願いしますっ!」
律「お律夫人って私は『竜崎麗香』じゃな〜〜い!!」

 こうしてこのダンスレッスンは夕方近くまで行われたのであった。

………………………

小「コ、コーチ…あ、ありがとうござい……ました…」

 ガクリ。

P「まだだっ!音無、立て!!」
律「ちょっと、プロデューサー!プロデューサー!」
P「ん?なんだ律子?」
律「なんだ?じゃないでしょ!いつまでこのスポ魂やってるのよ!!」
P「あ、そうだった。小鳥さん!小鳥さん!」

………………………

小「うう〜ん……」
律「小鳥さん、お目覚めですね。」
小「律子さん。私……さっきもこんなことがあったような……」
P「気のせいですよ。」
小「プロデューサーさん……」
律「さ、立てますか?じゃあ早く着替えて今日は終わりにしましょ。」
小「そうですね……」

 二人して更衣室に向かっていく。

P「さて、俺も片付けをして事務所で残作業するか……」

−−−翌日−−−
P「こ、小鳥さん……」
律「凄い湿布の匂いが漂ってるんですけど……」
小「そ、そんなこと…アイタタタ!」

 まあ運動不足のところであんな運動したんだ。筋肉痛にもなるわな。

P「翌日に筋肉痛来るってことはまだまだ小鳥さんもお若いって事ですよ。」
小「うぅ…そんな慰めいらないです〜><」

 トットットット…ガチャッ!

春「おはようございま…キャア!!」

 ドテーン!

春「あいたたたた…」
P「おいおい、春香大丈夫か?」
春「あっ、プロデューサーさん!おはようございますっ☆」
P「ああ、おはよう春香。どうしたんだ?そんな息切らして。」
春「小鳥さん、律子さんもおはようございますっ☆」
律「おはよう、春香。」
小「春香ちゃん、その荷物どうしたの?」
春「よくぞ聞いてくれましたっ!昨日徹夜して作っちゃたんですよ!
  皆さんで食べて下さい☆」

 そうして出された手作りのタルトが……

小「ううっ!プロデューサーさ〜ん……モグモグ……」
律「ああ、もうっ!……モグモグ……まったくなんでこのタイミングで春香は…」





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