横山岳   2006年5月19日夜〜20日

コース:白谷出合(駐車場)5:30〜6:15東尾根登山口6:40〜9:05東峰9:10〜9:45西峰(1131.7m)10:15〜三高尾根〜11:44鳥越峠11:50〜12:25コエチ谷登山口
★コースについての注意点★


 琵琶湖の北東、敦賀に近い「横山岳」は『関西百名山』で、花で知られた山である。東京からは例によってマイクロバスの夜行日帰りで向かう。
今年はまだ5月というのに雨が多く、当日の予報も芳しくない。
都内を22時に出発、登山口に5時過ぎ到着。トイレもあり、駐車場も広い。
雨は夜もずっと断続的に降っていた。

今回は白谷コースを登り、三高尾根を下りる予定になっているが、前日の大雨で、白谷コースはと見れば、濁流が勢い良く流れており、ここを行くのは誰の目にも無理と分かる。大きな案内板もあり、皆で確認していると、早朝にも拘らず、スウェット姿の男性が車で来て、声を掛ける。

この山は地元の山岳会「杉野山の会」によってよく手入れされているのだが、Iリーダーの事前の問合せから今日私たちが登るのを知っていて、この会の二之宮さんが心配してわざわざ来てくださったのだ。

二之宮さんも、こんな濁流は見たことが無いとのこと。東尾根往復か、三高尾根を下りるコースを勧められる。
Iリーダーも同感で、厳しいと評判の白谷コースはまたの機会に、となる。ほっとしつつも、ちょっとだけ残念でもある。

明日が山開きで、二之宮さんらは午後からはここで準備にかかると言う。


白谷コースの入り口

横山岳登山案内図

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オドリコソウ
東尾根登山口までの道は広いが、マイクロでは方向転換の場所がないとのこと。諦めて歩くしかない。
傍らは濁流が流れているが、雨に濡れたオドリコソウや沢山のシャクが綺麗だ。でも土砂が崩れた箇所もあり、かなりの雨が降ったことが分かる。

白谷登山口の案内図には40分とあり、歩いて行くと「あと2キロ」、「あと1キロ」の標識もある。

花の出迎えを受けながら網谷林道を進むと、やがて舗装の広域林道にぶつかり、坂を登っていくと右へ急カーブ、そのすぐ先が東尾根登山口である。

本日のメンバーは30人の「やや健脚」組である。自己紹介の後、各自地図でルートを確認し、滑る斜面を登り始める。
小雨が降ったり止んだりの天気で、視界も悪い。


フイリ(斑入り)シハイ(紫背)スミレ
しばらくは急登を行く。
夜行明けだし雨だし、何よりまだ体が『登山仕様』に戻っていないため、早速息切れ。ストックをつきつきやっと登って行く。

花で知られる横山岳。今日は一日雨模様かと一度はザックに仕舞いこんだカメラを取り出す。
まずはキランソウ、チゴユリ、シハイスミレ。斑入りのシハイスミレは大きい。雨の日はデジカメが非常に苦手な状況である。防水でもないし、今日は駄目元で撮るしかない。

なかなか斜度が緩まず、合羽を着ての暑さから久しぶりに汗をかく。
時折空が明るくなって、日差しもあるが、脱ぐとまた雲行きが怪しくなる。


ホウチャクソウ
ウワミズザクラが咲いている。桜というが、随分姿が異なるものだ。でもとても綺麗。
雨の中でも花は負けずに咲いている。足元ばかり見ていると、つい頭上のツツジなどを見落としてしまう。白い花がいくつも咲いている。

ア〜苦しい、と言いながら地図を眺め、そろそろ緩やかになるはず、と言い聞かせて歩いて行く。
そのうちに前の方から歓声が聞こえ、何か見つかったらしい。
どうやら向こう側に猿がいるとのことで、列の後方にいても今回は確認できた。複数頭いるという。

その次の歓声は、期待のイワウチワだった。


ウワズミザクラ
道もようやく少し緩やかになって、ブナの新緑の中、足元は一面のイワウチワが待っている。

イワウチワの花園はどこまでも続き、左右に雪渓が姿を現すと、ますます花が瑞々しいのは嬉しい。
何度もレンズを向けてしまう。
目にも鮮やかで、苦しさも雲散霧消というものだ。

辺りはブナも美しく、急な箇所は過ぎたものと気分も上々、口も滑らかになる。・・・しかし天気は安定せず、傘を差したり合羽を着たり。

稜線に出ると岩っぽくなり、雨と風で慎重に進む。イワカガミと、何より沢山のイワナシには驚かされる。ピンクの花も綺麗で、ずっと続いているのは珍しい。


東峰から西峰へ
何度か雪渓の上を渡るとスミレサイシンにも出会う。
やっと東峰に出て、さらに西峰(横山岳山頂)に向かう。辺りはまたガスに包まれ、霧雨が止まない。

雨と風とガスの中、意外と痩せ尾根で、注意して歩く。
本当なら素晴らしい展望のはずだが、何も見えない。

ようやく西峰に到着。開けた山頂で傘をさしつつも、やっと腰を降ろして大休止。まだ時間が早いが一応昼食タイムとなる。
パンかお団子か迷ってお団子にする。しかし、一人で3本食べるとちょっと・・・。やっぱりみんなで分けて食べてこそ。雨では仕方ないが。

さて、下りにはヤマシャクヤクを期待して、予定通り三高尾根を行くことになる。
かなり急と聞いていて、この雨で気が進まないが、Iリーダーの「急と言っても普通の山道ですから。」の一声。今日は「やや健」だし、と納得する。


イカリソウ
案の定、早速の急降下で泥だらけの急坂を、木の根と格闘しながら下りて行く。
イヤだなあと思いつつも、随所にロープがあり、また掴まる木も沢山あって、雨でなければ確かに何度も歩いている山道ではある。

早速ヤマシャクヤクの白いぽってりした蕾が枝の向こうに見える。期待できそうだ。
ついつい下を向いてしまうが、イカリソウも沢山咲いていて、ユキザサも綺麗だ。
既に雨具のズボンは泥だらけ。靴もどろどろ。こんな時は汚れるもの、と諦めが肝心。
もう1輪、咲きそうなヤマシャクヤクがあったが、この雨では蕾も開けまい。


ヤマシャクヤクの蕾
手持ちのガイドブックでは、鳥越峠まで40分とあり、案外短いなと思ったが、どこまで行っても、滑ったら最後、どこまでも真っ逆さまという急降下は緩まない。
ロープまたロープの滑る急坂、木の根も掴んで安全第一で降りて行く。

よくぞこれだけ急なものだと思った頃ようやく鳥越峠に。実に90分、ガイドブックの2倍である。
これはおかしいと思ったら、他のガイドではみな80分になっているという。鵜呑みは厳禁、と肝に銘ずる。
峠にも大きな標識があり、実に良く整備されている。

標識にもある通り、この先の地点からコエチ谷に向かって分岐を左に折れる。
ここも左側は深い沢筋で、滑ったら・・・と思うとゾッとする。最後まで気を抜くことのできないルートだ。

それでもこのルートも後半は緩むはずと思って折と行くと、そのうちに堰堤を右にみていきなり林道に出る。
網谷林道出合まで、あとは林道歩きだ。もう下山したも同然、シャクが一面に広がる中を進み、30分ほどで車道に出る。

★コースについての注意点★
1.東尾根コース・・・<1/25000地形図「美濃川上」(国土地理院の地図閲覧画面では美濃川上の『南西』)を参照。>
「横山岳」三角点(=西峰)から右肩下がり(東)になだらかな稜線を辿り、865.1m三角点手前で二股に分かれる尾根線を、三角点の無い(手前)側の尾根に沿って南下、標高600mあたりで左下(南西)に折れて林道と合流するルート。
☆注意☆・・・「山と渓谷」06年5月号p256「5.横山岳」に掲載の地図の東尾根(広域林道出合から滝ノ谷を上がる)ルートは廃道。その右側の破線ルートが現在の東尾根ルート。
ただし、大きなしっかりした標識があるので迷うことはない。

2.三高尾根ルート・・・「関西の山歩き100選」(昭文社)の「横山岳」のコースタイムでは、下り40分とあるが、とても無理。
「関西百名山」(山と渓谷社)には下り80分となっている。(休憩含まず。)


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