奈良倉山   2011年11月26日

鶴峠9:00〜9:30林道出合9:35〜10:20奈良倉山10:35〜11:10松姫峠11:15〜11:40寝鶴山12:15〜12:42山沢入りのヌタ〜12:55トチノキの巨木〜13:17分岐〜14:05小菅の湯


そろそろ低山徘徊に移る頃、1348mの奈良倉山から富士山を眺めようと計画してみる。
駐車スペースが心配だったが、ネット情報から、鶴峠のバス停付近に4台ほどという。あとは下山予定の小菅の湯で150台可能ということなので、下山後の入浴を口実にこちらに置かせて貰おうと思い、とにかく車で出かける。
幸い抜けるような青空が広がり、最高の晩秋の一日が約束されたようだ。

最近は八王子辺りから相模湖への大渋滞を避けるため、圏央道経由で行くことが多いが、今日も「あきる野」ICから中央道に合流すれば、スイスイ進み、あっという間に上野原ICへ。あとはほぼ道なりにひたすら鶴峠を目指す。
幸い道は全部舗装で、一部1.5車線程度の個所やカーブが多いことを除けば、私でも不安なく運転できるよい道である。
ぐんぐん高度を上げていくとカーブの先に鶴峠のバス停が見える。(注:ハイキングの時期のみ上野原〜小菅[〜松姫峠]の湯間にハイキング・バスが運転されるが1日2,3本程度なので事前の確認は必須。)

先客が居て駐車場は「定員オーバー」で揉めているようにも見えたので、仕方なく近くの別の場所に停め(ちょっと怪しい場所だったので、本当に停めてよいかやや不安だった)、予定通りのコースで歩くことにする。広い道だし、見通しも良いのでまあ大丈夫だろう・・・。
バス停の脇から歩き出す。

鶴峠バス停脇が登山口

鶴峠の反対側は三頭山へのコースでもあり、登り始めればすぐに林道に出て、振り返れば三頭山が綺麗に見える。

三頭山(みとうさん) 「シモバシラの花」

ここから三頭山へ登った時のM子リーダーとの思い出を胸に、歩けることの幸せを感謝しながら急登をゆっくり進む。どうやらもう誰も来ないので山頂までは貸し切りのようだ。静かな山を踏みしめて歩く。

日陰になるとぐっと冷え込み、見れば大きな霜柱が地面を持ちあげている。
もしや、と探しながら歩くと「シモバシラの花」が。見事な造形だ。これは枯れた草の茎の中の水分が凍結してできるもので、本当の「シモバシラ」以外の植物でも同じ現象が見られ、それらを「シモバシラの花」と総称する。冬の朝の楽しみの1つだ。 もう9時を過ぎているのにこの寒さ、枯葉の中であちこちに見らるのは面白い。
また、この山は小菅村が良く手入れしているので標識も新しくしっかりしているのは有難い。

真新しい標識

静かすぎる山道をもうひと頑張りで山頂に回り込む。一見何もない広場だが、僅かに進んだ左手に展望が開け、見事な富士山が現れた。

奈良倉山山頂

年賀状にぴったりの姿にしばし見とれる。それからまたコースに戻るとわずかで林道に出、ここからはのびやかな展望の中、カラマツの林の中を歩く気持ちの良い道となる。
もうカラマツは落ちているが、僅かに残った黄色が日の光に透けて美しい。山道であることを忘れて歩いていると、駐車場とトイレのある松姫峠に出る。バイクが沢山。

松姫峠へ

ここから奈良倉山にピストンする人も多いだろう。トイレを借りて、今度は寝鶴山を目指してまた歩き出す。すっかり葉を落とした右手の木々の間から雲取山などの峰々が良く見える。また左手には富士山が顔を出しているが少し雲がかかってきたようだ。
日差しは暖かいが風は冷たい。山頂に着くと先客が数名。富士山に挨拶してから、陽だまりにシートを広げてお昼。

日が短い季節なので早めに切り上げ、また歩き出すと風が切るように冷たく感じる。思わず頬をさすりながら歩いて行くと巨木が目につくようになる。村でもPRしているようで、なるほどブナやミズナラの巨木が見事だ。

鶴寝山からの展望巨木の森へようこそ。

カメラの画面からはみ出してしまい、とても全容は写せない。また、1本はロープで囲んで保護してあるのは素晴らしいことだと思う。
まだ午後になったばかりなのに、木にも私たちにも長〜い影が延びている。写真を撮りながら枯葉をガサガサ踏みしめて進んでいくと分岐「山沢入りのヌタ」に出る。ここからトチの巨木を経て沢沿いに小菅の湯を目指すことになる。

どれがトチの巨木かな、と探しながら北斜面に入ると、細い道幅でホオなどの枯葉が降り積もってちょっと気になる道が続く。
熊よけの鈴が不要なほど大きな音を立てながら暫く歩いて行くと、どうやらそれらしき巨木が正面に見えてくる。あれかな、と思いつつ近づくと、その大きさに圧倒される。
幹周り7.25m、樹齢600年とも言う巨木である。余りの大きさに、人を一緒に入れないと写真ではその感覚が掴めないだろう。

これこそ真の「巨木」枯葉の散り敷くルート

これは本当に見る価値がある。それにしても、木は本当に永生きだなあ・・・。

さて、先を急ぐので更に進むが、ここからは一層急な坂が続き、足元が枯れ葉で全く見えないこともあり、本当に怖い。
更には凍結している個所や隠れた石に、気が抜けない。慎重に摺り足で進む様はまさに「枯葉のラッセル」。 お互いに声を掛けながら慎重に、慎重に。

何だかちょっと寂しい道を進む。分岐を経て急降下が続くうちに沢沿いのワサビ田に出る。 清流を縫うように短い木の橋を何度も渡りながら降りて行くが、橋も濡れ、道も濡れた石だらけで歩きにくい。初心者には厳しいコースだろう。

堰堤を過ぎて舗装道路になってからもワサビ田は続くが、全く人気がない。ワサビは田からはみ出して、斜面にも広がっている。
そろそろバスの時間が気になり始め、少しスピードアップして歩くが、似たような景色が暫く続き、時間が読めない。
ようやく辺りが開けてきて家々が見えてくると、右に登って、「小菅の湯」が見え、ほっとする。

ここは人も多く、車の沢山停めてある。鶴峠に戻るには1回100円の村営バスが14:28、上野原に戻る富士急のバスが15:20と16:30にある。
時間があるのでトイレを借り、ベンチに座ってバスを待つ。

寝鶴山は、小菅の湯への下りが相当に気を遣う。しかし、巨木の森は素晴らしく、また春先も花が良さそうだ。
松姫峠は駐車場はそこそこ広く、ここから軽く往復というのも悪くない。
鶴寝山にはニリンソウの群落もあるそうで、また訪れたい山だった。

(小菅村のパンフレット「登山ガイド」とチラシ(観光協会HPの「ガイドマップ1,2」と同じ)はとても参考になる。小菅の湯にも置いてあったが、富士急のバスの車内でも手に入るとか。)


大きな画像はブログでどうぞ。


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