大垈山とセーメーバン   2010年5月4日

大月駅→金山鉱泉(山口館)8:50〜稜線出合〜10:05小ピーク10:15〜[金山峠・大垈山]分岐10:29〜10:49大垈山(おおぬた)11:47〜12:20セーメーバン〜13:11サクラ沢峠13:40〜114:00金山(森屋荘)→大月駅


GWは静かな山へ、とセーメーバンを選ぶ。中央線はハイカーで一杯。お仲間と車内でお喋りしていると、同じ会のIさんが現れてびっくり。 これから一人で棚横手に行くという。
良かったらご一緒に、とお誘いするが、多分静かな山歩きが目的だろうI氏に、女性ばかり数名の「姦しい」を遥かに通り越した一団と歩く、という選択肢があろうはずはない。
大月駅ではI氏にお見送り頂いて、タクシーに乗り込む。
金山鉱泉山口館のやや上に登山口があり、ここまで2780円。大きな案内板があり、今回は舗装道路の直進(金山峠へ)ではなく、沢を渡って大垈山を回ってセーメーバンを目指す。
しかし、沢へ降りる前の標識も「雁ヶ腹摺山・金山峠」と「大月駅」となっていて一瞬戸惑う。

案内板  「雁ヶ腹摺山・金山峠」/「大月駅」斑入りフモトスミレ

ともかくも沢を渡るといきなりの急登。しかし、すぐにスミレが迎えてくれる。タチツボスミレが殆どだが、咲き残り?のエイザンスミレ、マルバスミレがやっと1輪。そして、1輪ずつの超ミニサイズ、フイリフモトスミレ(斑入り麓スミレ)がとても綺麗だ。

宮地山辺りはスミレが素晴らしいと噂に聞いたが、ここもかなりのようだ。葉をみるとヒナスミレも有るようだし。これは盛りに是非再訪してみたい。

急ではあるが途切れずに咲くスミレと、ジグザグを切る度に自然林の若葉に溶け込んでいく感覚がなんとも心地よい。

今日もぐんぐん気温が上がっていく感じで、もう初夏のよう。ほんの2週間ほど前には雪まで降ったというのに・・・。

さて、一頑張りで稜線に出ると、若葉と周囲の山の展望が嬉しい。次の目的地は大垈山。詳細な記録やガイドブックの確認ができなかったため、地形図をじっくり眺めながら確認しつつ歩く。 尾根は風が抜けて気持ちがいい。静かで誰もいないのは最高だ。

尾根を行く 新緑に包まれて

登るにつれて、ミツバツツジがまだ咲き残って、その紫色が若葉に映えて本当に美しい。まだ葉も芽吹いたばかりで、周囲の展望が利くのは有難い。

昭文社2007年の手持ちの地図にはもう実線で載っているが、大垈山にかけては地形図には登山道が1130m辺りから全く消えてしまい、大垈山周辺のなだらかな等高線と「へ」の字形のピークの真ん中がどうやら大垈山らしいが、 この辺りの地形を頭に刻み込んで歩いて行く。(*地形図で大垈山の山頂はここ?)


また急な登りが始まるが、小さなピークも見えてきたので、これが「ヘ」の字の最初のピークと思い、意外と早いなと思って登っていく。するとこのピークを左から巻いて進み、その先の鞍部から次のピークへの直登と巻き道があり、 全員一致で巻いたつもりが、結局、登り返しつつ戻ってピークを踏むことになった。
標識はないが、ここでコースが曲がったようにも感じたので、地図読みは合っていると思い、これが大垈山と考える。

(が実はこれが間違い。後からよく考えてみると、どうやらこの時立っていたのは、このあたり。少し張り出した尾根線の先端(*この尾根の先端らしい。)

大休止後、n字にカーブしていく稜線を歩きながら、(実は分岐で、次のピークへの直登があった?)明瞭なトラバース道へ、赤テープに誘われて右に進む。
(赤テープに誘われ、トラバースを開始した地点は地形からこの辺り?)


と、標識が林立する分岐へ。その文字にびっくり。「金山峠」、「大垈山」などとなっているではないか。あれ、大垈山はまだ?!

分岐と標識

(*金山峠/大垈山の分岐はこのあたり?)

混乱しつつも、明瞭な標識が現れたのでそれに従い、V字に右に進んでいくとこれもトラバースという感じになる。明るい道を行くと何と今度は咲き始めたばかりのナガバノスミレサイシンがたくさん!

大きな花はいつ見ても瑞々しく、皆さんも歓声を上げつつ歩いて行くと、なだらかで広い地形が現れ、そこに唐突に「大垈山→」の標識が現れる。


ナガバノ・スミレ・サイシン 標識

なぜこんなところでわざわざ右に折れなければいけないのか?と思いつつも標識に従うと、すぐにまた次の標識が。何だか変、と思い良く周囲を見渡すと、別の道と合流しているようにも見える。もしそうなら、さっきの分岐で直登すると、この尾根線に出るのかなもしれない。

このあたりは広ーいなだらかな地形で、もしガスってきたら非常に迷いやすい危険な地点と化すだろう。

しかし、標識通りに進めばすぐに白ブナの巨木が現れ(樹齢300年という標識あり。)、そして待望の大垈山の標識が現れる。やれやれ。

白ブナの巨木大垈山 アケボノスミレ

このあたりにはアケボノスミレ(曙スミレ)が現れ、本当にスミレ三昧の山だ。大垈山も広々として見晴らしも良く、芽吹きの山を一人占め!という 感覚でお昼にする。日差しは強いが、お昼寝したいようなのどかな風景が広がり、目を凝らすと、靄のなかに大きな富士山がうっすらと現れてくる。これは 冬に来たら最高の展望だろう。キツツキのドラミングが響いてくる・・・。

時間を忘れて楽しいランチタイム。ここでの一杯のコーヒーが、山歩きの楽しみの1つだ。
が、何と貸切のはずが、本日初めての他の登山者と会う。トレールランナーなのか、軽装で颯爽と現れ、大月から歩いてきたという。
山頂の写真を撮ると今度は小金沢連嶺方面を目指して風のように去って行く。1日に一体何キロ行くのだろう。

また静かになった山頂で休日気分を満喫し、ようやく腰を上げて下山開始。歩き始めてすぐに宮山(みやじやま)への分岐があるが、文字は宮山となっている。
山分岐

次回はそちらへも足を伸ばそうと言いながら、近づいてくる送電線をチェックしながら歩くとまず鉄塔十六番にぶつかる。その後は鉄塔と不即不離でセーメーバンまでの稜線を歩く。多少のアップダウンはあるものの、 落ち葉に気をつければ楽しい散歩。三角点のある平らな広場がセーメーバン(1006m)だ。宮地山分岐からは30分、昭文社では50分となっている。一休みしてからまた歩き始めると、日当たりのよい草地に一輪のニオイ・タチツボ・スミレ。

セーメーバン(晴明盤) ニオイタチツボスミレ

枯葉の積もった道に注意しながらも、ブナや木々の芽吹きを堪能しながら、ここからは記憶を辿りながらサクラ沢峠へ。(所要35分、昭文社では40分)

尾根を下っていく サクラ沢峠

ここで本日2人めの、単独の男性ハイカーに出会うが、我々の後ろから来たらしい。そのまま高丸方面へ歩いて行った。
本当は前回のように、更に直進して稚児落しまで行く予定だったが、時計も13時を回ったし、汗をかいたので早く冷たいビールが飲みたい!という多数派意見に賛成し、ここから降りることにする。 植林の暗い道をぬって降りて行くとあっという間に登山口。

登山口

あとは車道を下って、森屋荘へ。ここでまたタクシーを呼んで、大月駅へ。(迎車料金込みで朝と同額、2780円也)
駅前で乾杯して、久しぶりにベストメンバーが揃い、それだけでも楽しい山行を締めくくった。

*昔は破線のコースでも今はほとんどが実線で、標識も完備の歩きやすいルートながら、木が茂って見晴らしが利かない時などはやはり注意が必要でしょう。しっかり現在地を確認しながら(2本の送電線が良い目印)歩いてください。


戻る 山一覧へ