<ピアノのメーカーと機種> 2017年10月1日 更新
- グランド・ピアノとアップライト・ピアノ
演奏会場にあるような、平べったい大きなピアノをグランド・ピアノ、靴箱のような形の省スペース型をアップライト・ピアノと呼びます。さらに、グランド・ピアノにもサイズがあります。
大きなホールにあるのは一番大きな(長い)サイズのピアノで、これを「フル・コンサート・ピアノ」、略して「フルコン」と呼びます。一番長いところで約280cmあります。
学校の音楽室にあるようなグランド・ピアノは大体160〜190cmです。「フルコン」より少しだけ短いタイプは「セミ・コンサート・ピアノ」つまり「セミコン」です。
自宅に置いて練習に使うような機種では長さは180cm位です。これは、椅子を含めて、畳2枚(1坪)に全て納まる大きさです。
ピアノの蓋を開けて覗いてみてください。
中に大きなハープみたいなものが2つ入っています。奥のほうではこの2つが上下に重なっています。
大きいピアノでは、この重なり部分が少なくなります。
アップライトでは重なりが多いだけでなく、狭い箱の中に押し込めるために、打鍵の機構などに無理があります。(グランドの方が単純な造りになっています。)
一例をあげれば、アップライトでは、すばやい連打などになると、音が追いつけなくなって、指がきちんと打鍵していたとしても音がくっついてしまいます。ですから、あるレベル以上になると、グランドでないと上達できなくなってしまうのです。
これらの機構の違いなどはピアノメーカーのHPでご確認ください。
個々のサイズや、部屋に置いた時のイメージなど、ヤマハ・ピアノ・シティのコンテンツは非常によく出来ています。
ヤマハで買うつもりでなくても、ご覧になるといいでしょう。
★ヤマハ・ピアノシティ★
こちらです。
- 日本のメーカー
ヤマハ、カワイが二大メーカーです。これ以外はお薦めできません。個人的にはヤマハをお奨めします。
- 海外のメーカー
スタインウェイ・アンド・サンズ(STEINWAY&SONS)・・・ドイツ;アメリカ
ベーゼンドルファー(BÖSENDORFER)・・・
オーストリア(ウィーン)
代表的なのはこの2つでしょう。
- それぞれの特徴
スタインウェイ
コンサートが行われる会場で最も(多分90%以上の確率で)目にするのはスタインウェイです。テレビでもピアニストの手元を映すと必ず目に入ります。なぜでしょう。
それは、最もバランスが取れた、癖のない音色だからです。バッハからドビュッシー、現代の音楽まですべて守備範囲です。公共の会場にも必ずと言っていいほど備えてあります。
ちなみに借りるのは安く、(とはいってもホールごと借りる訳ですが)10,000円位です。発表会などでも使えるわけですね。ただし、使う前に調律で2〜3万円かかります。
ベーゼンドルファー
ウィーンのブランドだけあって、渋めの音がします。ブラームスなど向いているかもしれません。
好みの問題です。一流のホールには大抵スタインウェイとこのベーゼンは置いてあります。
ヤマハ
日本を代表し、世界にも通用するブランドになりました。
特にフルコンのCF, CF3(最高機種)は素晴らしい音です。公共のホールではスタインウェイが無くてもこのCFはあるでしょう。
また、実際に音大生などが購入し、弾くのはヤマハがほとんどです。
アップライトではまだカワイや他のメーカーもそこそこ売れていますが、自分で選定できる方は自分の好みでお選びになればよいのですが、全くの素人で・・という方にはとりあえずヤマハをお奨めします。
ただし、どんなに"素人で分からない"といっても、ピアノの専門店に足を運び、実際に(分からないなりにも)弾いてみて、お店の人に詳しい説明を求め、納得のいくまで比較検討する手間を惜しまないでください。これからながい間付き合うことになる、大切なピアノの購入なのですから。
インターネットでも調べればかなりの知識が得られます。
実際、そうして納得のいく選択をなさったかたもおられます。
また、日本の夏(高温多湿)と冬の激しい変化に何とか対応できるのはやはり日本のメーカーです。(海外のピアノや、ヤマハでも高級機種は温度・湿度の管理が完璧にできる環境が最低条件です。一般の家庭とはまず無関係の話ですが・・・。)
- 価格
まずはヤマハから・・・
最初に買うのはアップライトでしょう。ヤマハでは60〜80万円のものをお薦めします。カワイは少しタッチも音色も硬い気がします。
いよいよグランドに買い換えるなら、選択肢はまずはC3という機種でしょう。値上げしたようですが、現在定価で160万円です。
実際は前のピアノの下取り(と、サービスと)でかなり値引きします。楽器店との交渉次第ですが、妥当なラインは決まっているようです。
なお、グランドはともかく、最初のアップライトをどこで買うかですが、デパートより楽器店の方がずっと値引きします。
憧れの?スタインウェイはフルコンでは気が遠くなるようなお値段、家庭に置くような長さ155cmのタイプでも600万円くらいします。
(同サイズのヤマハなら100万円位。)フルコンではケタが違います。ちなみにヤマハのフルコンも1,000万円を超えます。
- ピアノは消耗品
趣味のままでしたら1度買ったアップライトを一生使うことも不可能ではないかもしれません。(きちんと手入れすればの話ですが。)
しかし、実際には消耗品です。
音大生や先生など、ピアノを専門に使う場合は、グランドでだいたい15年が限度ではないでしょうか。ただし誰が何時間弾くかで大きく異なってきます。
また、メンテナンスも大切です。私は半年に1度は調律と整調(アクションなどの調節)をお願いしています。
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