八ヶ岳2008   2008年6月14日〜15日

コース:
1日目:10:00美濃戸口〜11:15美濃戸(昼食)11:35〜南沢〜14:30行者小屋(泊)
: 2日目:行者小屋4:47〜文三郎尾根〜6:00中岳分岐6:07〜6:35赤岳〜赤岳天望荘7:15〜8:10日ノ岳(撮影タイム)〜9:25横岳〜10:00[昼食]10:20〜11:15硫黄岳11:28〜赤岳鉱泉13:00〜北沢〜13:48堰堤〜15:40美濃戸口


今年は是非ツクモグサに会いに行こうと計画していると、山の会でいけることになった。これ幸いと参加を申し込む。
梅雨時の花で、しかも晴れないと花弁を開かないツクモグサ、天気予報とにらめっこでヤキモキしていると、週末は晴天という。 日ごろの心掛けの良さ!と都合よく解釈し、期待を胸にマイクロバスに乗り込む。

初日は朝出発し、お花を探しながらゆったりと行者小屋まで。
バスを美濃戸口で降りて、素通りする車を横目に早速お花探し。実は美濃戸までにも沢山の素敵な花が咲いているのだが、皆さんは余り食指が動かないらしく、スタスタと行ってしまう。
ベニバナイチヤクソウ、イカリソウ、スズラン、レンゲツツジ、ハンショウヅル、ツマトリソウ、サクラスミレという豪華キャストなのだが・・・。

 <↑ベニバナイチヤクソウ(紅花一薬草)、 シロバナエンレイソウ(白花延齢草)、 サクラスミレ(桜菫)、スズラン(鈴蘭)


 <↑レンゲツツジ(蓮華躑躅)、 キバナノコマノツメ(黄花ノ駒ノ爪)、 コミヤマカタバミ(小深山傍食)、 コミヤマカタバミ(ピンク色の花)

美濃戸に着くと、既に駐車場は満杯。きっとみんなツクモグサ狙いの登山者だろう。大変な数が入っているということだ。
ここで待ちわびた「本隊」と合流、今度は林床の花々を求め、南沢を行く。
ツバメオモト、キバナノコマノツメ、エンレイソウ、ツルネコノメ、となかなか賑やかだ。林の中はひんやりして気持ちがいい。森林浴を楽しみながら登っていく。

オサバグサの葉が沢山あるが、殆どはまだ蕾さえつけていない。マイヅルソウも然り、ゴゼンタチバナに至ってはまた葉っぱだけ。
まあ、7月の登山者へのお楽しみも残しておかないと。

行者小屋まで3時間ほどといっても案外標高差がある。日ごろの運動不足+荷物の重さで、何だか猛烈に右肩が痛い。
それでも高度障害の頭痛が殆ど出ないのは、アミノバイタルが効いているのだろうか?
この時期の南沢は(北沢も)初めてだが、登山道には雪もなく、途中で沢が大量の流木に埋め尽くされているのには驚いた。夏山の時期とはかなり様子が違うものだ。

小屋が近くなり、去年バテた辺りからは林の中に残雪がみられる。ただ、それがなければ眩しい日差しに「夏山」かと錯覚するほど。

ようやく辿り着いた小屋でザックを降ろし、ほっとする。しかしまだ2時半。個人なら稜線まで上がって天望荘泊まりかとも思うが、水の豊富な行者小屋で優雅な午後のお茶ならぬビールも悪くない。(あ、私はノー・アルコールで・・・。)

イワカガミ(岩鏡)   沢は流木だらけ    行者小屋

小屋からは目の前に赤岳、阿弥陀岳がど〜んと聳え、振り返れば山の合間から何と槍・穂高の稜線が見事に望めるではないか!

さて小屋の夕食は塊のビーフ(柔らか)と具沢山の豚汁で、肉ばかりなのに驚く。もちろん野菜もあるし、冷凍ライチーとグレープフルーツもつくが、近頃は小屋泊まりで9000円!このご時勢に何とか工夫の余地はないものか。

ただ、ゆっくりと布団を敷いて寝られるのは有難い。明日に備えて早めに就寝。(夕日をバックに槍・穂の絶景が展開したそうな。満天の星にも惹かれるが、それはまたの機会に・・。)

今回のメイン、ツクモグサは横岳周辺に咲くそうで、明日は地蔵尾根から横岳を目指すが、希望者は先発隊として赤岳経由となる。去年赤岳に登ったものの、初めての文三郎尾根からのコースも歩いてみようと、本隊より1時間早く出発する赤岳組に志願。希望者は半数ほど。

夕食後はすぐに就寝し、湿った布団はちょっと重たい。
ゆっくり休んで寝不足感はないものの、ガサゴソする音に時計を確認すれば、まだ3時台。良くあることだが、無神経にも音を立てて延々と荷物整理をするのはいかがなものか。出発は5時ですよ・・・。
音につられて起き出す人も増え、私もしぶしぶ4時前に布団から出る。

支度が早ければ予定より早く出発するのは明らかなので、予定より急いで支度し、外へ出る。
みんな揃って、午前4:47の出発。本隊のSさんやIさんが早起きしてお見送り。頑張って行ってきます!

テント場を抜けると早速かなりの残雪。そしてすぐに文三郎尾根。昨日、小屋からはっきり見えた、まっすぐに伸びる急な鉄の階段だ。
足場は網状で、確かにこうでもしなければ登れない急斜面、半分寝ぼけた頭と体には結構キツイ。

 文三郎の階段   山々の襟元から覗く槍・穂高の眺望

どこまでもまっすぐ伸びる階段を一段一段確かめながら、黙々と登っていく。時々振り返ると、雪を頂く北アルプスの稜線がどんどん横に伸びて、それは素晴らしい。
文三郎を登り終えるころ、キバナシャクナゲがポツリ・ポツリと咲き始めている。階段に疲れて、花にレンズを向けながらも足を停めて何とか息を整える。
先頭が暗部に出たのか、突然上から「わ〜!」という声が降ってくる。え、何?!

・・・必死で急ぐと、みんなが見とれているのはアルプスの大展望。
まず、振り返ると、V字の切れ込みから僅かに覗いていた槍・穂高は、とうとうフレームに収まらないまでに伸びている。

 北アルプスの山々(槍・穂高〜鹿島槍[〜御嶽]方面)

さらに、ここで初めて南アルプスの山々が阿弥陀岳の左にぬっと現れた。

 左から:権現岳の上に現れた北岳・甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳(南アルプス)

いつまでも眺めていたい展望だが、吹きさらしで風が冷たい。帽子を吹き飛ばされそうになりながら、赤岳頂上をめざす。
今度は岩の合間を鎖で登っていく。降りてくる人もあり、少し渋滞。

岩場を登りつめれば赤岳頂上へ。雲海がなかなかよい。
 直下の岩場を登る   雲海の上の山頂へ

2度目の登頂の感慨に浸る暇も無く、地蔵尾根からの本隊との合流時間も迫り、今度はザラザラの急坂を転げるように(実際に転がる人も・・・。)降り(落ち)て天望荘。ここで本隊のSサブがお出迎え。わずかのトイレ休憩の後は、いよいよ横岳に向かう。早くツクモグサに会いたい!

ここからは危険箇所(難所)の連続だが、そこは2度目、少し自信を持って歩き出す。去年の個人山行では、スラブの長い鎖場を登り切って。進路に迷ったが、それを確認すべく寄り道すると、あろうことか前方には赤岳が・・・。
雨の中、180度方向がズレていたことを確認。(ああ、やっぱり私は方向音痴?)

 赤岳を振り返る

ちょっとがっかりしたものの、気を取り直して岩峰を回り込み、日ノ岳へ向かう。そろそろ花は見られるだろうか・・・。
長い列の前方からついに「ツクモグサが咲いてるよ!」の声。
明るい斜面に、ふわふわした毛に包まれたクリーム色の小さな蕾が、恥ずかしげに並んでいる。
殆どが蕾だが、ロープに従い、慎重に写真を撮る。手の届かない所にやっと1輪、開いた花が見える。

ツクモグサ(九十九草)

写真のための大休止の間にも、どんどん登山者がやってくる。ツクモグサは本当に大人気だ。

第一の目的が達成され、安堵感と満足感で一杯。今度は他の花にも急に目が行くようになる。オヤマノエンドウが沢山咲いているのに、写したのは1枚だけ。

 オヤマノエンドウ(御山の豌豆)   横岳山頂

この辺りは鎖場や梯子の続く難所なのだが、去年のおさらいと思い、ちょっと慢心気味。でも初めての参加者も多く、この人数なので必然的に渋滞。岩場が苦手の人たちに、リーダーが神経を使って指示を出している。
岩場をイワヒバリが沢山飛び交い、かわいらしい。オヤマノエンドウの紫の花が目立つが、他の高山植物にはまだ少し早いようだ。よく見れば、断崖の斜面にもずっとツクモグサが咲いているのだが、足場のよい安定した場所は意外と少ない。
他の登山者もみなこの花を狙っているし、順番待ちさえ発生。やれやれ。

横岳の鎖場を無事越えた所でお昼。日差しが眩しい。でも、咲いているツクモグサに会えて大満足!

稜線に咲く花は、イワウメ、ミネズオウ、キバナシャクナゲなど。


   <↑キバナシャクナゲ(黄花石楠花)、     イワウメ(岩梅)、 ミネズオウ(峰蘇芳)

ゆっくりお昼を食べていると、あらら、もうリーダーはザックを担いでいる。大あわてで荷物をしまい込み、列を追いかける。
硫黄岳山荘前のお花畑では、ウルップソウも固い小さな蕾。本当の夏山までまだ時間がかかりそうだ。
山荘で綺麗なトイレを借り、硫黄岳までは大きなケルンに導かれ、最後の登り。そしてとうとう広い広い山頂へ。
去年は見られなかった大展望に感慨も深い。(雷に追われて必死で駆け抜けたため。)
何となく気が抜けてしまいそうだが、時計を見るとまだお昼前。でも朝5時前からなので、既に6時間。その上、美濃戸口まではまだ4時間以上のコースタイム。簡単な山を1つ登れるほどの時間が残っていることになる。これはまだまだ長い1日になりそうだ。

重い腰を上げて、赤岩の頭からの下りに向かう。樹林帯に入るとまだ残雪が残り、雪の上を歩いたり避けたり。
風がなくなり日差しを浴びて、暑くなってくる。段差もあって足に来る急降下。赤岳鉱泉はまだ?
沢音がだんだん近づく。微かな記憶を辿ると、そのうち沢、それを渡れば赤岳鉱泉のはず・・・。

樹林帯からいきなり抜け出すとそこが赤岳鉱泉。流石にほっとする。

ちょっと座って休憩。冷たい水で喉を潤し、この山の水をお土産にとポットと水筒に詰め直す。(ああまたザックがずっしり重い。)

気分的にはもう無事下山した感覚に陥るが、まだまだ先は長い。今度は明るく広々とした北沢を下る。キバナノコマノツメやシロバナヘビイチゴが一面に咲き、南沢とは印象が随分違うのに驚く。

ああもう歩くのは飽きた!言いながらも、まだ足が痛くならないことに少し安心する。
足元が安定してきたこともあり、お花探しで気を紛らわせる。収穫はミヤマスミレ(深山菫)くらいだろうか。


 <シロバナヘビイチゴ(白花蛇苺)、 ヒメイチゲ(姫一華)、 ミヤマスミレ(深山菫)

堰堤が見えてきて、とうとう「車道」に変り、列はばらけて美濃戸へ。最後の1人として山荘前に着くと、先に到着した先頭の皆さんも相当お疲れのご様子。ベンチに座ってまた休憩。・・・でもまだあと1時間。ふ〜。

堰堤

苦手な林道歩きでどんどん抜かされつつ、やっと美濃戸口に到着、15:40。本当にお疲れ様!

これだけ歩けたことで、夏山本番でも何とかなりそうだという手ごたえは掴んだ。これも収穫の1つ。

梅雨時にこれだけの晴天に恵まれ、めざす花の時期にもピッタリ、何と恵まれた山行だったか。(これも日頃の心がけが良いから・・・!?)
自然に感謝、リーダー、山の仲間に感謝。

来年もまたツクモグサに会いに行こう!


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