セーメーバン   2007年1月20日

コース:
金山本沢橋8:58〜9:00登山口〜9:22サクラ沢峠9:30〜10:23セーメーバン(1006.2m)10:40〜11:15サクラ沢峠〜11:28高ノ丸(昼食)12:25〜12:45トズラ峠〜13:12四号鉄塔13:23〜13:35笹平(713m)〜13:47稚児落し(合流点)〜13:50休憩14:03〜14:30浅利集落(民家)〜14:37車道出合〜15:15大月駅


セーメーバン(1006.2m)
今日は1ヶ月ぶりの山行。行き先はセーメーバン。メンバーのNさんのリクエストながら私も以前から気になっていた山だ。所属山岳会で何度か山行が出たのにタイミングが合わず、見送っていた。
よく歩かれているのは宮地山〜大岱(おおぬた)山〜セーメーバンというルートだろう。ただし昭文社の地図では破線ルート、しかも「宮地山・セーメーバン山周辺は・・・道標も皆無に近く経験者向」と赤字の脅し文句つき。

ところがネットで検索すると随分歩かれており、しかもセーメーバン周辺は迷いようがないほど道は明瞭らしい。
画像入りでの報告をいくつか読み、また地図の上で送電線巡視路を歩くようなので、個人山行でも問題ないだろうと計画する。
ただし、万が一にも遭難するといけないので、サクラ沢峠からセーメーバンを往復し、南下して稚児落しまでの破線ルートをつなげることにした。

大寒とあって、流石に寒い。・・・高尾駅で全員集合。同じ会のメンバー5名とあって、寒さも吹き飛び、初めての山に不安より期待が膨らむ。
大月で降りてタクシー乗車。金山集落へ向かう。下車地点は民宿「森屋荘」の大きな石の碑が目印だ。大月から2000円弱。

さて、登山口はどっちかな、と見渡し、地図とにらめっこした結果、「岩殿山→」の標識に導かれて目の前の「金山本沢橋」を渡る。
渡り終えると道は右に上って行き、ほんの少しで左手にしっかりした標識「←セイメイバン」が現れる。


民宿「森屋荘」の入口

橋を渡って右に登る

「←セイメイバン」の標識
無事に登山口をみつけてほっとする。ちょうど9時だ。
ここから山に入っていくが、幸い雪もなく、固く凍った箇所もなく、比較的容易にルートを見つけられる。

そのうちに前方に鞍部が見えてきて、あれがサクラ沢峠だろうと思うころには、足元は黒い樹脂のステップになり、進むべき道が明瞭になる。
大きく蛇行しながらもようやくサクラ沢峠に到着。これでもか、というほど標識が立っている。

よく見ると、「セーメーバン」・「高ノ丸」・「金山遅能戸」、「金山峠」・「岩殿山」などの文字が躍るが、その下に小さく「大月市西奥山活性化対策委員会」の文字が。(但し、その意味を理解したのはもう少し後のことだった。)


サクラ沢峠
ここからは稜線伝いに行く。比較的なだらかで、気持ち良いコースだ。
葉が落ちて見晴らしも良く、左手には大谷ヶ丸、ハマイバ丸、大蔵高丸あたりの稜線が目の前に見えるが、みんな頭が少し白い。
私も6本アイゼンを持ってきたが、幸いここでは不要なようだ。

登山口で、自家用車の二人連れと一緒になり、峠で抜かれた後は、貸切状態、静かな山を楽しむ。
時折落ち葉が深く散り敷いて、30センチもあろうかと言うほど。落ち葉のラッセルだ。

鉄塔が良い目印になるが、最初の送電線が見えるのはサクラ沢峠から少し登ってから。右手下の谷を走っており、それがはっきり姿を現すのは稜線上の最初の鉄塔だ。
サクラ沢峠に、鉄塔の番号であろう、「←10号に至る・8号に至る→」があったので、これが10号なのだろうか。(鉄塔の脚部に漢数字で番号が入っていたのだが、それに気付いたのはトズラ峠に近づいてから。したがって番号は不明。)

このあたりでデジカメが黄色信号。バッテリーの容量不足の警告が出ている。どうやらバッテーリーの寿命のようだ。折角記録を沢山残そうと思ったのに大誤算。あわてて最小限にとどめる。

2つめの鉄塔が見えてくる。地形図と比べながら現在位置を推定する。よく見れば稜線との交点あたりで送電線が僅かに角度を変えているので、これが鉄塔を表しているはずだ。

3つ目の鉄塔を目指すあたりで急登となる。落ち葉が深く、意外と手ごわい。
しかし目指すセーメーバンは次のピークだ。一旦下ってまた少し登り返す。鞍部を歩いて行くと久しぶりに標識が現れた。まっすぐ尾根を登る方向に「セーメーバン→」とある。

尾根を登らずに左に巻くような踏み跡があり、尾根コースには倒木がちょうど通せんぼしていたのでちょっと悩んだが、ただの倒木に間違いなく(帰りに片付けておいた。)最後の登りを頑張る。
ここもなかなか急だが何とか立ち木の助けも借りて登りきれば開けた場所に出て、三等三角点と「セーメーバン山頂」の標識が迎えてくれる。
お疲れ様!
10:23、登山口から80分ほど。ここで大休止とする。


「セーメーバン」へ

セーメーバン山頂
見晴らしは良いが、特に特徴のないピークだ。1006.2m、雪もない。
これで本日の目的を達成したので少し気が楽になる。なるほど、ここまでのルートは陽だまりハイクにぴったり、のどかで明瞭な1本道だ。たまにゴミが落ちているのは玉に瑕。

ここから大岱山までは尾根通し、同じような道だろう。先行の2人連れはどうやらこの先を行き、車に戻るためには金山峠から金山鉱泉を経て集落へもどるのかもしれない。
また、このコースなら余り迷わずいけるだろう。迷いやすいのは宮地山と薬師堂のある登山口の間のようだ。

ちなみに、このセーメーバン(標識にはセイメイバンもあり。)は陰陽師の安倍晴明のこと。何故かこの地を訪れた晴明が、請け負った水路を開けなかったために憤死したとかいう伝説があるらしい。
京都の晴明神社に2度詣でている私としても興味をそそられる山なのである。

さてサクラ沢峠までは今歩いた道。落ち葉のラッセルをしながらの急降下は恐ろしい。安全第一、とにかく転ばないよう立ち木もストックも何でも利用する。

幸い、急坂も短いので何とかクリア、あっという間にサクラ沢峠へ。ここから先は未知の世界。ちょっとワクワクする。峠からジグザグに登って行くが、所々テープ印がある。時折、巡視路用?の黒いステップも。

登り詰めると「高ノ丸」782m。名入りの小さな目印がある。ここでお昼とする。今日はNさん、Fさんに甘えておでん山行。ガスとお鍋を取り出してセットしていただき、私たちは具を持ち寄って、あとは待つだけ。

流石にじっとしていると冷えてくる。
ガスが勢いよく音を立て、あっという間にアツアツのおでんの出来上がり。頂きま〜す!

これが個人山行の楽しみだよね、とおでんにコーヒー、Fさん持参のおいしいクッキーという豪華さ。(毎度ご馳走さまです。)
心配していた空模様も問題なく、これで皆さんの荷物も大分軽くなって1時間の宴を終えて後半戦に突入。

高ノ丸を12:25に出る。目の前の鉄塔をすぎて下って行く。
さらに歩いて次の鉄塔をよく見ると、七となっている。それから現れた鉄塔が六。これを過ぎると下に舗装の林道が見え、直進できずに左へ曲がって林道に降ろされる。これがトズラ峠。ここにもしっかりと標識がある。

林道を右に歩くと目の前に広場があり、その奥にこっちだよ!と標識が立っている。どうやら林道を作るために、尾根通しのルートが分断されたようだ。

トズラ峠から先は急にルートが厳しくなる。尾根が痩せ、険しい崖の上を歩くようになる。
といっても、樹木があるし、天候が安定していれば慎重な行動さえとれば問題ない。ただし、凍っていたり強風などでは最悪の場合滑落の危険もあり、単独行動は避けた方がいいだろう。(誰にも見つけてもらえない?!)

しばらく痩せ尾根を歩き、時折黒いステップに助けられ、慎重に進んで行くと、富士山が綺麗に見える(はずの)「富士展望点」の標識に出くわす。ただし、ここも足元注意!の絶壁上だ。

また斜面を登っていくと鉄塔が立っている。四番の鉄塔だ。
ここにまた「金山民宿村まで50分」の標識がある。ははあ、これは”地域振興”のために民宿へ誘導するための標識だとようやく合点がいく。サクラ沢峠の標識にあった”西奥山活性化対策委員会”が何であるかも。

さて、鉄塔の立つ広場は見晴らしもよく、開けているものの、ここでルートに疑問が生じる。

地形図では次の笹平(713.5mピーク)までコースが”直進”となっているが、まっすぐ進むと藪に阻まれ、笹平らしきピークも見当たらない。

おかしいぞ、と鳩首会談の結果、方角とコース状況から、鉄塔を左に見て降りるルートで間違いなさそうだ。
つまり、感覚的には『登ってきて四号鉄塔が見えたら(それを通過せずに)ここで右に曲がる(=南下する)』ということ。ちょっと覗けば、明瞭な道が続いているのですぐに分かる。
(視界がよければ、概ね岩殿山方面へ向かえばよい。探せばすぐ小さなピーク=笹平がすぐ目に入る。)

ところで、この先が実は一番厄介だった。
黒いステップが埋め込んであるものの、落ち葉と砂に埋もれ、しかもとんでもない急降下。目がくらんで真っ逆さまに落ちそうだ。
落ちたら最後、どこまで行ってしまうやら・・・。とにかくマイペースで一歩一歩着実に。

やっとのことで鞍部に降り立ち、胸を撫で下ろす。後はまた笹平を目指しての登り返しだ。

このあたりはなだらかで、ゆるやかに下って行く。景色が少し変り、笹が伸び、常緑樹もあって少し視界が遮られるようにある。
三号鉄塔に出合うとすぐに岩殿山から稚児落しへのルートと合流する。このあたりは赤松が目立つが、なによりマツクイムシの被害が甚大で、あちこちで立ち枯れら倒木があり痛々しい。


真っ逆さまの急降下

稚児落し
合流点にもまた立派な標識が林立し、民宿へ”誘導”している。
稚児落しの大岸壁はなかなかの迫力だ。このあたりも道幅が狭く、ちょっと怖いが、岩も滑らないので大丈夫だ。
折角なのでここで最後の休憩とし、さっき沸かし直した熱いお湯で紅茶を飲む。優雅だなあ。

後は浅利集落へ降りるのみ。・・・でもここから先も滑りやすい急降下の連続。七ヶ岳同様、どこまでも気の抜けないコースだ。
最後の方では標識がなければ直進してしまいそうな、これまたえぐれた急降下が続く。石車に乗ったら大変。そろそろ膝が痛くなってくる。今日は下りが厳しいからだろう。それに年末以来歩いていないツケだ。

途中で「ミニ稚児落し」のような岩の上を通れば民家の前に出て、山道は終わり。
ここからは舗装道路を歩き、更に車道に出る。標識がしっかり設置されており、「千本松」の説明がなされている。・・・とぼとぼと舗装道路を大月駅へ向かう。この辺りからザックが肩に食い込み、膝裏も少し痛い。あとで念入りにストレッチしないとなあ・・・。

時折通り過ぎるタクシーを尻目に頑張って駅まで歩く。

今日は本当に充実の山行となった。地形図やコースの読み取り方など、やはり実地に勝る勉強はないと実感する。ネットでの各種情報に感謝し、また私も正確な情報を発信したいと思った。
デジカメの不調で写真が少なくて残念だったが、本当にメンバーに恵まれ、お天気にも助けられてまた良い経験が出来た。

このコースを歩かれる方に:
サクラ沢峠からセーメーバン、逆方向にトズラ峠まではコースは明瞭、送電線と鉄塔を目印にしながら不安なく歩けます。

ただし、トズラ峠から稚児落し、浅利集落までは少し険しいルートですが、少なくとも冬枯れの時期には迷うことはないでしょう。悪天候時には通過が危険になりますので要注意。

笹平(713.5m)への1つ手前のピーク付近の送電線(鉄塔)の位置あるいは地形図のルートが少し違うように感じられます。
再訪の機会があれば確認してみたいものです・・・。


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