ケーキバイキング

 どこかで見たことありそうな3人がサングラスをかけてなにやら
 テーブルで笑みを浮かべていた。いや、正確には2人サングラスで
 1人はメガネであった。

律「じゃあ早速」
春「頂いちゃいましょうか♪」
真「ボク、ガンガン食べちゃいますよっ!」

 3人の前には数々のケーキが並べてあった。
 今日は3人でケーキバイキングへ行こう!とちょっと異色な組合せ
 でのお出かけとなった。

律「真はさぁ、最近どうなの?」
真「え?どうって?」
律「決まってるじゃない。仕事の方よ、仕事。」
春「真ちゃん、この間も新曲だしたもんね。」

 先日、真のNEWシングル『エージェント夜を往く』が発売されて
 最近人気は鰻上りだった。

真「でも女の子のファンばっかでまだ全然男の子からのファンレターとか
  なくてちょっと悔しいよ。春香なんて男の子から沢山貰ってるじゃん。」
春「そんな事ないよ〜。私なんてまだ駆け出しもいいとこだし。」

 春香はまだデビューして間もないが、その天然さに興味を持った男の子
 からのファンレターが毎日のように届いている。
 最近では目の前で跪くファンもいるとか。

律「はぁ、あんたたちはいいわね〜。」

 そして我らが律っちゃんは……最近伸び悩んでいるらしい。

春「律子さんもっと衣装とか大胆にしてみるとかどうですか?」
真「そうだよ!折角そんないいプロポーションしてるのに勿体無いよ!」
律「そう?私は見た目こんなのだし、ずん胴だし、それにそういう露出
  路線って媚売ってるようで嫌なのよね。」

 そんな事を話しつつテーブルに置かれていた9個のケーキはあっと言う間に
 無くなってしまった。

真「ボクなんか律子や春香みたいに胸はそんなに大きくないし、どうやっても
  男の子に見間違えられるから悔しいよ。」
春「まあそれも真ちゃんの1つの魅力なんじゃないかな?」
律「そうそう。売れるうちが華よ。」

 新たなケーキをまたテーブルに持ってきつつ3人でほおばる。

律「それにしてもここのケーキほんとおいしいわね。」
春「ですよねー。ほっぺたおちちゃいそうですっ☆」
真「ボクなんか家でケーキなんて食べられないから誘ってくれて嬉しかったよ。
  やっぱりケーキ食べ放題は女の子の夢だよね!」

 この幸せな時間がいつまでも続くといい。そんな雰囲気さえも感じさせるが
 幸せな時間は長くは続かなかった。

女A「あ、あの…もしかして菊地真さん…ですよね?」
 真「え?あ、はい。じゃなくて人違いですよ!」
女A「やっぱり真さんですよね!!あの握手お願い出来ませんか?」
女B「あれ?真クンじゃない?」
女C「ほんとだ!」

 気付くとまわりには人だらけ。これではケーキを食べている場合じゃない。

律「真!春香!急いでっ!!すみません!お代金はあとでこちらにお願いします!」

 手際よく店員に765プロの名刺を渡して店を飛び出る3人。

春「はぁ、はぁ、酷い目に遭っちゃいましたね。」
真「2人ともごめんよ。」
律「なに言ってるのよ。人気があってこそでしょ?」

 とそこへ見慣れた車が通りかかった。

 P「お?春香に真、律子なにやってるんだ?」
3人「プロデューサー!」

…………

律「というわけよ。」
P「ふむふむ、そうだったのか。まあ災難だったな。」
真「ほんとそうですよ!」
春「真ちゃん、まあまあ。」
律「で、プロデューサーはなんでこんなところで?」
P「ああ、ちょっとな。ところでお前達、腹減ってないか?」
律「は?今ケーキ食べて来たばかりですよ?」

 ググー。

真「へ、へへー。す、すみません。ボクちょっとお腹空いてきちゃって。」
春「私もちょっとだけお腹空いてるかな〜なんて思っちゃったりして。」
P「律子はどうする?」
律「んもう。こうなったら最後まで付き合いますよ!」
P「よし、じゃあたまにはお好み焼きでも行くか。」
真「さっすがプロデューサー!ボクたちの好みわかってますね〜」
春「私なんにしようかな〜?」
P「ははは。だけどあんまり食べ過ぎるなよ。一応お前達は765プロの
  商品といっても差し支えないんだからな。」
律「わかってますって。ちゃんと運動して脂肪を燃やしますよ。」

−−−後日−−−
真「あちゃー。」
春「ううっ、こんな、こんな……」
律「はぁ〜〜。」

 体重計の前で3人が嗚咽を漏らしていたのは言うまでも無い。




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