パワーゲイザー

小「プロデューサーさん、TV局の方から手紙きてますよ。」
P「あ、すみません。」

 差出人は某TV局のディレクターさんからだ。封を切ってみると
 どうやら企画書らしい。うちのアイドルにTV出演してみて…

P「なんだと!!」

 俺は思わず叫んでしまった。あまりにも凄い企画だったからだ。

−−−企画内容−−−
場所:どこかの温泉
やる事:各アイドルのマネージャ、プロデューサーを労う企画で
    各アイドルが『一緒に温泉に入る』

つまり……

律「プロデューサー、そこに座って下さい。」
P「は、はい。」
律「なに正座してるんですか。今日はお説教じゃありませんよ。背中
  流しますからこっちじゃなく反対向いて下さいよ(//▽//)」

 律子はいつものDEEP SEAな水着姿だ。流石にバスタオル巻き
 では無理だったようだな。

律「プロデューサーの背中って思ったより大きいですね。」

 ゴシゴシ。

P「そ、そうか?」
律「ええ。お父さんともまた違った感じですよ。」

 ゴシゴシ。

P「…………」
律「…………」
P「…………」
律「ちょっと、何かしゃべってくださいよ。なんか恥ずかしいじゃないですか!」
P「あ、ああ……(言えない!とある部分が元気になったなんて)」
律「じゃあこっち向いて下さい。前も洗いますから。」
P「な、なぬっ!?」
律「ほら、早く!」
P「は、はいっ!」

 俺は意を決して律子のほうを向く。

律「何隠してるんですか!それじゃ洗えないでしょ?」
P「し、しかしだな……」

………………………………

P「イヤッホゥ!受ける、受けるぞ!この企画!!」

 何故か知らんが俺の血が騒ぐ、たぎる、燃えるぞぉぉぉぉ!!

P「しかし、この企画を素直に律子が受けるか?」

 まともに考えて水着にもなりたがらない律子の事だ。即座に真意を見抜いて
 『嫌です!』といいかねん。

P「とすると誰か協力者が必要だな。」

 俺は思案した。

−−−千早の場合−−−
千「プロデューサー、何故私が水着で背中を流さねば?」
P「いや、実はこれこれこういう企画なんだよ。」
千「歌とまったく関係ありませんね。確かにプロデューサーにはお世話に
  なってますが、それとこれは別です。」

………………………………

P「う〜ん、駄目だな。千早には歌が無いと無理だな。」

−−−あずささんの場合−−−
あ「プロデューサーさ〜ん、お背中流しますね〜。」
P「あ、あずささん。なんで手に何も持ってないんですか?」
あ「うふふ。ちゃーんとスポンジならありますわ〜♪」

 そういって胸にボディソープを垂らし…

………………………………

P「うわっ!ヤバイヤバイヤバイ!!とてもTVで放送できないぞ!
  とすると誰が一番協力者として……あの娘しかいないか。」

−−−当日−−−
や「さ、プロデューサー。お背中流しますね〜。」

 ゴッシゴシゴッシゴシ。

P「はぁ…結局作戦は全て失敗かぁ。律子にはやっぱりバレバレだったし。」
や「はいプロデューサー、腕上げてください〜。」

 ゴッシゴシゴッシゴシ。

P「なんか普通に親子の関係みたいな光景だなぁ。とほほ。」

 結局この企画はやよいとの撮影になり、俺の目論見は潰えたのだった。

………………………………

 その裏で。

律「文句言いながら実は来てるんですよね。」

 いつものDEEP SEAな水着姿の律っちゃんが呟く。

律「泣いて頼んだんならやってもよかったのにね〜。」

 あの企画書は律子案、ディレクター経由でプロデューサーのもとに渡った
 物だった。

律「ここで私が乱入したらどうなるかしら?」

 そう思いつつも世間体、将来を考え行動に移せない律子だった。




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