三頭山     2001年8月25日

コース*
都民の森〜三頭大滝〜三頭山(西峰)〜ヌカザス山〜浮橋〜小河内神社バス停
行動時間*都民の森〜山頂:2時間、山頂〜バス停:3時間


<序章>

 急遽例会(山行)が中止となったため、飯豊例会で仲良くなったLilyさんと「どこか行こう!」ということになり、奥多摩の三頭山(みとうさん)が候補に挙がる。他の会員からも「週末、どうする?」とメールが飛び交ううちにベテランのIさんとMさんも加わって鬼に金棒、女性4人で出かけることとなった。

 Lilyさんと私には初めての山ということで、2人で必死に情報を収集。JR武蔵五日市発のバスと、下山口の小河内神社、エスケープルートの笹尾根下山に備えて数馬のバス時刻を調べる。

  *西東京バスHPは意外と詳しく、便利です。
  *主要バス停の発車予定時刻表(ページ最下部には「小河内神社」もあり。)

 ルートは昭文社の地図を表裏よく眺めるうちに、「都民の森」拡大図から、滝とお花が楽しめて涼しそうな沢沿いのコースを提案。
下山路は、急坂の連続と記載があるものの、後見役のお二人にも初めてのヌカザス尾根を敢えて選んでみた。
 万一の時は笹尾根でも、都民の森の中を戻ってもよいと思い、ようやくコース、時刻とも決定、全員に連絡も済んで、ちょっと安心。

<最初の失敗>

 乗り継ぎと立川発の時刻はHP「駅前探索倶楽部」で全員分を確認、立川発7:20の列車内で全員揃う。五日市8:25発の急行「都民の森」行きバスに余裕で間に合い、1時間余りで立派な駐車場・トイレなどの施設を持つ「都民の森」案内所へ。

 ここは奥多摩周遊道路沿いの施設で、山間の静かな環境にそぐわず何と暴走バイクと車のサーキットと化し、ひっきりなしの爆音で本当にがっかりする。めざす「けやきの路」の入口は外の周遊道路を300mほど歩くとあるようで、距離を確認して歩き出す。
<只今の時刻 9:35>

 歩道があるので木陰を選んでゆっくり坂を登り出す。・・・あれ、入口はどこ?・・・ここで”にわかリーダー”の私はやおら地図を取り出し眺めると、あろうことか、入口は逆方向、案内所から下った方向だった!

 「山に登る」=上り坂のばず、という思い込みで先ず失敗。あえなくIさんに先頭を譲ってしおしおと最後尾へ。
 案内所から再度入口を目指そうとするが、なぜか歩道がなく、いつ暴走車がくるかと不安なので、都民の森に入って「森林館」経由で、行くことに決定。
<只今の時刻 9:50>

<名誉挽回>

 森林館への道でもうレンゲショウマを発見!ツリフネソウもそこここにあって、歓声が上がる。「大滝の路」には木のチップが敷き詰められていて、足にも優しく香りもあって嬉しい。風も涼しく、ほっとする。あずまやで水飲み休憩。
<只今の時刻 10:15>

 すぐに立派な滝と、滝見の吊り橋へ。トイレに休憩小屋、ベンチまであって至れり尽くせり。さすがに時間が早すぎて昼食というわけにはいかないが、写真を撮ってしばし休憩。

<橋から見る三頭大滝>

 ツリガネニンジンらしい花があちこちに咲いていて、花は種類は多くないものの数はかなりあって楽しませてくれる。

<都民の森の中は標識だらけ。>

 暫く歩いて分岐。ここからは沢沿い、階段状ながらも”遊歩道”から”山道”らしくなってきた。
 「あら、涼しいわね!」「よかったわ!」とコース選びは大成功?ちょっと名誉挽回かな。随所に大木の説明や生物の説明板があって親切だ。
 花はツリフネソウ、ホトトギス、レンゲショウマなど。
道の様子などを最後尾で写しながら石段状の道を行く。

<みんなは快調!>

 何度か沢を渡り返して高度を上げていく。時々軽装のハイカーが降りてくる。

 沢の水は冷たく、タオルを濡らして首に巻いたりすれば、真夏の登山ながら予想以上に涼しい。マイペースで歩いているはずが、あれ、あれ、・・・。心臓がドキドキバクバク、えっ、うそ〜!?

 飯豊であれだけ歩いたのに、その後"休養"と称して何もしないでゴロゴロしていたからだ。参ったな〜。(大いに反省。)
 仕方ないので何度か臨時休憩をとってもらって息を整える。
「いいのよ、これが個人山行のいいところなんだから。」・・・みんなは優しい。

<ツリフネソウが咲いています>

 石の階段も終ると沢とお別れ、いよいよ本格的な山道へ。すると、レンゲショウマが斜面のあちこちに咲いている。「今日はもうこれだけでも満足だわ。」との声も。
 私もだんだん復調し、みんなとふざけて「点呼をとらなきゃ!」「じゃ、後から。」「1,2,3,4!」「OK!」なんて楽しみながら歩く。 

 そのうちにムシカリ峠に出て、山頂を目指す。これがまた延々と続く木の階段だった・・・。ふ〜、苦しい!

<頂上への木の階段>

 出会う人も急に多くなって、山頂の近さを実感する。下りてくる人たちに「もうすぐですよ。」と励まされながら1段1段足を運ぶ。・・・長い長い「もうすぐ」のあと、ようやく山頂に到着。
<只今の時刻 11:48>

<静かな尾根?>

 山頂は開けていてベンチもあり、先客10数名が思い思いに休憩している。
まずは「三頭山山頂」の標識の前で4人揃ってパチリ。
 あとはゆっくり昼食とする。

 出発前に地図を広げてコース略図を書き、降り口は御堂峠からということ、三頭山はピークが3つあって、しかも標識と登山地図で表示が異なっていること(西峰に"中央峰"の表示があること)までは理解しているつもりだった。

 そして下山路の尾根には順に鶴峠分岐、オツネの泣坂、ムロクボ尾根分岐というポイントがあることも暗記していたのだが・・・。

 ゆっくり昼食をとって、コースタイムから小河内神社発16時台のバスの時刻にあわせ、ゆっくり歩いても間に合うように出発する。
<只今の時刻 12:40>

 頭の中では最初の通過ポイントである「鶴峠(分岐)、鶴峠(分岐)」という声が聞こえる。
 どこから降りるのかな?と考えながらあっちかな、と皆で歩き出すと、「鶴峠」という標識が。
「こっちだね!」と歩き出すと「ここからは都民の森ではありません。」という警告板が目に付く。「ああ、ハイカーへの忠告ね。」と皆でやや優越感を持って通り過ぎる。

 やや狭い尾根ながら静かで「山歩き」という言葉がピッタリの小道となる。ちょっとした岩の関門のような箇所を過ぎるとなかなかのアップダウンが続く。前にも後にも誰もいない。

 ほの暗い尾根の林の中にはキノコがたくさん。やけに背が高くすっきり伸びた白っぽい大きなキノコが目につく。(カラカサタケだったらしい。)

<あ〜大失敗!>

 ルンルン歩いて40分ほど過ぎた頃、
「鶴峠分岐はどこだろうね。」「あれ、なかったね。」
「見落としたのかな?」「変だね、一応地図、見てみようか?」

「あっ!!」と私。
「えっ??」とみんな。

「やっちゃった。」「え?」
「鶴峠と鶴峠分岐を間違えたみたい。」

・・・そう、分岐という言葉から何となく字に分岐するようなイメージがあり、さらに鶴峠と鶴峠分岐を混同してしまった。
 実際には鶴峠は・・・90度方向が違う!しかもバスの便はなかったはず。引き返すのが一番いい、という結論に。
あ〜二度目の失敗!すみません!ごめんなさい!

かくしてまたもやUターン。
<只今の時刻 1:20>

 引き返すとなると、今度は越えてきた起伏が妙に大きく、登り坂の何とキツイこと!みんなも妙に黙ってしまう。(すみませ〜ん、私のせいです。
 あれだけ確認してきたはずの”御堂峠”と、分岐のムシカリ峠を勘違いし、真の「中央峰」にいるつもりになっていたのだ。(実は西峰。)

 必死に歩いていると、何と向こうから女性の2人連れが。
念のため尋ねてみる。
「どちらへ?」「ドラム缶橋のほうです。」「それはこの道ではありませんよ。私たちも間違えたんです。」「え?」・・・やっぱり間違える人はいるらしい。

 ようやく元へ戻って山頂へ辿り着く。無意識のうちに急いだので帰りの速かったこと。2時に着いて、水飲み休憩。
改めてよく見ると、なんと座っていたベンチのまん前にトーテムポールのように大きな標識が!
「こんなにはっきり書いてあったのにね!」「見えていないものねえ。」「これじゃIリーダーに大笑いされちゃうね!」「ナイショにしなきゃ!」
・・・ようやく気持ちにもゆとりが出た。ほっ。
<只今の時刻 2:05>

 再度地図を確認し、御堂峠経由、ドラム缶橋方面へと間違いなく進む。
「な〜んだ、広い尾根だねえ。」「こんないい道なのね!」

<今度こそヌカザス山へ>

<まだまだ続く?>

  明るいノンビリした尾根を歩いていると山頂から20分余りで本物の「鶴峠分岐」が。そして広い尾根の先が急に視界から消えるようになると、急降下が待っている。ははあ、これかな?オツネさんは。

<オツネ泣坂>

 写真では分かりにくいが、これがまた大変な急坂で、しかも距離が長い。いっそ滑り台を作って一気に降りたら何て楽だろう、と思う。
トラロープが張ってあるが、これなしには恐ろしくて降りられない。木の根と根で作る棚田のような踏み代も、狭くて足の置き場が無い。
雨の日や凍結したら危険この上ない。

 仕方ないので次々に幹に掴まって慎重に降りていく。スキー場で言えば最高斜度の「ジャイアント」とか何とか形容されるスロープだ。おツネさんでなくとも泣きたくなる。
やっとの思いで鞍部に辿り着いて休憩。
<只今の時刻 3:05>

 このあとはイヨ山まで滑りやすい急坂の連続。石車に乗ってはすべりそうになる。こういう日に限ってストックを持ってこないのだから!
 ガイドブックには「標識の無いイヨ山」とあったが今は標識が整えられている。
ここを過ぎればようやく少し傾斜が緩む。

 もう私は足が痛くて痛くて。左足の膝裏が痛くて歩くのが辛い。足元はツルツルの赤土に変わって大弱り。・・・そのうちに聴きなれたエンジンの爆音が聞こえ始め、周遊道路が近いことを知らされる。あの音で一気に下界へ引き戻されるのはくやしい。ともかくも何とか下山口に着くことが出来た。
<只今の時刻 4:40>

 そろそろ夕暮れが近づきつつあることが分かる。もう晩夏、秋はそこまで来ている。
 周遊道路に降りてくると今度は俗に言う「ドラム缶橋」への降り口を探す。歩道がないので走ってくる車に注意しながら左手に降り口は?と目を凝らして歩くが、湖面まではかなりの高度差もあり、ガードレールの途切れる場所も標識もないまま、何だか橋を通り過ぎたようだ。変だな。

 「ガイドブックを読んでみましょう。」・・・「降り口は分かり難いって書いてありますよ。」 そう、ガイドブックの本領がいずくにあるかを思い知った山行だった。
山頂の降り口もガイドブックの記事を再読すれば、「御堂峠」「西峰・本峰の区別」も見落とさず、ルートも間違えなかったはずである。
 再度戻って探してみる。すると、ちょうど橋の真上に当たる位置に字形に細い道があるようだ。

 Z字はすぐにロープの張ってあるまっすぐな急坂になって樹林越しに橋が見える。「ここですね。」・・・何と鋼鉄のガードレールを跨がないと行かれない。分かりにくいどころか、これでは気づかないだろう。
 降り口は、とんでもない急勾配、ロープをしっかり掴んで後ろ向きに一人一人降りる。降りたところにコンクリートの堤防のような箇所があって、全員が降りるのを待つ。
 ふと右手に目をやると、フシグロセンノウのオレンジ色の花が斜面一杯に所狭しと咲いている。

 さらに短い急坂を降りて右へ進むとロープで通せんぼしてある。跨げばようやくドラム缶橋へ。よく見ると、もっと整備され、ゆるやかなスロープが伸びている。周遊道路のもっとずっと先に合流しているのかもしれない。

 長い橋を渡れば、すぐに左手に道路、「バス停は左へ30m」という表示あり。親切だ。軽いハイキングのはずが、道を間違えて結構歩いたのでみんなも足を伸ばしてストレッチ。お疲れ様でした!
<只今の時刻 5:05>

 バスは5:19となっている。乗れば30分ほどでJR奥多摩駅だ。・・・バスは早めに来て、途中でどやどやと登山者の1団を乗せると40分近くかかって見慣れた駅舎に着いた。列車はあと10分で来る。あわててホームへ。
5:56の奥多摩発に乗って山行は終った。

 今回は負け惜しみのようだが、本当によい勉強になった。地図だけでは分からない細かい地形はガイドブックでよく確認すること、やはり1/25000地形図で起伏を確認し、尾根の状況を正確に判断すること、登山口と山頂からの下山口を慎重に確認すること、そして少しでも疑問思ったら立ち止まって確認すること。・・・もう一度チャンスをみつけてにわかリーダーをしてみたいと思った。失敗も役に立てれば大いに結構(大いに迷惑!?)。

 今回は本当に仲間に恵まれ、ミスをしてもみんなでフォローしてくれて、有難かった。どうぞ次回もお見捨てなく!
 まだまだ修行は続くのでした。


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