仙丈岳&甲斐駒ケ岳  2000年9月29日〜10月1日


 新宿駅を金曜夜23:50発の急行アルプスに乗車。毎度おなじみの列車である。今回は「楽してテント」と銘打って、北沢峠にテントを張って、百名山2つに登るという欲張った例会なので、総勢18名である。テントも5張用意。みんなもザックが大きいが、なぜか私のがトップ3に入るくらい大きい!なぜ?(パッキングが下手だからです・・・。)
 午前2:08甲府駅着。改札を出て、駅の通路にマットをひいてシュラフにくるまり、2時間の仮眠。ずらっと並ぶと壮観である。しかし、やっていることは、ダンボールをひいて身を縮めて寝ているホームレスのおじさんと同じ。何となく苦笑してしまう。やっと、ウトウトしたかなと思うと4時。予約のジャンボ・タクシー二台に分乗して、広河原へ向かう。外は暗く、みんなまた車内で寝入ってしまう。
 約1時間後、広河原で降り、朝食をとる。バスは6:50発。長い登山者の列ができ、小さめのバスが4台、5台と並ぶ。25分の乗車(超満員!)でようやく北沢峠へ。長衛小屋のテント場に手分けしてテントを張り、8:15に本日の山、仙丈岳へと向かう。
 5合目から小仙丈へ向かうと、素晴らしい展望。北アは槍・穂高はもちろん、妙高も。三角錐の北岳のむこうに雪化粧の富士山もちょこんと見える。勿論、明日の甲斐駒も、目の前にそびえたっている。絶景かな!とはしゃいでいると、あっという間にガスが上がってきて、なんとサーっと雨が降ってきた。予報では午後からなのに。・・・あわてて雨具を着て、山頂へ。寒い。避難小屋まで降りてくると、風もよけられて、ようやくほっとする。が、新築の小屋のためか、小屋番は非常に愛想が悪い。「(悪天候なので、ゆっくり飯なぞ喰っておらずに)さっさと降りた方がいいよ。」と言われてしまった。印象悪し!また、外で震えて昼食をとっていると、「ザックをテーブルの上に置くな。」と言われてしまった。
 5合目からまた元の道に合流するが、寝不足のせいで、下を向いて歩いていると眠くて眠くて・・・。長衛小屋について、早速夕食の準備。ほぼ雨も止んで、みんなで楽しいクッキング。寒くなったので、早めに寝た。・・・よく寝たと思ってふと目をさますとまだ夜の9時だった。次に目をさますと何と大雨が降っている。不安になる。明日は甲斐駒に登れるのだろうか?
 朝4時。5時出発の予定なので目覚ましが鳴る。雨が降っている。テント場もざわついている。「行くの?」という声が飛び交う。私にとってはどちらも初めての山。是非行きたい。でも、みんなが行かないと言えば無理はいえない。Yリーダーが各テントを廻って希望を聞いている。私のテントは3人中私だけ。あと5名希望者がいるという(18名中)。リーダーは「一人でも希望者がいれば、行くよ。」と言ってくれる。雨の中、まだ暗いのでヘッドランプをつけて、希望者6名とリーダー2名(CL,SL)の8名で仙水峠経由で甲斐駒ヘ向かう。傘をさしてお見送りしてくれる人もいる。私のテントでは、(あわてて支度をしたので片付ける暇がなかった)「シュラフなどはあとで適当にザックにつっこんでおくから、気にしないで行っておいで。」と送りだしてくれた。みんなとっても優しい。
 朝一番は毎度のことながら何だか調子が悪い。仙水峠で朝食の予定のせいか、雨具でムレて暑いのと、空腹と、やはり疲労とで気分が悪く、不安になる。戻ろうか、という考えがチラっと頭を過る。仙水峠間近で遅れ出す。「ゆっくりでいいよ。」とみんなが待ってくれる。峠近くの岩場で朝食。食欲ゼロ。温かいお湯でレモンティーを飲む。ゼリー(100カロリー)でご飯代わりとする。片付けて歩き出す。峠で左に折れると、ここから約1時間は樹林帯の急登。「天国への階段だね。」とYリーダー。(天国??) 先頭にしてもらって急登を必死に登り出すと、案外体が軽くなってきて、ホイホイ登ってしまう。一気に駒津峰まで行けそうな感じさえするが、「そろそろ休む?」に「勿論!」で、休憩。後ろのみんなに、「速いよ!」と言われてびっくり。「さっきと顔色が全然違うね。」と言われる。またしても私のいつものパターンであった。
 雨も小止みになり、一般ルートで甲斐駒頂上を目指す。30人の近ツリの団体を抜いて、花崗岩の白い砂地をあえぎあえぎ山頂へ。この頃には青空さえ見えてくる。「テントのみんなが悔しがっているね。」「私たちは心がけがいいからね。」などと言いたい放題である。来た人の勝ち!・・・山頂で写真を撮って、ゆっくり満足感に浸る。中央線からいつも見え、気なっていた山、甲斐駒。ようやく登りついて、深い充実感を味わった。
 下山はいつもの猛スピードである。さっき1歩1歩息も絶え絶えに登った道を、今度は息も切れずに駆け下りる。これだから山はやめられない。随分おりてから、例の近ツリ団体とすれ違う。「もう登ったの!?」・・・8人だと身軽です。
 帰りは双児山経由で。晴れてきて、急に暑くなり、合羽を脱ぐ。甲斐駒を降りても駒津峰や双児山への登り返しがあって、案外辛い。しかも超特急である。「みんなが待っているからね。テントも片付けないと。バスの時間もあるし。」と速い速い!まさに駆け下りてあっという間にテン場へ。「あれ〜、速かったねえ!」と留守番部隊が迎えてくれる。やはり、みんなで手分けしてテントを撤収、しかも日干ししておいてくれた。さすが!
 あとは13:15にバスに乗って、広河原へ。ゆっくり昼食をとって、迎えのタクシーで甲府の温泉へ寄ってから、満員のあずさで通路に立ったまま新宿着。強行軍ではあったが、とても満足な山行だった。


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