<楽譜の選択>13/11/28更新


★バイエル下巻程度での併用楽譜について★
・バリバリ練習できる生徒の場合には余り迷うこともないかもしれませんが、完全に趣味、あるいは練習時間に制約がある、など少し寄り道しながら ピアノに取り組もうという場合には、私は最近はこんな組み合わせで使っています。
(大人の初心者の方にも使える楽譜だと思います。)

メイン:トンプソン現代ピアノ曲集<「小さな手のための曲集」→「1巻」*こちらをご参照下さい。>
テクニック・読譜用:バーナムピアノ教本(1)<*こちらをご参照ください。>
併用曲集:ギロックベスト レベル(1)
     ラーニングトゥプレイ/ロック・リズム・ラグタイム 1

  
<初級テキスト>
 入門書については入門書あれこれをご参照ください。
<従来からよく使われる標準的な入門用教本>
全訳ハノンピアノ教本従来の楽譜は、1つの音型を3オクターブにわたって反復練習するものです。また最後の方は24調にわたる音階やアルペジオなど、いわば小学校1年から高校3年までのような、レベルの幅が広い教本です。
最近のハノン

ハノン40の練習曲 第1巻
学習研究社、800円

やさしいハノン
ドレミ出版社、800円

各社から、1オクターブに限った楽譜が出版されています。
また、1〜20番までのものは、音符も大きめで、リズムのパターンも大きく掲載され、ごく初歩からでも使いやすくなりました。
ピアノの上達にはやはり反復練習が欠かせませんが、その意味ではやはり優れた教材です。
ここにご紹介する本は中身は殆ど変わりません。どちらも20番まで、各1オクターブです。
学習研究社版は大人向け、ドレミ出版社の方は子供向けです。
ブルクミュラー25の練習曲 これらはほとんどの先生が使うものでしょう。しかし、みな良い曲だと思います。
<時々使われる練習曲集>
ツェルニー30番練習曲
ケーラー 小さな手のための20の練習曲
(Zenーon piano library)
ブルクミュラー程度での併用としてお勧めします。子どもや手の小さな初心者に非常に合っています。1つずつは1ページ分の長さですが、まとまっており、使いやすいと思います。
リトルピシュナ 48の基礎練習曲集(60の指練習への導入) 解説付
(Zenーon piano library)
これは中学生以上か大人の初中級者向けの教材だと思います。最初からどんどん調を変えていくので、子どもの初心者には向かないでしょう。手もしっかりしていないと黒鍵が多い個所が大変です。逆に、意欲のある大人の初心者など、この曲集の意図が理解できる場合には強みになるでしょう。調性感を養うのに向きますし、良い指の練習になるでしょう。
<比較的新しい教本で優れたもの>
バーナム・ピアノ・テクニック エドナ・メイ・バーナム著・全音・(ミニブック→導入書→1巻→)
様々なレベルで使えます。イラストも楽しく、練習するのが楽しくなるような教材です。薄い本です。
ピアノのアルファベット
(全音・700円)

ピアノの練習ABC
内容はおなじですが、こちらは従来からある版です。(音友、1100円)

ルクーペ著
フランス系の先生にはポピュラーな教材ですが、バイエル育ちの私などには新鮮に映ります。ブルグミュラーの次に使うととても使いやすく、生徒の側もパターン練習の次に曲があるので分かりやすいし、響きもフランス的でGoodです。お薦めします。
こどものための50の練習曲 ルモアーヌ著、全音・1200円・80p
これもフランス系で、ピアノのアルファベット(ABC)の次に使うといいようです。ツェルニー100番と30番の間くらいのレベルで、特に趣味の生徒さんにはツェルニーは単調なので代わりとしてお薦めです。が、きちんとテクニックを身に付けたい生徒さんにも向いています。
ラーニングトゥプレイ/ロック・リズム・ラグタイム 1(2巻もあります。)
(Learning to Play)
音・900円・48p
ユニークな教材です。1と2では随分レベルが違います。最初はバイエル中級程度でOKのレベルです。現代のリズム感や音感を養うのに適しています。楽しいタイトルで、今風の曲なので、小さい生徒さんも結構喜びますし、大人の初心者にも面白いでしょう。 
<初級の曲集>
  ギロックベスト レベル(1) ロックの曲集としては一押しです!
従来の楽譜には、少しレベルのばらつきが見られましたが、この新しいシリーズは、とても使いやすく編集されています。
この(1)はバイエル中級位から使えるでしょう。一番使いやすいギロックの入門書となりました。

CDが出ています。アマゾンで視聴してみて下さい。ギロック・ベスト-レベル1・2
ギロックベスト レベル(3) これはブルクミュラーが終わった辺りで使うと良いと思います。綺麗な曲が多いので楽しくなると思います。
どう言う曲なのかは、CDが出ているので確認できます。アマゾンで視聴できますので、是非聞いてみて下さい。
ギロック・ベスト-レベル3・4
ギロックピアノピースコレクション1 全音から出ています。バイエル80番程度以降なら使えると思います。弾きやすく譜読みがしやすい曲ですが、音楽的にも優れています。
ソナチネアルバム(1)
ソナチネアルバム(2)
全音、各1000円
定番です。古典派の作品が中心です。
トンプソン現代ピアノ教本 各レベルに対応しています。バランスのとれた教材です。
カバレフスキー:こどものためのピアノ小曲集 全音、850円
比較的よく使われている思いますが、優れた作品が多く、是非使いたいものです。
ハチャトゥリャン:少年時代の画集 全音、1000円
中級に少しかかるレベルですが、素敵な小品が多く、子供たちにもなじめる近現代の作品です。
近・現代名曲集(上)
2200円
中村菊子編
レベルはもっと上までの曲が入っていますが、易しい曲もたくさんあります。特にデロ=ジョイオの「ちいさな蝿」、カバレフスキーの「わがままな弟」など、とっても楽しい曲が一杯です。また、前述のハチャトリアンの「少年時代の画集」からもとり上げられています。CDも発売されているので便利です。
<中級テキスト>
モシュコフスキー20の小練習曲
全音,1000円
ツェルニー40番相当レベルとして、お薦めします。旋律的で、練習もたのしめるでしょう。
カバレフスキー「こどものためのピアノ小曲集」
全音,850円
近現代曲として優れた曲集です。よく使われます。
チャイコフスキー「こどものためのアルバム」
全音,750円
ロマン派の入門として使える曲集です。
シューマンこどものためのアルバム作品68
全音,1100円
これも非常にポピュラーです。「楽しき農夫」など、広く知られた曲が沢山。
チャイコフスキー 四季
全音,950円
1年12ヶ月にあわせた12曲からなる曲集です。
あとは様々な教材が出版されています。ロマン派のもの多く、メンデルスゾーンやグリーグピアノ名曲集などの名を挙げることができます。


<全音の難易度別教本・曲集一覧について>

全音楽譜出版社(全音)の楽譜には裏表紙を1枚めくるとランキングが載っています。
これは実は相当いい加減(?)で、そもそもランクをつけることに無理があるので、この表に一喜一憂するのはナンセンスです。


<外国版楽譜の選択>

上級になると、使う楽譜にも気を使わなければなりません。
ごく一般的な選択肢をリストアップしておきます。

以下の2社の楽譜は多くの作曲家の楽譜を出しており、よく利用される、標準的な楽譜です。

 
Henle(ヘンレ)版   Peters(ペータース)版

 

ベートーベン・ピアノソナタ
  Henle(ヘンレ)版 入試などでも標準となる楽譜です。(★アラウ版のことなど、勘違いでヘンレ版のほうに載せていました。お詫びして訂正します。)
  Peters(ペータース)版 URTEXT(原典版)という言葉を覚えておきましょう。ベートーベンのピアノソナタでは校訂者が2人いて、アラウ版とマルティネッセン版がありますが「アラウ版」がいいでしょう。
ちなみに、アラウはピアニストのクラウディオ・アラウ氏です。CDも沢山出ていますよ。
シューマン
  Breitkopf(ブライトコプ)版 妻クララが監修。これが定番です。
ショパン
  ヘンレ版
  ペータース版
  Paderewski
(パデレフスキー)版
ショパンについてはよく利用されます。校訂者パデレフスキーは、ポーランドのピアニストです。

日本語版も出ており比較的安価です。

しかし、パデレフスキーの解釈ですので、ショパンならこれ!とまでは言えません。

ドビュッシー/ラヴェルなどフランスもの
  Durand (デュラン)版など。
バルトーク
  Universal (ユニバーサル)版など。
プロコフィエフ
  Boosey&Hawkes (ブージー&ホークス)版など。


 版権の問題で、日本では手に入らないものもあります。
また、輸入楽譜はいまだに法外な換算レートで値段がついています。ペラペラの楽譜に4000円も払うこともザラです。

 ただし、使う人が多いヘンレ版、ペータース版、パデレフスキー版などは適正価格です。
これら楽譜は地元の楽器店に無い場合は取り寄せです。
東京では銀座の山野楽器に行けばほぼ揃っています。

 

安い外国版の楽譜

私の御用達サイト:(日本語のサイトです。)

Amazon.co.jp アソシエイト クラシックのCD
ピアノの楽譜国内版

 

楽譜の選択全般について

 
初級の間は楽譜の選択について悩むこともないかもしれません。理由の1つは、主に指の鍛錬、楽曲構成の理解などのための曲が多いので、版がどれであっても余り問題がないからです。

 中級以降になると、選択の必要が生じます。従来は「全音」しか手に入らないとか、値段の関係で外国の楽譜なんて高くて、という場合もあったでしょう。
しかし、今ではまだ価格は「高値安定」のものも多いですが、様々な海外の出版社の楽譜を手に入れることが可能になりました。

 バッハなどの時代は、現在のピアノという楽器は完成していません。よって、当時の楽器ではの区別、レガートとスタッカートの区別くらいしか出来ませんでした。ということは、クレッシェンドやディミニュエンド等は校訂者の考えだということです。装飾音の奏法も時代や作曲家によって異なったり、同一の曲の同じ箇所の装飾音でも、なされる演奏はまちまちです。(これで1冊本が書けます。)
 
 また、近代の作曲家でも、同じ曲でも表記が全く異なる場合も非常に多く、ここでどの楽譜に従うか、という問題が出てきます。(表記が異なる原因は様々ですが、例えば、作曲後に改定が行われる場合など。)
 大雑把に言えば、出版されている以上、どの版を使っても良いわけです。ただ、一応これがよく使われる版だ、というものもあります。

  校訂者によって判断も大きく異なり、一番よいのはそのいくつかを比較検討して自分で判断することです。指使いなども校訂者によっては、非常に研究されており、役に立つものも沢山あります。

 従来は余り評価の高くなかった(?)全音の楽譜でも、最近は校訂者によってとても参考になる解釈や指使いなどが書き込まれていたり、最新の研究結果が反映されているものもあり、見逃せません。(いずれの場合も、校訂者による解釈には括弧がつけられていたり、但し書きが添えられていて、原典版に元から書かれた指示とは区別できるようになっています。)

 例えば、ショパンのエチュードでは山崎 孝さんの校訂による版は大変参考になる指使いや、細かい練習方法が詳しく載っており、実に勉強になります。
[全音:ショパン エテュード集 原典版 山崎 孝・校訂 井口秋子・監修、(作品10と25の2冊。)]

様々な版を選ぶ基準は、主にこの校訂者によると考えてください。


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