大菩薩嶺  2001年9月8日

  ロッジ長兵衛〜大菩薩峠〜雷岩〜大菩薩嶺〜丸川峠〜裂石


 天気予報では晴れマークのついた土曜日。塩山まで列車、8:46着。南口からタクシーで大菩薩へ。タクシーの関係で定員5名となった。
 駅から目指す方向を見ると、山頂付近にガスが濃くかかっている。山並みはその奥に隠れて見えない。

 福ちゃん荘まで乗るつもりだったが、急カーブの山道なので、車に酔わないようにと少し手前のロッジ長兵衛で降りて歩き出す。タクシー代は4900円也。
降りたら霧雨が・・・。

 福ちゃん荘までは舗装道路を歩いても、林の中のバイパスを歩いても20分で到着する。ここからはルートが分かれるが、この山が初めての私に合わせて下さって、まずは定番、大菩薩峠をめざすこととなる。

 林道を歩いて、少し下ると沢があり、ここが登山口となる。ちょっといい感じ。

 

 道は広く、分かりやすい。ハイキングコースと言った方がよいだろう。50分で大菩薩峠に到着。霧雨は上がらず、折りたたみ傘を広げたり、合羽の上だけ着たり。人気の山だけあって、登山者は多い。
 本当なら稜線の先がずっと見渡せるであろう、峠の標識でとりあえず1枚写すが、何も見えない。

 売店もトイレもあり、賑わっている。今日は展望は期待できそうにないので、足元の花を目当てに歩き出す。

 なだらかな稜線をゆっくり歩く。花は、マツムシソウの紫、アキノキリンソウの黄色、タムラソウの赤紫、時々リンドウに、枯れてしまったウスユキソウ。
でも登山道の両脇を花が埋めている。
 晴れていたら、富士山に南アルプスの山並みがすばらしい所だそうだ。仕方ない、展望はまたの機会に。

 地図通りに小ピークの親不知ノ頭を越えてまっすぐに行こうとすると、行き止まりになっている。道が付け替えられてらしい。上る手前で右へ折れるとすぐに賽の河原。新しい木の避難小屋がある。

 峠の介山荘からまだ20分弱しか歩いていないが、立派な小屋だし、屋根もあって座れるところでゆっくり早めの昼食とする。(11:18〜11:55)
 皆さんは乗り換えの高尾駅でホームでおばさんが売っていた、おいしくてしかも安いお弁当各種をほおばっている。これはお奨めのようだ。

 大降りにはならないものの、霧雨がうっとおしい。殆どひっきりなしにハイカーが小屋を通り過ぎ、そのたびに中をのぞきこんでは諦めていく。
 こちらも出来るだけお店を広げないようにし、他の10人位のグループとも一緒だったが、如何せん、これ以上は定員オーバーのようなので、用が済んだらまた出発とする。

 30分もしないうちに今度は雷岩に出る。ここは大人数の団体さんがいて(←普段の私達?)そそくさと通りすぎることとする。
 ここは唐松尾根の分岐でもある。次はここを登ってみたい。花が多いそうだ。
さて、ここからはうってかわって樹林帯を進む。

 といっても、すぐにピークへ。大菩薩嶺という標識があるが、ここもツアーらしき団体が記念撮影中なので、そのまま通過して、我々は丸川峠へ向かうこととする。

 ここからは急に静かになる。道もほんの少し山道らしくなる。もうお花はあまり目立たない。
あいかわらず降ったりやんだり。折りたたみを開いたり、閉じたり。

 丸川峠までは展望もない。みんなでおしゃべりしながら歩く。静かな静かな山歩き。
ゆっくり歩いて1時間30分、急に視界が開け、お花畑の中にひっそりと丸川荘の屋根が見える。インターネットにこの小屋のサイトがあったが、見やすくて、必要な情報が載っていてとても感じがよかった。

 急ぐほどでもないので、トイレを借りて、コーヒーを入れてもらうこととする。
管理人のおじさんは木彫りの名人らしい。中には作品が並んでいる。
コーヒーは豆から挽いてくれる上に、種類も選べる。
さらには「マイカップなら50円引き」とある。(400円から50円引き。)
合理的だし嬉しい配慮だ。

 コーヒーを飲みながら、おじさんと四方山話。おじさん曰く、「私は変わり者で怖い、といろいろなところに書かれているらしいが、むやみに怒ったりはしていないんです。挨拶もなしに小屋に入ってきたり、無断でトイレを使う人に注意しているだけなんです。」・・・そうでしょうね。ごもっとも。

 こんな時、ベテランの揃ったこのメンバーは万事心得ている。
「それは当然ですねえ。ま、お菓子をお1つどうぞ。」
たくまずして自然とおじさんの心を開き、小屋や登山のマナー談義に花が咲く。

 コーヒーもおいしかった。ちょっとシャイなおじさんは、最後にこう言った。
「そこの窓の外に、皆さんのような花が咲いていますよ。ぜひごらんなさい。」

 こんなとき、当然我々は「あら、ウバユリかしら?」と遠慮がちに答えるが、やっぱり(?!)咲いていたのは"麗人"草ならぬ"伶人"草である。トリカブトの仲間らしい花の形である。
「そんな、素直に受け取ってくださいよ。」とおじさんもご機嫌である。

 さて団体さんの声が近づいてきたので、あわてて歩き出すこととする。コーヒーブレイクは25分。

 ここからはまた樹林帯となる。
さらに歩く人が少ないのか、生えたばかりのキノコがあっちこっちに顔をだしている。赤いの、紫の、おいしそうなの・・・。
 道は時々木の根を越えたり、岩を降りたりしながら、高度を下げていく。
距離もそれなりにある。
雨の日とあって、慎重に下る。時々日差しもあるが、降りていくと少しずつ暑くなった。

 途中で、目の前にいかにもおいしそうなキノコのはえたブナの木が・・・。

 
<キノコの木発見!>    <見上げると・・・>

 しかし、どんなにおいしそうでも、見るだけとする。キノコは怖いですからね。
だんだん下界に近づくと、沢の音がしてくる。
 道はとうとう林道に出た。ツリフネソウの花が目だつ。赤、黄だけでなく、白も。
また、萩も大きな株で迎えてくれる。ススキも立派だ。

 後は道なりに歩いて、舗装道路にぶつかった。午後4時になっていた。
ここから電話でタクシーを呼んで、塩山へ。2740円也。
 駅につくと、程なく列車が来た。
車中から虹が見えた。またおいで、と呼んでいるように見えた。


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