袈裟丸山   2005年5月27日夜〜28日

コース:折場登山口〜後袈裟丸山 往復
折場登山口5:18〜6:23展望台(賽の河原)6:33〜小丸山〜7:45避難小屋〜8:48前袈裟丸山(1878m)8:54〜9:36後袈裟丸山(1908m)9:46〜10:25前袈裟丸山11:00〜11:45避難小屋〜小丸山〜12:46展望台(賽の河原)13:00〜13:48折場登山口


GWの怒涛の山行から3週間以上も間が空いてしまった。今回の山行は袈裟丸山。一度は訪ねてみたいと思っていた山である。しかし、コースタイムは長め。
ちょっぴり不安は残るが、そろそろ通常装備(?)に戻して大きなザックで出かけてみることにする。

相変わらずのマイクロの夜行。この頃は割に眠れるようになったが、座席を倒すことも出来ず、頻繁に目が覚めるのは仕方ない。
登山口には早めに着いて、もう暫く時間調整。最後の惰眠をむさぼる。

4時台には明るくなる。そろそろみんなトイレに行ったり、朝食を食べ始めるので、う〜ん、と諦めて起きることにする。
流石に外は冷たいが、思ったほどではない。出発は何時かなと思いつつ、おにぎりを食べ始める。
トイレは一箇所なので長蛇の列。そこそこの広さの駐車場に、車はまだ2,3台か。(人気の山なので、すぐに満車になるという。)

さ、支度をして、出発。午後の雷雨が怖いので、早出に限る。(5:18)
大あくびをしながら歩く。あ〜今日は背中のザックがズッシリ重い。

少し体が温まってきた頃、目の前が大きく開けてくる。そして、右手にはずらっとツツジが咲き乱れる。白、ピンク、オレンジ。ああ目が覚めるようだ。

        


シロヤシオ

みんな思い思いにカメラを向ける。ツツジの木に人が群がっている感じ。でも、こんなに見事なツツジに迎えられて、一気に目が覚める。いい山だなあ〜。

ツツジの撮影会も一段落すると、左手の遠景がようやく目に入る。綺麗な山並みだなあ。
え、あれが袈裟丸連峰?うっそ〜!
随分遠いなあ・・・。


袈裟丸連峰

花や景色に見とれながら、しばらくはなだらかな道をいく。さらに道が平らになったと思うと展望台がある。塔の沢コースとの分岐である。ここで休憩。咲き残りのアカヤシオもあるが、ミツバツツジなど本当に美しい。

先はまだ長いけれど、花に囲まれて歩くと苦にならない。すぐに賽の河原に出る。なるほど、景色が一変する。(火山の名残らしい。)


賽の河原

標識があるのはここだけだが、この先も2,3箇所、同様の場所がある。・・・地形図の通り、このあたりは本当に歩きやすい道ばかり。でも距離はある。
今度はわ〜綺麗!と歓声があがる。落葉松の芽吹きが逆光に美しい。杉や檜の暗い植林地と違って、目に優しい明るい林だ。袈裟丸山は、登山者を飽きさせない山のようだ。


落葉松の林

しかし、お楽しみはまだまだ続く。今度は見事なアカヤシオ地帯に突入。易しいピンクの花に包まれて、これぞ桃源郷か・・・。

  
アカヤシオの桃源郷

夢見心地に歩いていると、小丸山ってどこだったの?といううちに、黄色いかまぼこ型の避難小屋に出る。
あたりは景色が変って、今度は白樺林だ。ちょっとガスがかかって、幻想的。
ガスが晴れたら、目の前に前袈裟丸山がそびえている。白樺林の中を、いよいよ本格的な登りになる。

    
白樺の中、前袈裟丸山へ

流石に急登になる。滑りやすい急坂を必死に登っていく。ロープも数箇所掛けてある。
頑張って登っていると、今度は石楠花が迎えてくれた。まだ咲き始めのようだ。濃い蕾の色が鮮やか。


石楠花に励まされて急登をいく

もう少しなのに体が重い。ふ〜。もう3時間半も経つのか。今日は長丁場だなあ。
列の最後になりつつも、ようやく頂上へ。なかなか見晴らしも良さそうだ。でも、ゆっくり休んでもいられない。すぐに後袈裟丸山へ向かうことになる。

ここから先は、登山口には「通行禁止」の標識があるが、実際には通行止めにはしておらず、「注意して行って下さい(でも責任は取らないよ。)」ということらしい。八反張のコルの崩壊が進んでいて危険というのがその理由である。

ザックをデポしてもよいという指示が出たが、空模様も怪しく、黒い雲も出ているため、やっぱり全部背負っていくことにする。
まずは下っていくが、早速沢山のシャクナゲに嬉しくなる。このあたりはちょうど咲き始めで、来週くらいには見事な花の饗宴になるだろう。


登山道はシャクナゲの道

稜線沿いのルートはだんだん痩せ尾根になっていき、急降下し始めると列が渋滞する。どうやら危険箇所の八反張のコルに来たらしい。どんな様子かな、と覗き込むと、なるほど両側がかなりえぐれているが、鎖とロープが両側にめぐらされている。むしろ、コルへの下りの方がいやらしい感じがする。


難所「八反張のコル」

実際に降りてみると、支柱はグラグラしているが、Iリーダー曰く、「絶対に鎖から手を離さないこと!万一支柱が抜けても鎖に掴まっていれば落ちないから!」・・・なるほど。
最低部を渡る時に両側を覗いて見ると、確かにザレているが、頭から落っこちない限りは死ぬ程ではないだろうな〜と思った。が、危険であるには変わりないし、確かに支柱はいつ抜けてもおかしくない頼りなさだった。

この難所には珍しい花が咲いている。ユキワリソウだ。ピンクのコザクラソウのような花だが、登山道脇のユキワリソウは固い蕾だった。


ユキワリソウ

しかし、少し離れた先の斜面にはいくつかが綺麗にピンクの花を咲かせているのが見える。望遠レンズがあったらなあ!
さて、難所を渡ってもその先は大変な急登の連続だ。気を抜くと真っ逆さま。おお怖い怖い!
笹に掴まってよじ登るが、これをまた戻る時はどうしよう、とそればっかり考えるほど。

後袈裟丸山の頂上は辺りが切り払われてなかなかの展望がある。立派な標識もあり、群界尾根と奥袈裟丸山から先への縦走路が両側に続いている。
ガイドブックでは「うしろ・けさまる」とルビがあるが、標識には「あと・けさまる」のローマ字が当ててある。どっちが本当なのか分からないが、地元では「あとけさ」の方だという。

さて、あの怖い滑り台のような急斜面をどうやって降りようか、と考えながら降りはじめる。
きゃ〜怖い、とあっちこっちで声が上がる。両側の笹を根元から掴みつつ、何とかコルまで必死に降りていく。
あとは鎖を信じて登り返すだけ。またシャクナゲの花に囲まれた道を行く。

痩せ尾根に気をつけながらも、前袈裟丸まで戻ると達成感と安堵感に包まれる。ゆっくり昼食を楽しむ。
だんだん他の登山者も登ってくる。カメラを手に持った人ばかりだ。お目当てはツツジなのだろう。
ゆっくり座っているとだんだん寒くなってくる。みんなで集合写真を撮ったら下山である。

前袈裟丸からの急降下に注意しながら、あとは緩やかなルートを戻る。記憶を逆に辿るような感覚だ。
そうそう、白樺の次はアカヤシオの林、それから・・・。

賽の河原では今日が初めての登山というご夫婦に出会う。何と地図もコンパスも持っていないという。現在地も分かっていない。
もう午後一時だし、装備も不十分と思われるので、賽の河原までの往復を勧め、手持ちのルート図を渡して、地図の購入と下調べの仕方を伝えて別れる。
無防備さを非難するのは簡単だが、誰しも最初は似たり寄ったり。他山の石とする。いい人たちに出会った、と言ってもらえてほっとする。

賽の河原の少し先で、小高いピークに登るとピンクのツツジに彩られた斜面が見える。今年は本当に花に恵まれた山行が続く。嬉しいなあ・・。

最後の芝生斜面に入ると、とうとう足が悲鳴を上げだした。わ、どうしよう。
流石に今日は長丁場、なまった足にはテキメンである。ああ、ストックをもってくるのだった。後悔先に立たず。

どうも私の泣き所は膝裏の筋肉のようだ。一気にペースダウン。
それでもシロヤシオに慰められて、あと一息。
芝斜面に別れを告げれば、駐車場までもうすぐだ。

最後に怪我をしないように、と慎重に降りていく。あ、バスだ。
行動時間は8:30、これが歩けないと夏山はないぞ、とトレーニングを心に決めて、バスに乗り込む。
載ったとたんにちょっとポツポツ落ちてきたが、幸い夕立にもならず、下界は晴れていた。
東北道の渋滞もなく、明るいうちに池袋着。
充実の袈裟丸山行となった。


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