岩戸山と真鶴半島の自然林  2001年12月22日

熱海峠〜岩戸山〜伊豆山神社と真鶴半島


 今年最後の山行は暖かく展望の良い十国峠から岩戸山となった。
 この季節は家を出るときにまだ"夜"で、星まで瞬いている。5:30に家を出る。真っ暗なのでストックをこれ見よがしに振りかざしながら、やけに明るい街路灯の下を歩いて行く。新聞屋さんのバイクの音だけが聞こえてくる。・・・

 新宿から出発、マイクロバスである。いつもの面々が揃って嬉しい。(唯一残念なのはK子さんが風邪でお休みなこと。先週はお会い出来たのだが。)
 やや風が強くなるという予報を聞いて、今日は完全防備。さて、縁起良く富士山がにっこり笑ってくれるだろうか。・・・バスは東名を少し走って箱根方面へ。

 そのうちに十国峠に出る。ここで身支度を整えて、少し先の熱海峠から登ることに。「熱海峠〜玄岳」という標識(有料道路へ)を左へ入って、すぐのところで下車。大きな墓地の広告看板がある。降りると風がある。アスファルトの道を登っていく。・・・これが、なぜか、苦しい!話をしながら何食わぬ顔で登っているのだが、息が切れて切れて。(実はここが全行程で一番苦しかった!)
 しかし、すぐに小高い丘に出る。ここに墓所の募集をしているようだ。左手に登ると、「おお!」富士山がお出迎え。目の前には先ほどの十国峠からリフト?で上がった位置に円筒形の展望台が見える。


<富士山と十国峠>

 今度は振り返ると、これまた、おお!
伊豆半島と太平洋に大島まで逆光に浮かび上がってなんと幻想的なこと。
しばし我を忘れて見とれてしまう。
(↓写真はイマイチでした・・・。)


<伊豆半島と太平洋>

 みんなも思い思いに写真を撮って、富士山の背景の山並みは南アだろうかと地図を取り出して眺めていたが、また丘を降りてルートに戻る。ちょっと残念なのは、東富士演習場の砲撃の音が響いてくること。う〜ん。

 まずは東光寺を目指す。さっき登ってきた舗装道路をそのまま道なりに下れば赤いのぼりに引き寄せられるようにお寺に辿りつける。お地蔵様が途中にも境内にも沢山ある。(実は由緒正しいお寺のよう。勉強不足で全て後で知りました。

 境内からはハイキングコース。広い道が続く。すぐに広場のような開けた場所に出て、海も眺められるが、岩戸山へは左奥へ入っていく感じの分岐となる。目の前に広がる海につられてそのまま進んでしまいそうだ。
 岩戸山までは2人並んで話せるくらいの平坦な道が続く。


<歩きやすい道>

 あれっという間に岩戸山へ。小さなテーブルとベンチがある。ここからも本当に展望がよい。歩いてきた道を振り返ると、びっくりするくらい遠くに十国峠の展望台と切り開かれた墓地が見える。


<中央奥のやや右手が十国峠>

 目の前は先ほどの丘からと同じように太平洋と大島と伊豆半島がくっきり見える。ここでお昼。
 さて、伊豆山神社へと下ることになるのだが、尾根筋をしばらく辿って急に道が折れて急降下になる。(岩戸山までを熱海峠から往復するなら運動靴でもOKだが、こちらへ降りるにはやはりきちんとした足ごしらえが要る。)
 しかし、葉を落とした木々の間から本当に澄んだ青い青い海が見える。良く見れば真鶴半島が突き出しているようだ。


<急降下なれど絶景>

 頭の中で今ひとつ地形とルートが飲み込めていない私。この道でいいのかなあ?などと考えながら歩いていると、そこへ突然標識が。「岩戸観音」への分岐らしい。何だか登山地図の表示から受けるイメージと全然違うイラストだ。観音へはかなり荒れた箇所があるというので今回は見送り。


<突然現れる標識>

 まずはルートが正しいことが確認できたので、あとは伊豆山神社へ向かうのみ。
ところが、「通行止め」で封鎖された分岐がある。明らかに伊豆山神社への道が×印になっている。あれ?

 仕方なく降りていくと、そのうちに道は緩やかになり、なんと山中には不釣合いな舗装道路(途中は建設中?)に出てしまった。何の標識もない。といっても、海は見えるし、方角は大体わかるので仕方なく舗装のままにつづら折に下りていくしかない。何だかがっかり。・・・いつのまにか随分歩かされる。振り返ってみると新しい道路が見えた。


<舗装道路がウラメシイ>

 結局、どんどんこのまま歩かされ、七尾団地に出てしまう。まだ高台なので、海は遠い!神社も遠い!!歩くべき尾根を大きく外れて街中のコンクリートの道をひたすら歩くしかない。・・・結局、神社のすぐ近くの広い分岐までマイクロに来てもらった。

 さて、時間も早いので真鶴半島の原生林に寄ることとなる。いつもながら I リーダーの知識・情報量には敬服。お陰で私たちはいつも楽して充実した"おまけ"を楽しめる。

 まずは半島先端に近い中川一政美術館の前で降りる。駐車場があって、丹沢方面が望める。あの大山がなんと立派に形良く聳えていること!丹沢の山並みが海の向こうに美しい。


<綺麗な三角形の山が大山>

 道路の山側には立派な石の案内図がある。先端の三ツ石まで遊歩道のようなルートがある。このあたりは「魚つき保安林」といって、漁業のために森を守っているのだ。まあ、風が吹けば桶屋が儲かる式で、木や森を大切にするとひいては海も豊かになるということだ。その地域が散策できるようになっている。


<案内図>

 一歩足を踏み入れると、何だかとても心静かな気分に包まれる。・・・様々な木がきちんと手入れされ、まさに「すくすくと」伸びやかに枝を伸ばしている。放置された杉の暗い植林地とは大違いだ。
 何より太い幹の立派な木が多い。本当に豊な森だ。


<魚つき保安林>

 なんだかこの中を歩いていると、嬉しくなってくる。木が嬉しそうだからだろうか。
こんな身近にこのような大切に守られた森があるって素晴らしい。
 ゆっくり歩いても30分くらいで先端の「ケープパレス」というレストハウスに出る。半島の先端だ。半島のすぐ先に「三ツ石」が見える。引き潮の時は陸続きになるとか。


<三ツ石>

 しかし、レストハウスを抜けて最先端までいくと、おお、海は広いな大きいな、地球は丸い!水平線がなだらかに弧を描いている。
 まさに海抜0メートル。あれに見えるは千葉か房総か?

 浜風に吹かれて、自然に包まれている実感。山もいいけど、海もいいなあ。
1年の雑念を全部吹き飛ばしてもらおう。

 ここでゆっくり広い空、広い海を楽しんで、1年を締めくくる大満足の山行は終わった。リーダーに感謝、仲間に感謝。山歩きが出来る健康に感謝。


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