大蔵山・菅名岳   2004年5月1日夜〜2日

コース:「いずみの里」駐車場5:55〜6:05登山口(分岐)〜『階段コース』「4合目」7:05〜:15〜8:05大蔵山8:15〜9:15菅名岳9:55〜丸山尾根〜10:45椿平11:10〜11:25どっぱら清水11:45〜12:40「いずみの里」


  ブナの新緑を楽しむ新潟の山、大蔵山・菅名岳の山行に参加する。去年の西穂でサブとして参加されていたが、メインとしては本当に数年ぶりのHリーダー。(そういえば前回の参加は会津駒、何と2000年の秋だった。ご無沙汰しています・・・。)

  さて、この山は大変人気のある山らしく、ネットで検索すると沢山ヒットする。中には詳細なコース地図を載せているHPもあり、それらを有難く頂いてきた。

  「いずみの里」を起点とする周回コースが一般的らしい。概略としては、大蔵山へは沢コースと階段コース、菅名岳からは丸山尾根コースを降り、椿平から「どっぱら清水」方面へ沢沿いのルートが分岐している。
  ブナ林が美しく、名水も楽しめるとあって、私も空の1L水筒をザックにいれて、帰りのお土産にと思う。

  夜行バスは座席に余裕もあり、マイクロに比べると随分楽だ。ただ、このバスで登山口まで狭い林道を走ることはできない。何だかいつもと勝手が違う・・・。

  さてパーキングエリアでの仮眠を終え、登山口へ。目印の「いずみの里」(大蔵山登山口)は標識も出ていて分かりやすい。田んぼの間を抜けて行く。さすがに越後は米どころ。
この「いずみの里」は福祉施設で、登山口はその少し先になる。ここに名水「吉清水」があり、道路沿いに給水所が設けてある。ここで水筒を満たせばちょうどよい。そのわずかに先が駐車場。かなり広い。仮設トイレもある。準備をして歩き出す。(5:55)
天気はよいが、強風が吹き荒れている。これで山頂へ行ったらどうなるのか少し心配だ。林道を行くとすぐに分岐になる。(6:05)まずは右へ入って階段コースを行く。沢コースを行っても4合目で合流する。

まだここは野の花という分類のコンロンソウやカキドオシに似た薄紫の花、ムラサキケマン?等が咲き乱れている。緑豊かな山だ。

尾根に取り付くと、だんだん案外みんなのペースもよく、2合目、3合目と順調だ。強風の唸りを除けば出会う人も無く、静かな山歩きである。新緑の山は穏やかな表情を見せている。


<4合目直前:静かな山歩き>

  4合目に着いたのはちょうど1時間後(7:05)。沢コースを合わせる。
この先はブナが沢山現れ、幹が4mという大木も含め、思い思いの形をしたブナが私たちを迎えてくれる。


<美しいブナ林を行く>


登山道には花は少なめだが、チゴユリやホウチャクソウ、エンレイソウも褐色の花を咲かせている。

  大蔵山の山頂が近づくと見通しがきくようになり、隣の稜線越しに雪を頂いた山並みが望めるようになる。あの白い大きな山は・・・。


  今日は結構足並みが揃っているせいか、山頂に着いたのは登り始めてちょうど2時間、コースタイムは普通2時間30分程度のようだから、速いようだ。
大蔵山、864m。(8:05着、8:15発)

  狭いながらも見晴らしのよい山頂で集合写真を撮って、強風に煽られながら稜線通しに菅名岳を目指す。
山頂近くとこの稜線には、イワウチワが沢山咲いている。下のほうはもう花が終わっていたが、見慣れた花とはいえやはり大ぶりで美しい。


<イワウチワ>

  このあたりは少し残雪がある。大蔵山は先週末が山開き、菅名岳は来週末が山開きだという。
稜線沿いに三五郎山(900m)、886m峰などを越えていくが、残雪が多くなり、登山道を埋めている。とはいえ、ザラメ状で、アイゼン不要。


<残雪の稜線を歩く>

菅名岳近くに来ると道端に1輪のカタクリが咲いている。まあ、と思い斜面を覗き込むとそれなりの数が咲いているようだ。少し左に回りこんで最後に少し登ると菅名岳山頂、909m。


<菅名岳山頂>

まだ風が強いが、大蔵山経由でない登山者がちらほら休憩している。
大蔵山からぴったり60分。まだ9:15だが、朝食が5時頃だったから、大休止を兼ねて昼食タイム。時間はたっぷりある。まだ風が強いが、何とかなる程度にはおさまった。
今日はパンとコーヒー・・・と思ったら、何とマイ・カップを忘れてきたことに気づく。それで、300mlのポットの蓋をカップ代わりにコーヒーを飲む。う〜ん、お猪口でコーヒーを飲むような気分だ。

さて、9:55、下山にかかる。丸山尾根を椿平目指して下る。ここが案外急降下で、気分を引き締める。
何だか赤土なのか滑りやすい。足元にばかり注意がいくが、尾根も案外やせていたりする。

それでも見渡すとアカヤシオが咲いている。つぼみも多い。これからの季節はヤシオがたっぷり楽しめそうだ。
椿平は、丸山尾根を離れて『どっぱら清水』経由で「いずみの里」へ戻る分岐になっている。ここはその名の通り、椿が沢山あるが、これはユキツバキだそうだ。(う〜ん、何だかどこかの例会の帰りに、車中のカラオケで聞かされたような・・・♪〜花は越後のユキツバキ〜♪)。

ここでも時間調整?でたっぷり休憩。ブナの樹間から稜線が見える。かなり降りてきたなあ。
さて、寒くなるので動き出す。ここから先は急降下、と思ったらそれはすべて階段になっている。雨の日は要注意。
時間的にちょうど地元のハイカーが登り始めたようで、登りの人と随分すれ違う。「こんにちは。」「どこからですか?」「え、東京?」・・・毎度おなじみのやり取りだ。

すれ違いのたびに、花はないかと辺りをサーチ。特別な花はないが、今度はイワカガミがつぼみをつけ始めている。数輪は少し花のピンク色が見えて、かわいらしい。イワウチワの次はイワカガミ、そしてヤシオツツジ。ブナだけでなく花の山でもある。季節ごとに綺麗でいいなあ・・・。

さて、すれ違いを何度かこなしつつ、降りきるとあとは沢に絡んで緩やかな道に変り、景色が一変する。


<沢沿いに降りていく>

沢沿いには特有の花が多いはず、と目を凝らしながら歩くが、道が平坦になったせいで一気に皆がペースアップ。のんびり花を見ていると前との感覚が開いてしまう。ちょっと待って〜!

木を2、3本渡した橋を何度か渡りながら行くが、待ち時間の僅かな間にキョロキョロ探すと、やっぱりあった、チャルメルソウ。
このユニークな姿は私のお気に入り。小さいし、派手さも何も無いので余り注目されないようだ。


<チャルメルソウ>

図鑑によれば、これはコシノ・チャルメルソウかもしれない。越(=越後)のチャルメル草ということだ。
ミヤマ・カタバミの白い花も沢山咲いている。ゆっくり写真を撮りたいなあと思っていたら、ちょうどどっぱら清水に到着。水汲みタイム。

「どっぱら」=「胴腹」清水、の名の通り、山の斜面に開いた穴から清水が湧き出しているそうだ。
容器を片手に、ザックを置いて少し斜面に向かって登っていく。水量の多い沢を木橋で渡って、さらに急傾斜の滑りやすい道を暫く登らなければならない。
確かにそれは斜面からどうどうと湧き出している。皆が水を汲むので、たちまち行列となる。


<胴腹清水で水を汲む>

この水で仕込んだ『菅名岳』というお酒が有名だという。「寒九(かんく)の水汲み」と言う伝統行事で、1月の寒の入りから9日目に、ここまで雪道を登ってきて水を汲み、お酒を仕込むのだそうだ。
この水は超軟水で、この日に汲むと「一番水が澄んでいる」、「水が腐らない」からだと言う。
今年は400名を越える人が、各自20Lのポリタンクを担いで水汲みに参加し、雪道を往復したという。(帰りに寄った地元の酒屋で「菅名岳」を買ったHリーダーが、わざわざHPの資料にと貰ってきて下さった資料より。お気遣いに感謝。)

ブナの森は緑のダム、と以前聞いたことがある。名水はまさに森のめぐみなのだ。
ただとは言え、合計1.5L汲んだらさすがにザックが重い。

標高はもうだいぶ下がったから、あとは距離だけだろう。危険箇所ももうないので、沢がらみの道に花の気配を感じながら、わき目を振り振り歩くが、ゆっくり近寄ってみる余裕がない。

今度はまたスミレが出てくる。距(スミレの花の尻尾状の部分)が長くて上を向いている天狗スミレことナガハシ(長嘴)スミレだ。この前の山行で覚えたての花。スミレは種類が多く、自信を持って答えられる種類は本当に少ない。


<ナガハシスミレ>

もう目新しい花は無いかな〜と探していると、あ、大きなスミレの花!
何だろう、もしかして幻の○○○スミレ?!・・・これは写真に納めないと。
家に戻って調べたら、これも前回見たはずの、日本海側に咲くスミレサイシンのようだ。


<スミレサイシン>

大柄なのでよく目立つ。写真を撮っているうちに、とうとう林道に出会い、広い砂利道をおしゃべりしながら歩いていく。林道出合いには地元の人が沢山の山菜を取って休憩している。地元に親しまれた生活の山なのかもしれない。

気温も上がってきて、今日のコースを反芻しながら歩いていると朝の分岐に出る。(12:30)
さらに10分で駐車場へ。
驚いたことに、駐車場は満車、何と道路にも車列が続き、狭い道を我々のバスが出られるかどうか危ういほど。

リーダーを始め男性陣が車外に降りて、路肩の枝やポールを押さえたりし、切り替えしをしながらようやく広い道に出る。万一の場合はみんなで路肩の軽を持ち上げて移動しようかと言っていたが、何とか不要で済んだ。
路肩に留めてはいけませんと標識もあるのだが、お構いなしだ。これで40台くらいは留まっているのだろうか・・・。いやはや、驚きの一語。

このあとは村松の「さくらんど温泉」に寄り、入り口の農産物直売を冷やかし、余裕を持って一路東京へ向かう。
GWとはいえ、まだ渋滞にはならず、夜9時前には池袋に到着。
皆さんお疲れ様でした。
Hリーダー、またよろしくお願いします。


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