鬼畜眼鏡な律子さん

律「だからそっちじゃないでしょ!」

 今日は珍しく律子からの怒号が聞こえてくる。ミキめ、何かやったな。

美「そんなこと言われてもミキわかんない。」
律「わからないことないでしょ?今までのレッスンの総まとめなんだから。」
美「あふぅ……ミキ疲れちゃった。」
律「疲れてるのは私も一緒。さっさと続きやるわよ。」
美「ミキ応援してるから律子………さんガンバなの。」
律「『ガンバ』じゃなくてミキもやるのよ!!」

 どうやら新曲のダンスの振り付けでもめてるらしいな。まあここは2人に
 一旦任せて……

律「ちょっとプロデューサー、どこ行くんですか。」
P「……へ?」
律「『へ?』じゃありませんよ!プロデューサーからもミキに言って下さいよ!」
P「と言われてもだなぁ……」
美「ハニーはミキの味方なの。」

 と腕に組みつくミキ。あのぉ…胸がしっかり当たってるんだが…

P「おいおい、ミキひっつくなよ。」
律「これはプロデューサー共々叩き直す必要がありそうね。」

 ゴゴゴゴゴ!

P「いや待て!落ち着け!話せばわかる!!」
律「何を話すことがあるんですか?」
美「ハニーをいじめちゃダメなの!いくら律子……さんでもやっていい事と
  悪い事があるの!」
P「おい、ミキ!それは油に水を注ぐと言うか燃料を投下するというか……
  はっ!?」

 そこにはまるで夜叉の様な形相の律子が静かに、とても静かに佇んでいた。

P「り、り、り、律子さん?」
美「律子……さん、凄い形相なの。」
P「おいミキ!またお前はそういう……」
律「2人ともそこに座りなさい。」

 ああ…赤いオーラを纏っているのが見える。もちろん赤いオーラが示すのは
 怒り以外ない。

P「な、律子落ちt」
律「Sit down!」
P「はいっ!!」

 ちょこん。しまった!条件反射でつい……

美「ミ、ミキ、用があるからあっち行ってるね。ハニー頑張ってなの♪」

 スタタタタ。うわ、逃げた!逃げやがったよ!!

律「さて、プロデューサー。じっくりとお話を聞かさせて頂きましょうか。」
P「は、話って?」
律「先程御自分で言われてたじゃないですか。『話せばわかる!』って。
  さ、どうぞお話し下さい。」

 先程までは夜叉、いやもう般若と言っても過言でなかったが今はまるで
 凍りついたかのように無表情のままだ。むしろそれが怖い。

律「さあ、どうしたんですか?そんなだから先日も飲み屋のお姉さんに
  ふられるんですよ。」
P「ゴフッ!」

 な、なんでそんな事……

律「なんでそんな事知ってるんだ?って顔してますね。」
P「…………」
律「先々日は八百屋の娘さんに声をかけてましたよね。」
P「ブフゥーーーーー!!」
律「いくら新しい芽を探すためでも10歳の娘さんはどうなんですかね?」
P「い、いや…その……」
律「そういえばスタイリストさんから『電話番号を教えて!』と言われた
  なんて話もありますね〜。」
P「ぐふっ!!」
律「まるで見境の付かなくなった犬みたいですよね。犬ですよ、犬。」
P「あうあうあうあうあうあうあう………」
律「で、どんなお話でしたっけ?」

 鬼や!間違いなく鬼や!!

P「ごめんなさい。」
律「あら〜?何を謝ってるんですか?私にお話があるんですよね?ちゃんと
  お話しして下さいよ、プロデューサー。」

 死にたい、いやいっその事殺してくれ!!

律「そうそう、この間小鳥さんに聞いた話なんですけど〜」
P「俺が悪かったです!律子さん!!」
律「なに目上の方が目下に『さん』付けしてるんですか。どうしたんです?」

 ああ……どんどん律子が悪魔に見えてきた……
 まさに「オレ、オマエマルカジリ」されてる気分だ……

律「で、何か言うことは?」
P「……無いです……」
律「じゃあミキを連れて来て下さい。即刻です!!」
P「は、はいっ!!」

 今日の律子は鬼畜だ!!

律「何ちんたらしてるんですか!!とっとと行く!!」





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