朝日岳・雪倉岳 その3   2008年7月27日

コース:   
3日目:朝日小屋5:00〜6:00朝日岳山頂6:15〜6:45栂海新道分岐〜9:20花園三角点(付近)9:35〜10:45白高地沢11:10〜12:30鉄橋〜兵馬ノ平〜[休憩10分]〜14:20蓮華温泉

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いよいよ最終日。目覚めもスッキリ。
朝食は定刻より遥かに早く用意され、小屋の心遣いが嬉しい。
支度を整え歩き出すが、今日もガスの中。朝日岳への登りで白いヨツバシオガマを発見。
登るにつれてお花が増え、ムシトリスミレも目立つ頃、ガスの向こうに山頂が現れる。

記念撮影をしていると遠くに雷が聞こえる。ここで雷に出会うのは真っ平御免、早く降りたい・・・。
ザレて滑るジグザグを、強風の中、下っていくと、シロウマアサツキの群落が風に揺れている。

シロウマアサツキの群落

更に下るとあたりは高山植物の品評会のよう。山深いここまで歩いてきた者だけに許されるご褒美かもしれない。


シロウマアサツキ、ハクサンシャジン、スモツケソウ、ニッコウキスゲ

しばらくで栂海(つがみ)新道分岐。この先の残雪のため、この夏は大きく迂回するルートが作られ、小屋がテープ印をつけたそうだ。
それに従い足を進めると、早速素晴らしいお花畑に突入。でも、草の上はとても滑りやすく、手がかりも少ないため何人も滑っている。芽吹き始めた花の上を歩く心苦しさもあり、辛い所だ。

スプーンカットの雪渓なので慌てなければ大丈夫。最後は雪渓をまっすぐ下って迂回完了。後続の別グループがストックを落とし、あっという間に雪渓の下に消えていく。(但し回収可能な地形。)

降りたところで一休み。振り返るとかなりの雪が斜面を覆っている。あそこを渡ってきたのだ。

ようやくこれからは夏道。気がつけば日差しは強烈で、三日間で一番の好天。慌てて日焼け止めを重ね塗り。
歩いてきた山々がはっきり見えるのは嬉しい。

危険箇所はないのでおしゃべりしながら歩いていると渋滞。雪解けの沢を渡り、大岩を乗り越えるのに苦労しているようだ。
が、登ったところで待っていたのは、何とオオサクラソウ。鮮やかな花は今が盛り。

オオサクラソウ ユキワリソウ

あたりのハクサンコザクラも大輪で、その先にはユキワリソウ。初めて見るが、ひっそりと咲いているので見落としそうだ。

暑さに閉口しながらも、お花に励まされ、今日は展望もあって楽しく歩ける。
五輪高原を抜け、花園三角点の辺りになると湿原の花々が迎えてくれる。キンコウカやトキソウ、そしてカライトソウ。ユキクラトウウチソウかと思われる蕾はまだ固く、ちょっと残念。
休憩していると、重いザックを背負った若者を先頭にして一群が過ぎていく。木道が続くが、グループに適当な休憩場所がないのは困る・・・。

ロングコースのまだまだ中間点、先は長いがひと際暑くなってくる。登りでないだけ助かるが。
文句を言いつつも足を休めず歩いていけば待望の白高地沢。岩がごろごろしていて水量は少なめ。なぜこんな高いところに?という仮設の鉄橋を一人づつ渡る。

仮設の橋を渡る

ここで昼食。コーヒーを入れて飲む。水もまだまだ沢山残っているし、今回はまだ余裕、かな。

もう少し休めたら最高だなどと思っていると、なにやら雲行きが怪しい。長居は無用と慌ててザックに荷物を放り込み、岸辺の樹林帯に向かう。
幸いまだ雷鳴もないが、夕立は必至のようだ。何とか蓮華温泉まで持ってくれないだろうか・・・。

ルートはまだ下降し、瀬戸川を立派な鉄橋で渡る。ここが最低地点。普通の山行ならここで下山完了、お疲れさま〜となるはず。
ところがどっこい、このコースの厳しさは、これからの登り返し。
朝日岳2418mから1170m(ここ)まで下って、今度は蓮華温泉まで標高差300mの登り返し。疲れた身にはかなり堪える。
標高が下がった樹林帯は暑く、汗が滲み、気力・体力を消耗させる。目を引く花は少なくなり、とうとうポツポツ降り始める。雷鳴もはっきりしてきて、不安的中。自然とみんなの足取りも速まる。

いよいよ兵馬ノ平に入る頃には頭上で雷が轟き、雨も本格的に。落雷の危険を肌に感じながら、こんな開けた所を歩く恐ろしさ。

ピカッ・・・ゴロゴロドド〜ン!!
雷鳴までまだ数秒ある。何とか大丈夫かとは思うが、足元は滑る木道、走ると転倒の危険だが、雷の標的になるのはもっと怖い。わ〜早く樹林帯に入って!

雨はザーっと降ったりふっと小止みになったり。しかし雷はどんどん激しくなる。
合羽を着るタイミングを図りつつも、樹林帯に入って少しほっとする。早く蓮華温泉にと思ったとたんに列が止まり、リーダーが、もうすぐ蓮華温泉なのでと今後の指示を伝え始める。(え?蓮華温泉はまだまだ先なのでは・・・。)

歩き始めたのは10分後。ますますひどくなる雷雨。叩きつけるような雨だが列は止まらない。
勝手に止まって着ようかと思った時に、ようやく合羽着用の指示。
もうびしょ濡れだし着替えもあるからと、上だけ羽織りながら、ここでパックのオレンジジュースを取り出し、一気飲み。う〜ん、おいしい。

実は10年前、疲れ切った全員の思い込みで、ここ「兵馬の平」で水を飲みきってしまい、蓮華温泉までが何と長くて辛かったことか。
それで、今回はここでジュースでも飲んで、思い出話をしようと思い、小屋で300円出して買ってきたもの。ここで飲まずにどこで飲む!
水の残りはまだ十分。水の無い不安からは解消されたものの、今回はこの雷雨。兵馬ノ平はやはり「鬼門」なのか。

ずぶ濡れのズボンが足に絡みつき、蓮華温泉はまだ見えない。スパッツだけでは靴の中が濡れそうだ。
10分、20分と経っていき、ようやく標識が現れて温泉に近づいたことが分かる。雷に追われて必死に歩くうちに、ようやく林道に出ると、前方に建物が見えた。

雷に怯えつつ、坂道を駆け出すように建物を目指す。ところが・・・。
目に入ったのは建物から溢れ出る登山者たち。これではいつ入れるか分からない。残念だがここでの入浴は諦め、びっしょ濡れのザックと体を迎えのマイクロバスに押し込んで、山を降りることになる。
1時間ほどでやっと白馬の入浴施設へ。里の方が更に激しい雷雨のようで驚く。

幸い風呂は空いていて、ゆったり入って三日間の汗を流す。笑顔が戻って着替えているとドド〜ン!!・・・地響きと共に一瞬停電。どこに落ちたのだろうか。

最後は雷雨に「大歓迎」されたものの、10年ぶりのロングコースは期待を裏切らず、素晴らしい花々が迎えてくれた。
私自身も山を始めてからのこの10年を振り返り、感慨深い山行となった。
また前回も大変お世話になった、母とも年齢が近いIさんと一緒に歩けたことが何よりも嬉しかった。
リーダー・皆さん、お疲れ様でした。

ご一緒した皆様へ


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◆今日出会った花◆   [注:前日分と重複します]
白系統
ミヤマウイキョウ(深山茴香)、タカネイブキボウフウ(高嶺伊吹防風)、ミネウスユキソウ(峰薄雪草)、イワオオギ(岩黄耆)、イワツメクサ(岩爪草)、ホソバツメクサ(細葉爪草)、クモマナズナ(雲間薺)、サンカヨウ(山荷葉)、チングルマ(稚児車)、ハクサンイチゲ(白山一華)、ミヤマカラマツ(深山唐松)、モミジカラマツ(紅葉唐松)、イワシモツケ(岩下野)、アオノツガザクラ(青の栂桜)、アカモノ(赤物)、ゴゼンタチバナ(御前橘)、コバイケイソウ(小梅尅吹j、ミヤマホツツジ(深山穂躑躅)、オオレイジンソウ(大伶人草)、アリドウシラン(蟻通蘭)、ウメガサソウ(梅笠草)、ワタスゲ(綿菅)、イチヤクソウ(一薬草)、マルバシモツケ(丸葉下野)、ミヤマシシウド(深山猪独活)、オヤマソバ(御山蕎麦)、イブキトラノオ(伊吹虎尾)、オニシモツケ(鬼下野)
ピンク系統〜紫系統
オオサクラソウ(大桜草)、ユキワリソウ(雪割草)、トキソウ(朱鷺草)、ハクサンコザクラ(白山小桜)、ハクサンチドリ(白山千鳥)、シナノナデシコ(信濃撫子)、タカネナデシコ(高嶺撫子)、イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)、ミネザクラ(峰桜)、シロウマアサツキ(白馬浅葱)、ショウジョウバカマ(猩猩袴)、ムシトリスミレ(虫取菫)、オヤマノエンドウ(御山竜胆)、ミヤマリンドウ(深山竜胆)、リンネソウ(リンネ草)、ハクサンフウロ(白山風露)、ヨツバシオガマ(四葉塩釜)、ハクサンシャジン(白山沙蔘)、タテヤマウツボグサ(立山靱草)、タカネマツムシソウ(高嶺松虫草)、タカネグンナイフウロ(高嶺郡内風露)、ヒオウギアヤマ(檜扇菖蒲)、クガイソウ(九蓋草)、シモツケソウ(下野草)、ミヤマアカバナ(深山赤花)、ミソガワソウ(味噌川草)、ショウキラン(鍾馗蘭)、カライトソウ(唐糸草)、ギボウシ(擬宝珠)、ワレモコウ(吾亦紅)、ミヤマママコナ(深山飯子菜)、エゾアジサイ(蝦夷紫陽花)、ミヤマムラサキ(深山紫)
黄色〜オレンジ系統
クルマユリ(車百合)、ミヤマダイコンソウ(深山大根草)、ミヤマキンバイ(深山金杯)、シナノキンバイ(信濃金杯)、ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)、リュウキンカ(立金花)、ニッコウキスゲ(日光黄菅)、イワベンケイ(岩弁慶)、ウサギギク(兎菊)、ミヤマアキノキリンソウ(深山秋の麒麟草)、ハクサンオミナエシ(白山女郎花=コキンレイカ[小金鈴花])、タマガワホトトギス(玉川杜鵑)
緑色
タカネアオヤギソウ(高嶺青柳草)、オオバタケシマラン(大葉竹島蘭)、ハクサンタイゲキ(白山大戟)、シロウマチドリ(白馬千鳥)、オオヤマサギソウ(大山鷺草)
以上78種

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