夜叉神峠・高谷山から桃ノ木温泉 2000年11月


 写真撮影が目的の例会に初参加した。コンパクト・カメラでも構わない、ということだったが、あいにくいつもの軽くて小さいカメラ(オリンパス・ミュー)は、修理中である。
 折角だからと古〜いながらも愛着のある「オリンパスOM-1」に75〜150mmのズーム、更には軽めの三脚を背負うと、とんでもない重さになってきた。

 夜叉神峠に着いたのが4:00過ぎ。真っ暗だ。思いのほか寒くない。
月が出ているものの、樹間に星が光芒を放っている。右手にはひしゃく星が大きく横たわっていた。
 眠い。ほとんど眠っていない。・・・道は峠までは遊歩道と言ってもよいだろう。ゆっくりゆっくり登る。

 日の出を考えると、出発が早すぎるのでは、と思ったものの、目の前にはうっすらと白根三山が姿をあらわした。どうやら雪化粧しているらしい。
風が吹く中、いろいろ着こんでから、セッティングにかかる。持ってきた三脚は丈が足らず、造りもヤワでだめだ。・・・折角重いのを担いできたのに。
だいぶ明るくなって、ASA400だったこともあり、1/125で切れるようになってから、手持ちで撮影した。

 薄明から美しい姿の北岳、間ノ岳、農鳥岳。農鳥にはなぜか雪が無い。
いわゆる「モルゲン・ロート」(朝焼けで山が赤く染まる事)を求めて、シャッター音が鳴り響く。望遠で撮ると、さすがに迫力がある。
・・・と、フィルムを巻くのに妙に力が要る。・・・しまった!24枚撮りなのに、数字は26あたりを指している。マニュアル機なので、つい忘れてどんどん巻き上げてしまった。あわてて巻き戻すが、ギシッという音とともに何だか急に巻上げが楽になった。これはもしかして・・・。いやな予感。

 もう1本あるので、気を取り直して裏フタを開けてみると・・・!!
フィルムが千切れて、巻き上げたままになっていた。これで全ておじゃん。
早起きして寒い中、ずっと撮っていたのに。情けない思いでフィルムを手で抜き取って、もう1本に期待する。だいたい、古いせいか、フィルムのちいさな溝にひっかりにくく、何度も巻き上げとかみ合わずに、開けては巻き直す。

 裏フタも何だかちゃんと閉まらない。ようやく押し込むと閉まった。が、やはり巻き上げに伴ってフィルムが回っていないようだ。開けて直さなくては。昔のカメラ??はみんなこんなものだったのに、今は電池が写真を撮っている機械になってしまった感がある。大体、みんなのカメラはすごい!見たこともないようなカメラばかり。それもみんな「ピピッ」と合わせている。

 ・・・えっ?・・・裏フタが開かない!
いくら引いても、フタが開かない。フィルムが入ったまま。ということは・・・。

 今まで撮った写真もパー、これから撮ろうにもフィルムがきちんと掛かっていないまま、フタも開かず、一体私は今日は何しに来たの?!という状態に。あんまりだ。まるで今日は歩荷しに来たみたいだ。力が抜ける。

 あとは重いだけのお道具一式を背負って、前夜の雨で濡れた落ち葉で滑り台のような急坂を、ひたすら桃ノ木温泉に向かう。あっちでもこっちでも「あっ!」という声とともに皆スリップする。一人何回?という感すらある。こういう日に限ってストックを持ってこないのだ。気をつけようと思っていたら、私もとうとう一回だったが滑ってしまった。

 白根三山を見ることが目的だったので、この目に焼き付けてあとはトレーニング登山だった。期待の桃ノ木温泉は、1000円もするので、当然「高すぎるよ!」と26人(バス二台)に素通りされる羽目に。

 しかし、私は一体何しに山に行ったのかいな。カメラに縁が無い1日だった。
コンパクト・カメラは修理が終わったと電話があったが、受け取って、代わりにOM-1をださなくちゃ。それより、修理、受け付けてくれるだろうか?心配になってきた。


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