至仏山   2004年7月23日夜〜24日

コース:鳩待峠5:00〜6:50オヤマ沢の水場6:55〜7:05オヤマ沢田代〜7:15お花畑〜8:00小至仏山8:10〜9:00至仏山9:30〜12:00山ノ鼻12:25〜13:30鳩待峠


母と二人だけで出かけた至仏山は2001年9月だったが、今回は夏の花を求めての再訪となる。前回は母の足を考慮して鳩待峠から至仏山のピストンとしたが、今回は周回コースである。
唯一の心配は、あの蛇紋岩。小至仏山〜至仏山のアップダウンがそれほど無く短めの距離でさえ母の足が止まってしまったツルツルの岩質にはいやでも警戒心を抱いてしまう。下りの山ノ鼻までが鬼門である。

今回はゆ〜ったりのマイクロ2台で夜行でもそこそこ睡眠を確保。半分寝ぼけているうちにもう鳩待峠に着いた。
降りてから朝食、5時には歩き出す。流石に2度目、しかも初回に至仏山までは念入りに調べたのでかなりの余裕である。朝は雲が多かったがだんだん日差しがみられ、天気は良くなりそうだ。

エンレイソウが立派な実をつけている。葉も大きい。ツクバネソウも実になっているが、まだ黒く熟す前だ。余りめぼしい花はまだないが、ツルアリドオシがちょこんと地面から挨拶している。
オトギリソウが背伸びするように長いおしべを伸ばして満開だ。
小一時間で見晴らしの良い水平の木道に出る。左側は背の高いミヤマシシウド?やアザミ(上州オニアザミなのかなあ…。)がすくすく育っている。クルマユリもちらほら。
標識のあるオヤマ沢の水場で水汲み。おいしいとみんなが言っている。湿原はもうすぐだ。
オオレイジンソウが咲いている。


オオレイジンソウ(大伶人草:雅楽奏者の帽子の形から。)

花の種類が一気に増えてきた。オヤマ沢田代到着。小至仏山も見えている。視界が開け、気持ちがいい。


オヤマ沢田代

ワタスゲが目立つが、よく見るとタテヤマリンドウが沢山咲いていてかわいらしい。また、キンコウカ、イワイチョウ、わずかにトキソウ、キソチドリ、モウセンゴケなど。わっと歓声があがり、早速撮影タイム。
そこからまた少しで尾瀬ガ原方面の視界も広がるお花畑へ。休憩用のテーブルと椅子もあり、誰もが展望と傍らのお花畑に感嘆するところだ。ザックをおろして休憩且つお花の確認開始。

前回は見られなかった特産種の花をいくつか探す。Iリーダーから「オゼソウ」の声が。え、どこに?と見ると何と控えめなサイズか。写真で見るともっと大きいのかと思っていたが実際にはオオバコを一回り大きくしたくらいの感じ。木道の杭のところにも咲いている。


オゼソウ


斜面の上の方には鮮やかなハクサンフウロのピンクが見える。クルマユリ、ハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、黄色いウサギギクが目立つ。


ハクサンチドリ



ウサギギク

チングルマは花が散ってカザグルマに変身中。
反対側にはアヤメやコバイケイソウ、やたらと背の高いヨツバシオガマも見える。


ヨツバシオガマ

花ハイクということで、時間もたっぷり、お花で各駅停車。この楽しさを覚えるとちょっと止められない、とまらない。個人山行感覚さえある。
次は木道の階段を上がっていくと小至仏山へ。ここまででかなり目立つのがシュロソウ。緑色と濃い紫色の2タイプがあるが、要するに色違い。緑色の方がアオヤギソウ、紫色の方はシュロソウ(=ムラサキ・アオヤギソウ)でその高山型はタカネ〜となる。よってここにあるのは、タカネ・アオヤギソウと、タカネ・シュロソウ(タムラサキ・タカネ・アオヤギソウ)、あ〜面倒。


タカネ・シュロソウ&タカネアオヤギソウ


それからオトギリソウは2種類以上ありそうだが、これも分類が難しい。


○○オトギリソウ

小至仏山で10分休憩。イブキジャコウソウやタカネナデシコが美しい。お目当てのヒメシャジンはまだ蕾のようだ。逆に、ホソバ・ヒナ・ウスユキソウはもう終わり。枯れかけた花ばかりで残念。


ホソバヒナウスユキソウ


イブキジャコウソウ

小至仏山から望む至仏山は結構遠い。それに滑る蛇紋岩地帯に入っているので要注意だ。天気もよく、登山者もどんどん増えてきて、我々の列は追い越しで待ったり、間に他の登山者が入ったりで分断気味。でも、あせりは禁物、花を楽しみつつも足元注意でマイペース。


至仏山頂をめざす

気がつくとリーダーは既に至仏山山頂に立っているのが見えるが私たち最後尾はまだ大分手前。今日はお花の先生はTさん。おしゃべりも楽しい。知らないことは全部教えてもらう良い機会とばかり、質問攻め。

さて、ここで私が探すのはネットで予習中にみつけたウラベニダイモンジソウ。裏紅大文字草の名の通り、見かけは普通のダイモンジソウでも葉の裏は見事に赤いらしい。それらしきダイモンジソウをみつけてはチョット失礼とひっくり返すがなかなか見つからない。小至仏山を過ぎてから2,3株見つかった。

    
ウラベニダイモンジソウ

タカネナデシコが大きな株をなしていて驚く。大きな花とレースのように深く切れ込んだ花弁が繊細かつ豪華。


タカネナデシコ


それからホソバイワツメクサの大きな株と、タカネトウチソウの白い穂先に、ムラサキのシャジン。
至仏山ではヒメシャジンと本にはあるが、区別はガクにトゲがあるかどうか。(あるのがヒメシャジン、なければミヤマシャジン。)よく見るが両方あるようにも思える。はっきりトゲがある株もあるが・・・。
まあ、名前はともかくかわいいから私が好きな花だ。


ヒメシャジン

ようやく辿り着いた至仏山山頂は大賑わい。時間は早いが大休止とし、菓子パンを1個齧る。氷水を入れてきたポットの中はまだまだ冷たい。アイスコーヒーにして飲むとおいしい。夏はお湯よりいいかもしれない。

足はそろっているし人数も実質バス1台分なので少ない割には時間がかかっている。人の多さもあるが花が目的なので急ぐ必要も無い。(鳩待峠を出発してちょうど4時間で至仏山到着。)
たっぷり楽しんでいよいよ下山。この先のお花畑もとても楽しみだ。さて、どんな道なのだろう。雨でも降れば"スケートリンク"とどこかで読んだ。鎖場もあるとか。絶対に転ばないぞと固く誓って歩き出す。

初めは木道の階段。段差はかなり大きい。随所に滑るから注意という看板が立っている。植生の保護のために木道をはずれないように、とも。


下山開始

すぐにお花畑の高天ガ原(たかまがはら)へ。ここではツリガネニンジン、タカネトウチソウ、オトギリソウ、上州アズマギク(終わりかけ)、シブツアサツキ、シラネニンジン?、タカネアオヤギソウにタカネショロソウ、ヤマブキショウマ(トリアシショウマの方かな)、コバノギボウシなど。


シブツアサツキ


タカネトウチソウ


ツリガネニンジン

しかし、ときどき木道が途切れて蛇紋岩の上を歩く箇所になると緊張が走る。既に転んだ人も出ているようだ。鎖場があるが、滑る一枚岩を登降するため。頭を上げれば眼下に尾瀬ガ原と更に微かに燧ケ岳もみえる。


鎖場


山ノ鼻まで一気に下るが、本当に足元がおぼつかない。疲れもあって3度も転んだ人もいたそうだ。私も毎週歩いているのに今日は登りの途中から少し足が痛い。(何と翌日は久しぶりの筋肉痛だった。これはやはり木道のせいだろう。段差が比較的大きい(特に下りは非常に大きい)ために、衝撃も大きく、土と違ってクッションもないので2重に負担になる。下りはただでさえ筋力が要るので、疲れもあって厳しかったのだと思う。)

足がズルっと滑って「きゃ!」と叫んだこと3度。でも30センチほど片足がスライドしただけで止まったのは幸い。何とか転ばず、しりもちもなし。
ただ、登山道の最後の方はかなり浸水していたので、ズボンは汚れた。スパッツをしておけばよかったと思うが後悔先に立たず。

見下ろしていた山ノ鼻の建物が目の前の樹林に隠れた頃、下界の音も聞こえ始め、見晴らしの良い尾瀬ヶ原に下りた。


コバノギボウシ

一本道を小屋へ進む。左右にはワタスゲとコバノギボウシ、キンコウカ。 尾瀬ヶ原のハイキング客など軽装の人ごみに混ざってちょうどお昼時。小屋が並んでお土産やアイスクリーム(花豆のジェラート)を売っている。花豆のジェラートをどうしようかなと迷うが400円なのでやめた。味の予想が出来ないこともあるし。で、20分休憩して鳩待峠を目指す。

沢に沿って木道を歩く。木道は複線になっているのですれ違いはできるが、渋滞気味。
花はマルバダケブキやオタカラコウ、ウバユリにサワギキョウが少し。シキンカラマツ?も。


シキンカラマツ??

所要60分ほどだが最後の方は大渋滞。最後が登りになっているのも関係がありそうだ。
それでも13:30に鳩待峠着。お疲れ様でした。

<アドバイス>
やはり山ノ鼻へ降りるのはなかなか大変です。疲れも溜まる頃だし、下りの急降下+ツルツルの蛇紋岩は手ごわいです。花はここにしかないというものもないので、鳩待峠からの至仏山往復がよさそうです。


戻る   山一覧へ