雪頭ヶ岳〜十二ヶ岳   2007年5月19日

コース:
根場9:10〜9:25登山口〜12:10雪頭ヶ岳12:50〜13:05鬼ヶ岳〜13:30金山13:40〜14:30十二ヶ岳14:35〜16:15桑留尾


今日はネットサーフィンで見つけた可愛い花、コイワザクラを求めて雪頭ヶ岳へ。
ところが、中央道を走り、大月から河口湖方面へ分れると、とうとう土砂降り。今日のコースには岩場や痩せ尾根があり、滑ると非常に危険である。
すると皆さんも心得たもので、『今日は山はやめて温泉にしましょう〜♪』と意見が一致、とりあえず登山口まで行って判断することになる。

半分諦めていたところ、だんだん空が明るくなり、次第に日が差してきて、とうとう根場(ねんば)の駐車場に着く頃には上がってしまう。
合羽を着て歩くのも大変なので、空次第では戻ることも考えつつ、仕度を整え、標識に従って沢沿いを堰堤に向かって歩き出す。

昭文社の地図では雪頭ヶ岳まで2時間40分となっているが、半信半疑のままノンビリ歩いて行くと15分で改めて登山口の標識が出てくる。沢を渡ってジグザグに登っていくが、緩むことなく登り続ける内に早くもバテてくる。

アカネスミレ 気温が高いのと、雨上がりの湿度もあって、もう汗ばんでいる。小休止!とザックを置けば、早速皆さんから各種果物の差し入れ。
いつもいつも頂くばっかりで気が引ける。が、ありがたく頂き、また少し頑張って登ると、ようやく視界が開け、振り返れば、大分高度を上げたことが分かる。

日差しが眩しくなり始めた頃、足元には沢山のスミレ。

マルバスミレの白い花、タチツボスミレにエイザンスミレ、そして紫のベルベットのようなアカネスミレ!
休憩直後であろうがお構いなし。早速撮影会の始まり!嬉しくてついついレンズを向けてしまう。ルーペで花を覗いたり、葉の形を確認したり。これも個人山行の楽しい一時。

さて、一本調子に登っていくのですぐまた息が切れるものの、高度につれて少し涼しくもなり、いつの間にか辺りは瑞々しいブナの新緑に変っている。

登山口では先行グループがいたものの、その後は誰も登ってこない。静かな山を満喫し、良い空気を一杯に吸い込んで、生き返る心地がする。
見ればブナの原生林という標識もあり、『これだけでも今日は十分満足だね!』の声も。

ブナに慰められて登っていくと少しずつ岩肌が見えてくる。もしかして、もうすぐ頂上?と甘い期待を抱くものの、まだもう少しありそうだ。
ストックに頼りながら歩いていくと、大きな岩が現れ、「あ!あれ!!」の声に顔を上げると・・・。険しい岩場に咲くというコイワザクラ(小岩桜)が見事に咲いているではないか。

コイワザクラ

近寄れないような断崖に1輪ポツンと咲いているのかと思ったら、大きな岩一面に沢山並んでいるのには驚かされる。
心ゆくまでカメラに納め、我が目に納め、『もう帰ってもいいね!』

今日の目的は早々達成され、あとは天気や時間次第、戻るもよし、と晴れ晴れとした気分でまた歩いて行く。

少しなだらか尾根を歩いて少し岩っぽい尾根を詰めると、ようやく開けた雪頭ヶ岳に到着。目の前は霞んでいるものの、富士山がお出迎え!さあ、お待ちかねのランチタイムに突入。目の前には西湖が広がり、明るい草原にはリンドウが一杯。踏まないように気をつけて、各々腰を降ろす。

バテたのと、撮影タイムが長かったこともあるが、駐車場からちょうど3時間。確かに、コースタイムの通り2時間40分は要りそうだ。

もう青空が広がり、夏の雲。下山まで雨の心配もなさそうだ。むしろ雷が怖いほど。
しかし、時計を見ればもう1時近い。下山をどうするか考えたが、キツイ登りはもう済んだことだし、予定通り十二ヶ岳を経由して桑留尾(くわるび)へ降りることにする。
いつもよりは早めに昼食を切り上げて、まずは鬼ヶ岳へ。梯子があるというが、どんな感じなのだろう。
小さな凸凹を経るとすぐにアルミの立派な梯子が見えてきた。
梯子の隙間が浅いところもあるが、特に問題もなく、さっさと通過。登ると鬼の角のような岩が伸びている。
左は鍵掛峠、右に進んで金山への稜線のはず。でもルートが無い?

よく見れば、鬼の『角』を回り込むように道がついている。
ここからは歩きやすい柔らかい道。ヒメイチゲが咲いている。足取りも軽く、すぐに金山へ。このコースは行き交う人も多く、団体も歩いている。

少し休んでいると、十二ヶ岳方面から団体が上がってくるが、中には「怖かった」と言いながら顔が引きつった女性も。
いよいよ私たちもその『破線コース』を行くのだ。気を引き締めて歩き出す。

しばらくは問題ないコースだが、だんだん岩っぽくなり始め、痩せた岩場の通過が現れる。
それでも「想定内」で難なくクリア、確かネットで見た鎖場があるはず・・と思っていると難所に差し掛かる。

岩場の登下降  

まずは鎖のかかる岩場の下降とトラバース。足場を確認し、申し送りながら慎重に降りる。
ふと見れば、左の断崖にコイワザクラの群落!

全員小さな鞍部に降り立つと、今度は目の前に『壁』があり、7,8mあるだろうか。上からロープと針金が複数垂れ下がっている。

登ろうとするが、足がかりが浅く、木の根とロープを頼りに腕力で這い上がる必要がある。
ちょっとイヤな壁だが、上半分はスタンスもホールドもしっかりしており、ロープに頼らず登れるのは助かる。が、ここを降りるとしたら、相当な覚悟が要りそうだ。

またしばらく歩きやすいフカフカの道を行くと、コースから見下ろす斜面にコイワザクラが咲いている。
また、登山道のすぐ脇にもまた大きな群落があり、ゆっくり名残を惜しみながらカメラを向ける。

ちょうどいい時期に当たったようで、今日は総数で一体何輪見たことだろう。嬉しい誤算だった。

満足して岩場を登ると十二ヶ岳。小さな祠が2つある。目の前には大きな富士山。もう14:30になっている。

アケボノスミレ 難所を終え、コイワザクラを堪能し、みんなの笑顔がまぶしい。
ここから毛無山へのルート(十二ヶ岳のメインルート)も是非またの機会に歩いてみたいものだ。

疲れが出る頃なので気をつけて行きましょう、と声をかけつつ、どんどん降りて行く。途中の花は、登りとちょうど逆を辿り、スミレが現れる。アケボノスミレの優しいピンクが嬉しい。
しかし、とうとう右ひざ裏が痛くなり始める。ストックがあるので何とか歩けるが、今日は標高差もあるし長いので、日頃の運動不足を見事に露呈。

それでもどんどん歩いくと、今度はどこまでも平らな道が伸びている。こんなに平らでどうするの?と思うがしばし話に花が咲く。

まだ重い果物を背負って下さった方もあり、休憩に頂いて、更に元気を取り戻す。

イカリソウ散々文句を言ったせいか、今度は植林の急降下に変り、随所に誰かが滑った後がある。

標高はどんどん下がっていくが、これまた膝に来る下りだ。
懸命に降りていくと、今度はイカリソウ!
どこまでも続く急降下を慰めるように、何株も何株も微笑んでいる。

下から車の音が聞こえ始め、それが大きくなってくると、ようやく桑留尾に到着。16:15になっている。行動時間が7時間、久しぶりに歩き応えのあるコースだった。

降りたところはホテルと「いずみの湯」。でも本日のお風呂は別のところへ。
という訳で、1日数本の路線バスは使えないのでタクシーを呼び、根場に戻る。

今日は花も岩場も堪能して、予想外の良い天気に変り、大満足の山行となった。
湖畔をドライブしながら『開運の湯』に浸かり、行きも帰りも渋滞と無縁の恵まれた1日を過ごすことができた。



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