高通山(たかとおりやま)  2003年2月1日

グランド〜ヌタ場〜山頂〜雲見オートキャンプ場


去年10月以来丸4ヶ月ぶりの山行は、伊豆松崎の高通山。展望がよく、 伊豆とあって暖かく、更には気軽なハイキングコースとあって、 膝の故障後初めての山行には丁度よい。

とはいえ、楽なコースなのに今度また膝に痛みが走るようでは、 山も諦めなければならないかもしれない、 と思うと言い知れぬ不安がよぎる。

新宿の集合場所で久しぶりの仲間に会い、 いつものマイクロバスに乗り込んで、結構な遠出 のドライブとなる。
途中で雪をかぶった富士山が大きく見えるのが嬉しい。
Iリーダーの458回目の例会山行である。

 沼津インターで降りるとまずは目の前に「沼津アルプス」 のお出迎え。舐めてかかるとイタイ目に遭う山だ。
それから城山から発端丈への登山口を横目に西伊豆へと進む。 久しぶりの早起き(4時台)で、この先は熟睡中につき・・・。

気がつくとバスは海岸線を走っている。 綺麗な赤い花が道路際に並んでいるのはアロエだとか。
暖かい伊豆ならではの光景だろう。

 更に富士山と、海の向こうに何と南アルプスの連山がうっすらと 姿を見せている。わ〜!と思わず歓声を上げる。
一番右の顕著な三角のピークは北岳だろうか。 白根三山を過ぎると私の行ったことのない南ア深部の山々となる。

ぼんやりしているものの、これは感動する景色だ。
西伊豆からこんな光景が見えるとは。これぞ"眼福"というべきか。

バスが松崎に入って、山を登る道となる。今回は東京から遠いこともあって、 昼食を頂上で取るために、登りは町営グランド側(山の東側から)の登山口とする。 標高差も少なく、短時間で頂上に立てる。

進行方向右手に少し小高くなったグランドの柵と、焼却場のような四角い細長い煙突(?)が目印となる。
「すぐそこ左、オートキャンプ花沢」という立て看板もある。 ここで降りてグランド脇を進むとすぐに登山口がある。
高通山遊歩道と書かれた案内図もある。それに依れば、バス停「富士見農園」 で降りて徒歩10分が現在地「グラウンド」で、35分で高通山とある。
頂上近くに「イノシシのヌタ場」があるという。


<クリックで拡大図になります>

歩き始めからすぐに急登である。
三ツ岩の急登を思い出す。あの時も15分位で膝裏に違和感を感じ、30分後には痛くて歩くのが辛くなっていた。今日はどうだろう・・・。
低山(518m)であり伊豆の山とあって冬枯れの奥多摩とは随分趣を異にしている。常緑樹が多く、風も遮られて優しい感じのする山道だ。

海側からのピストンが一般的らしいが、 こちら側もよく手入れされ、緑に囲まれて山に抱かれて登っている感覚が強い。
思わず、嬉しいな、山はいいなあ、低山も捨てがたい 魅力だなあ、と次々に言葉が出てくる。

急登はずっと続くが、登山口の標識では35分とあって、 膝の不安さえなければ本当に"遊歩道"だろう。

花は少しずつ分かるようになってきたものの、樹木はお手上げに近い。
一目で温暖なこの地だからこそ、という木がたくさんあるがアオキ位しか判別できない。途中かわいい赤いブドウの房のような実をつけたフウトウカズラ(風藤〜)というツル性の植物が木に絡まっていたり。

今回も植物に詳しいY子さんが一緒なので、みんなが道々尋ねている。(名が分かると伝言ゲームのように後へ伝えられてくるのだが、このカズラは"リュウトウ"カズラと伝わってきた。正しい名前がわかったのはバスに戻ってから。)

ノンビリ歩いているので急登ではあるが全く息も上がらず汗もかかない。何より嬉しいことに、膝も全くいやな感覚が出てこない!むしろ、自分の膝周りの筋肉が天然のサポーターになっていることを何となく実感できるので、今日はきっと大丈夫だという確信につながってくる。 40分で「ヌタ場」に出た。
小さな小さな水溜りのようだ。ここから上は丹沢のように土留めをした階段になる。 もう一息。・・・8分後に頂上に到着。

なるほど素晴らしい展望だ。開けた視界には見事に水平線が横切っている。
晴れていれば右手に富士山、それから南アが見えるはず。
もう雲が低く垂れこめて、残念。でも、海岸線は素晴らしい曲線を描いており、 遠く伊豆の島々も目をこらせば見えている。ここでゆっくり昼食となる。

波勝崎方面の景色雲見方面の景色


桜の木もあって、春は綺麗だろう。

下山にかかるとすぐに岩の上に枯れた植物がある。ツメレンゲだそうだ。何だか円錐のような尖った植物だ。初めて聞く名前。あとでネットで調べたら白い綺麗な花が咲くらしい。
今度は海に向かって降りていく。すぐに"北側展望所"に出る。少し開けた所だ。
ツワブキのつやつやした葉が目立つ。また樹林帯に入ってどんどん降りていく。
小石が多くてちょっと滑りやすい。下りで足が痛くなったら、と不安もよぎるが、ストックを畳んで脚力だけで下りてみることにする。 足元はしっかりして、膝も何ともない。本当に大丈夫なようだ。 気持ちいい位安定して急坂を降りていく。

往路よりも道幅は広く、U字にえぐれているが、 常緑樹のトンネルの中を降りていく。
45分で登山口に出た。もうスミレも咲いている。水仙も少し見られる。春なんだなあ。

ここにも同じコース案内図があり、迷うことはない。

舗装道路に出て10分歩くと広い駐車場を持つ、オートキャンプの受け付けに出た。
マイクロがここで待っていた。管理人さんの子供がはだしで駆けている。「バイバ〜イ」と何度も声をかけてくれるので、 私たちも何度も応える。かわいい子だなあ。

今日は軽い山とあって、もう1つオマケにこの先の海に突き出た烏帽子山(浅間神社)にも登るという。荷物はバスにおいて、いざ。
ここは延々と石段が続く。随分急で、階段の奥行きも狭く、古いので要注意だ。
まるでトレーニングでもしているかのように、どこまでも階段は伸びている。

途中で一息つく人も。
一体何段あるのかな。最後のほうは山道になるが、これも木の根がうるさい。気を抜かずに登りつめると、お社があり、その裏手の最期の数段を手すりにつかまって登るとコンクリートの堤防があり、 その先はまっさかさまに海へ崩れ落ちている。先ほど降りてきた高通山も見える。絶景かな。でもコワイ。


尖って海に突き出た所が「千貫門」

下りも1歩間違うと大怪我になりかねない。慎重に慎重に・・・。
後発隊とすれ違いつつ、木の根を避け、細い手すりをしっかり掴んで古い傾いて欠けた石段を降りていく。163mというが、一気に上り降りしていい筋トレになった。これでも足は音を上げないので、もう完全復帰できそうだ。(勿論家に帰ってからも一切筋肉痛なし。当然だ、といわれそうですが。)

振り返ると何でもない小高いピークに過ぎないのだが。

長い暗いトンネルからようやく抜け出した気がする。早速この先の山行の申込み葉書を書いた。

しかし、低山には低山の捨てがたい魅力があります。


戻る  一覧へ戻る