【 小さくて固くて、酸っぱいりんご 】


りんごをかじりながら街を歩く姿、日本ではあまり見かけませんが、
スロヴェニアではごく普通の光景です。
市場で売っているりんごを買い、ゴシゴシとセーターで磨いて、ガブリと丸ごとかじる。
庭の木になっているりんごをもいで、ガブリ。
居間のテーブルの上でかご盛りにされたりんごを一つ掴んで出かけて、歩きながらガブリ。
ランチ代わりにカバンから出してきたりんごをガブリ。
ちょっと小腹がすいた時に、ガブリ。

とにかくスロヴェニア人はりんごが好きです。
庭にりんごの木がある家も多く、田舎へ行くとあちらこちらにりんごの木があります。
どこにでもあるので、実がなったままに放ったらかしにされている木もあるのです。
日本の果物屋さんに売っているような大きくてピカピカのりんごではなく、
小ぶりで 固そうなりんご。
ひと口かじると果汁がじわっと口に広がって、
甘いばかりではなく酸味もちゃんと効いている、そんなりんごです。

それほど身近なりんごですから、もちろんお菓子や料理にも大活躍します。
ピカポロンツァでも【ギバニッツァ・クラシック】としておなじみの
「プレックムルスカ・ギバニッツァ」はりんごを使った代表的なお菓子。
薄い皮でりんごをグルグル巻きにしてオーブンで焼き上げる
「りんごのシュトゥルードゥル」、焼きりんご、りんごのパイ、フルーツケーキ等々、
あげるときりがないほどにりんごのお菓子があります。


りんごの写真がのったスロヴェニアの料理本の写真
料理本の写真にも、やはり小さくて固そうなりんごが使われています

料理でも、ソースにしたり、豚肉や鴨、鶏の肉などと一緒にオーブンで焼いたり、と大活躍。
鶏の丸焼きを作る時には、きれいにしたお腹の中に炊いたお米やハーブをつめて焼きますが、
中身が出ないように最後に小さなりんごで栓をします。
鶏が焼き上がったら、りんごも一緒に頂きます。

そして、忘れてはならないのが干しりんご。
砂糖漬けにしたものではなく、ただりんごを乾燥させたもので、
スロヴェニア独特のドライフルーツです。
干しりんごは、スポンジみたいにフカフカしてとても地味。
口に入れても最初は味がないような感じですが、噛んでいるうちにじわじわじわっと、
りんごの甘みと酸味が出てきてなんともいえないおいしさがあります。
この干しりんごはスロヴェニアのフルーツティーの味のベースとしても使われています。
フルーツケーキに使っても、また格別の味わいが生まれます。

地味で平凡だけれど、飽きる事のないおいしさ。
働き者で実直なスロヴェニア人の姿にどこか似ているような気がします。


酸味のあるジューシーなりんごがあってこそ、
【ギバニッツァ・クラシック】が おいしく焼き上がります


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