佐渡・花ハイク   2004年5月21夜〜23日(夜行1泊)

コース:
初日:ドンデン山荘9:04〜11:20マトネ11:45〜13:00ブイガ沢のコル〜15:50金北山16:00〜17:10白雲台
2日目:石花口(大佐渡自然歩道)4:50〜6:30平城畑〜8:35石花分岐〜9:05マトネ〜10:00アオネバ十字路〜(大休止)〜ドンデン山荘10:50


初めての佐渡。花がメインの山行とあって、とても楽しみだ。今回もIリーダー。
人気のコースとあって申し込みが殺到し、なんと60名の大所帯、マイクロバス3台になるという。
何故か私が3号車の担当を仰せつかる。責任重大だなあ・・・。あわてて下調べを入念にやり直す。

池袋を22:30の予定より早く出発。関越を走り、トイレ休憩も過ぎて消灯。次は越後川口SAまでお休みタイム。最初の関門は無事クリアかな、とちょっと安心するも、何となく強面の運転手さんが気にかかる。
案の定、「全く参っちゃうよ、前(=1号車)が全然走んないだから。」と文句を言い出す。先頭バスが法定速度を遵守するのが気に食わないらしい。う〜ん、ちょっといやな雰囲気。

新潟西ICで降りて、コンビニ経由で港に向かう。まだ3時台なので流石にみんな眠そうだ。コンビニで買出しをして港へ。フェリーは6:00出航。2等船室では、体を伸ばして、しばし爆睡。

船酔いの暇も無く、目が覚めると船窓から佐渡が大きく見える。ちょっと空が重そうで、海も鉛色なのが気になるが・・・。
8:20に両津港着。バスはまっすぐドンデン山荘へ。初めての佐渡、どんな花が咲いているだろうか。
道路沿いには木にこぼれんばかりのピンクの花が咲いている。佐渡へようこそ、と言わんばかりだ。何の花かなと目を凝らすと、実は見慣れた花、タニウツギらしい。
山道に入ると今度は白い花。あ、これがオドリコソウ?

この5月に新装なったばかりのドンデン山荘に到着。9:00だ。
まずは尻立山へ向かう。芝生の上を歩いていると白いハンショウヅル。これは見つかった地名からトリガタ(鳥形)ハンショウヅル(半鐘蔓)だそうだ。


トリガタ・ハンショウヅル

尻立山ではウスバサイシンが目立つ。ハート形の大き目の葉の根元をよく見ると、地味な濃い紫の花がベルのように開いている。
花をチェックしたら、またドンデン山荘へ戻って、今度は金北山目指しての行軍が始まる。9:40

舗装道路(県道佐渡縦貫線:閉鎖中)を歩いて下る。行く手には大佐渡山脈とゴールの金北山が見晴らせる。金北山にはレーダードームがあり、自衛隊の基地になっているのだ。1172mと、佐渡の最高峰である。


大佐渡山脈と金北山

舗装道路の脇にも沢山の花。珍しいというヤマトグサが咲いている。


ヤマトグサ(大和草)

20分程で大佐渡自然遊歩道入り口に至り、土の道となる。車が走れるような広い道だ。ニリンソウやヒトリシズカ、スミレ各種と花の道をおしゃべりしながら歩いていく。


ニリンソウ(二輪草)
    
ヒトリシズカ(一人静)
    

そのうちアオネバ(青粘)十字路に出て、マトネに向かって登っていくと、今度は久しぶりのコケイラン。


コケイラン

さらにルイヨウボタン(類葉牡丹)も。


ルイヨウボタン

オドリコソウも見事に咲いている。


オドリコソウ

イワカガミもかわいらしい。濃いピンクから薄いピンク、白に近い淡い色まであり、パステルトーンが素晴らしい。(日本海側特産の、オオイワカガミらしい。)


オオイワカガミと、ツクバネソウも

今回はデジカメの激写に備えて、メモリーカードは128MBを購入、バッテリーの充電器も持参で、何枚でもドンと来い、である。

大きな実をつけた草が目立つなあと思ったら、それはカタクリの実(カタカゴ)だった。大変な数であり、途切れなく続く。もっと早い時期だと圧巻だろう。ユキワリソウもほとんど痕跡しかない。
花を満喫している間にマトネ着。(11:20)見晴らしのよい芝生の山頂でお昼となる。なんだか金北山が遠い・・・。


金北山を望む

山頂はレンゲツツジジが見事。大輪で、今咲き出したばかりの瑞々しい姿にはついカメラを向けたくなる。


レンゲツツジ

先が長いので、15分後にもう出発。いよいよ金北山まで佐渡の背骨を行く。暫くは芝生の上を歩いていくが、スミレとキジムシロのオンパレード。まじまじとみてしまったが、これぞ『スミレ』である。


スミレ

葉の形といい、日当たりのいい場所といい、花の色といい、典型的なのだが、なんだか山の中で出会うと不思議な気がする。

マトネを降りて鞍部が石花越分岐点。ここへ石花から明日登ってくる予定になっている。少し曇った空の下を、60名がゾロゾロ歩く。少しは金北山が近くなっただろうか。

ブイガ沢のコル(13:00)を経て"真砂の芝生"、"イモリ平"と進む。折角トランシーバーを持っているのだからと列の中間部を歩こうとするが、写真を撮っているうちに結局は尻尾に近いところが定位置になってしまう。リーダーからは要所で「シラネアオイがあります。」、「ヤマシャクヤクが咲いています」と連絡が来る。
こちらはカメラを用意して待っていればポイントに来るのだから、有難い。


シラネアオイ

ほぼ途切れなく何か花が咲いているが、だんだん感激が薄れてくる。チゴユリのかわいい姿や、ナガハシスミレ(天狗スミレ)、エンレイソウも沢山あるのに、カメラを向ける気にならないほど。贅沢だなあ・・・。
しかし、山道は案外アップダウンが身に応えてくる。斜度もきついが、それでも花が慰めてくれると気がまぎれるというものだ。

それに、この花は凄いと思っていると、つぎにもっと沢山咲いているから嬉しくなってしまう。


ヤマシャクヤク

ただし、足元はひどいぬかるみで、田植え状態。スパッツをしていても、膝上までドロだらけ。靴底もドロで埋まって、重くて滑るのは参る。
菖蒲池あたりまでくるとサンカヨウが咲いている。


サンカヨウ

またまたシラネアオイの大群落も。


シラネアオイ

とうとう雨が落ちてきて、合羽を着たりかさをさしたり。仕方ないのでカメラもしまう。大降りにはならないものの、足元が更に悪くなり、時々落差の激しい難所などでは泥と格闘になってしまう。
待ち時間も長くなるので、雨がやむとカメラを出して、記録代わりに写してみる。


エンレイソウ(延齢草)


スミレサイシン

喘ぎながら金北山への登りにかかる。あと少しだ。レーダードームが目の前に大きく飛び出してきて、ようやく山頂へ。(15:50)
小さな神社があり、金網に囲まれた自衛隊の建物に占領されている。


金北山

集合写真を撮って、あとは白雲台へ降りるのみ。休憩もそこそこに4時に降り始める。
実は、前回は自衛隊の許可が降りて、ここまでバスがはいってきたそうだ。今回もリーダーが交渉してくださったが、だめだったそうで、車道を1時間以上も歩いて降りることになっている。実はこういう道が一番苦手、それに1時間以上もあると聞いて、私にとっての一番の"難所"と思っていたら、舗装ではなく細かい砂利道で、しかも広くで傾斜もゆるく、案外歩きやすい。

嬉しいことに、この道端にもシラネアオイを始め、まだまだ花が一杯なのだ。海も見渡せる危険の無い道を、まだまだ撮り足らないみんなが寄り道しながら三々五々降りていく。
80分が標準タイムらしいが、70分で白雲台へ到着。5:10になっていた。大人数なので宿も貸切、お風呂がパンクするだろうと3号車は立ち寄り湯へ向かう。山を降りると一部迂回を強いられ、温泉を探しながら一旦道を戻る。
地図を見ながら進むがちょっと通り過ぎてしまった。それでも海が見渡せ、洗い場も沢山で、いいお風呂だ。宿に戻ったみんなはどうしているだろうか・・・。

7:30の夕飯にはカニがついてきた。ご飯もおいしく、おかずの味もいい。しかし、明日も早いので、早々に部屋に引き上げ、荷物整理をしたら即、就寝。

翌朝は3:30起床とする。朝食4:00、出発は4:20である。う〜ん、3時台なんて絶対に食べられない、と思ったが食卓につくと意外にも1膳食べてしまう。卵焼きもついて、朝から手抜きのない食事、お湯も沢山沸かしてくれて、とても感じのいい宿だ。

日の出が4:28ということで、もう明るい。靴をしっかり履いて、登山口に向かう。海岸沿いを走る。石花口まで向かうが、かなり先の自然歩道入り口までマイクロバスが入れたのは有難い。4:50、歩き始める。

まだ早朝なので静かだ。鳥が鳴いている。砂利道を進む。ヤマオダマキやピンクのタニウツギが余り美しいのでやっぱり1枚。


ヤマオダマキ


タニウツギ

大佐渡自然歩道の名に相応しく、家族連れでも楽しめる道が続く。前の方で歓声が上がり、人垣が出来ている。何かなと思うと、ウラシマソウだという。どれどれ・・・。


ウラシマソウ(浦島草)

テンナンショウの類だが、ヒゲのように細い糸状のものが釣り糸を垂れているかのように長く伸びる姿から命名されたという。浦島太郎の釣り糸という発想が楽しい。よく見ると固まって数本生えている。

車道を横切って少しずつ標高を稼いでいく。山道らしくなったと思うと今度はほとんど平らな道を、今日も美しいレンゲツツジの間をすり抜けていく。


レンゲツツジ

余りの見事さに何度もカメラを向けてしまう。今日は天気も良く、本当に気持ちがいい。
ただし、牛が放牧されているらしく、狭い道でも牛さんの落し物だらけなので、足元注意、である。
地図をしばしば眺めながら、平城畑はそろそろかな、と思うころ、上りがきつくなった分、景色が開けて、目の前に見事な光景が広がった。芝生の広大な斜面が現れた。平城畑である。まだ6:30だ。

昨日歩いた金北山からの下りがよく見える。 このあたりは一面のレンゲツツジ、スミレ、ヒメハギもあってお花畑である。


キランソウ?

先を急ぐので、列の後尾は休む暇も無い。平城畑を通過するとまた樹林に入る。そしてトランシーバーから聞こえたのは・・・。

「コケイランの群落があります。」・・・壮観である。その後も時折リーダーから花の情報がラストのH氏に送られるが、電波が届きにくいのか、応答率が低い。それで仕方なく時折私が応答する。
花に詳しい人がいろいろ教えてくれる。この蔓はアケビの花だという。薄紫の花と、濃い紅紫のものがあるが、雌雄の違いのようだ。


アケビの花

昨日の花のおさらいをするように、チゴユリやエンレイソウ、イワカガミなどが咲いている。歩き続けてようやく昨日の石花越分岐点までたどり着いた。8:35とまだ早いが、ドンデン山荘まではまだまだかかりそうだ。

日当たりの良い芝生の上で、小休止。この先は昨日歩いた道を逆に辿るので、花もコースも読めるのは楽だ。
マトネまで登って9:05.アオネバ十字路が10:00。
沢沿いに巨大になったザゼンソウが沢山葉を伸ばしている姿はちょっと可笑しい。根元に証拠の花が残っている株もある。
後は県道の舗装道路に向かうのみ。予定通りに歩けたところで、この山行のメンバーの自己紹介タイムとなる。

道端の花を写しながらドンデン山荘に向かう。カメラはまだ余裕があるので、撮らなかった花を写してみる。


ニシキゴロモ


エチゴキジムシロ


(フデ?)リンドウ

今日は天候に恵まれ、順調に歩けた。ドンデン山荘11:00着。あとはフェリー乗り場に向かう。12:40の出航、12:15の乗船開始まではターミナルビルでお昼を食べたりお土産を買ったりして過ごす。
日曜日とあって、かなりの人数が乗っている。
後は15時の到着まで、お酒を飲む人、お昼を食べる人、そして図鑑を見る人。私は・・・ご常連とおしゃべりして、あとは昼寝を決め込む。

時間的にはハードな山行だったが、みんな怪我も無く花も十分楽しめて、充実した山行だった。
唯一の汚点は3号車の運転手。雨で50キロの速度制限が出ているのに、先頭バスの"低速"を罵ったり、携帯が鳴れば出て、愚痴か嫌味か、聞こえよがし。最後は"お願い"を振り切って、勝手に池袋へ先行する始末。運転の荒さは、まさに"走る棺おけ"、寿命が縮みそうだった。

いつものSさんやOさん、Iさん(運転手さん)が無性に懐かしかった。


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