王岳  2000年11月25日

ルート:精進湖登山口〜女坂峠〜五湖山〜王岳〜鍵掛峠〜西湖


 富士五湖の精進湖畔から登り始める。朝は霧で寒い。展望が期待の山なのでちょっと心配するが、歩き始めると、体温も上がり、日が高くなるにつれ、精進湖も見えてくるので、安心する。コンクリートの堰堤があるのは仕方ないことだろうが、やっぱりちょっと幻滅する。枯れ木の間を登っていくとすぐに女坂峠。ここからは稜線を行く。王岳がどっしりと向こうの方に構えている。

 稜線沿いに右手に白い帽子を浅くかぶった富士山が常に見える。葉が落ちているのでよく見えるが、夏は隠れてしまうだろう姿である。かなりの割合で痩せ尾根が続く。景色に見とれていると足元が心許ない。こういうところほど要注意!・・・そのうちにアキレス腱のストレッチ運動のような急坂をえっちらおっちら登り詰めると、南アルプスの山々---鳳凰三山、白根三山、八ヶ岳などが見える。本当は富士山も素晴らしい姿なのだが、つい360度の展望に見とれてしまう。ここでお昼。

<王岳はまだ遠い>

お昼を済ませると、やっぱり荷物が軽くなって「さあ、また歩こう!」という気になる。実際は食料と水が胃袋に移動しただけで、背中が軽くなった分、体が重く?なったはずなのだがこれこそ、「気のせい」だろう。
稜線をアップダウンするが、なかなか楽ではない。しかし、ずっと富士山が微笑みかけてくれる。あの裾を長く引いた姿は日本一の山に相応しい。本当に「見る山」だと納得する。

王岳直下はやはり急登。地図でも等高線の密なこと。仕方ない。
展望はまあまあ。勿論正面に富士山。足和田山や西湖も見える。これから降りる西湖の湖畔の家々も。

 ・・・ちょっとした岩場を下ってあとは鍵掛峠までまた稜線を行く。あんまりいつまでも富士山が見えるので?みんなも歓声も上げない。富士山の姿にもう満腹??
 峠からは右に折れてジグザグの下降。「ブナ原生林」という札がある。落ち葉でカサカサカサカサ。傾いた夕日を浴びて、逆光に輝く落葉した木々と黄色い落ち葉。本当に美しい。この季節はこの景色に触れるために山へでかけるよなものだ。心のカメラに深く焼き付ける。時々真っ赤ななごりのカエデが好対照を成す。

 だいぶ歩いてようやく湖畔の村?へ降りてくる。最後に小さくなった富士山が頭を茜色に輝かせて見送ってくれた。日が落ちるとぐっと冷えてくる。短い冬の1日、充実した山行だった。


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