給与支給日
P「今月もなんとか乗りきったな。さてと今月の給与はっと。」
本日は25日、給料日だ。楽しみに給与明細書を開くと……
P「ん?なんだこの『秘書支払い−5000円』って?」
あまりにも見慣れない単語に思わず小鳥さんに確認してしまった。
P「小鳥さん、この『秘書支払い』って項目なんですか?」
小「あ、プロデューサーさん。私もなんか変な項目増えてて首を傾げて
るんですよ。」
そう言って小鳥さんの明細書には『間食税−2000円』と書かれていた。
P「は?間食くらいいいじゃないですかってそんな問題じゃなくこれは
一体……」
とそこへ凄まじいうなり声が上がったのである。
社「こ、これは!むぅぅぅぅぅぅ!!」
P「社長、どうしました?」
社「どうも何もないぞキミ。これを見たまえ。」
社長の給与明細書には『珈琲代−12万円』とか書かれていた。
P「うわ……これはキツイですね。」
社「うむ、コーヒーなくして仕事は勤まらんからな。しかしこれはなんだ?
小鳥くん、これはなんだね?」
小「実は私も『間食税』なんてものが足されてて何がなにやら……」
3人で「むむ〜」と唸ってると、
律「おはようございます。」
社「律子君!」 小「律子さん!」 P「律子!」
思わず3人で声があってしまった。
社「律子君、これはどういうことかね?」
小「律子さん、間食税って私そんなにお菓子食べてます?」
P「律子、この秘書支払いってなんだ?」
矢継ぎ早に律子に質問を投げかける俺達。すると
律「社長、この間も言ったじゃないですか。物価が高くなってコーヒー代も
経費で引き落とせなくなったって。なので今回1年分のコーヒー代を
まとめて頂きました。」
社「むぅ……」
小「じゃ、じゃあ私の間食税は?」
律「小鳥さんは常時おやつ食べすぎです。客先からもいつも『電話に出られる方、
いつも何かモゴモゴしてる』って苦情入ってますよ。ですのでペナルティ
です。少しは気をつけてくださいよ!」
小「しょんぼり(´;ω;`)」
P「じゃあ律子。俺の『秘書支払い』ってのはなんだ?」
律「決まってるじゃないですか。私への報酬ですよ。」
P「はあ?」
あまりな物言いについ素っ頓狂な声を上げてしまった。
P「じゃあ何か?俺は毎月律子に5000円ずつ支払わなくちゃならないのか?」
律「だってそうじゃないですか。請求書はほぼ全部私が訂正しなおしてるじゃない
ですか。この間なんて計算が1桁間違ってましたよ?」
P「むむぅ。」
社「だがな律子君。」
律「だからもなにもありませんよ。ちゃんと改善してくださいよ3人とも。」
律子に押し切られる俺達。ぐうの音も出ないところで律子が俺の背中を突付く。
律「(小声で)プロデューサー、ちょっと外に来てください。」
なんだろう?と思い外に出てみる。
律「プロデューサー、わざわざみんなにペナルティかけるような事して怒ってます?」
急に弱気な質問を投げかける律子。
P「まあ社長と小鳥さんは自業自得な感じもするけど、俺のはちょっとなぁ。」
律「だってプロデューサーの請求書間違いだらけじゃないですか。オフの日も気が気で
ならないんですから。」
P「いや、オフくらいしっかり休んで貰え……」
律「じゃあちゃんと請求書くらい書いて下さい。そうすればこんな『秘書支払い』なんて
項目必要なくなりますから。それともどこか私をおいしいもの食べに連れて行って
くれます?」
P「おいしいものか。だがちょっと懐がな……」
そこで律子が取り出したる5000円札1枚。
律「ここにプロデューサーから頂いた『秘書支払い』の5000円があります。
これをプロデューサーにお返ししますので。」
これは暗に食事に誘ってくれと言う事なのか?はは〜んそういうことか。
P「だが断る。」
律「ええっ!?」
P「それはもう俺の金ではない。だから受け取れないな。」
律「でも元はプロデューサーの…」
P「そうかもしれない。だがもう給与から引かれてしまったものに未練を見せるのは
男らしくない。律子はそう思わないか?」
律「う゛……で、でもぉ」
ありありと作戦と違う!と書かれてるような顔になる律子。ふむ、あと一押しだな。
P「そういうことだから俺はこれで。」
律「ま、待ってくださいよ!」
P「ん、なんだ?」
律「その…ごめんなさい。」
P「おいおい、なに律子が謝ってるんだ?秘書支払い、いいじゃないか。」
律「だ、だから〜」
P「俺は今月5000円既にマイナスなんだ。律子が奢ってくれるって言うんだったら
考えてもいいかな。」
律「…え?」
ここまで言われてようやく言いくるめられた事に気付く律子。
P「最近肉ばかりでたまにはおいしいところ開拓したいんだよな。」
律「ふふっ、この律子様に任せなさい。おいしい焼き魚を食べさせてくれるお店、
紹介するわ。」
P「勿論律子の奢りで、だよな?」
律「う〜んどうしようかな〜?」
P「おいおい、勘弁してくれよ。」
律「その食事に私を同行してくれるなら考えるわ。」
そう言って律子はニコッと笑った。
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