瑞牆山  2003年6月1日

瑞牆山荘10:20---11:05富士見平小屋---11:35天鳥川12:00---13:35瑞牆山13:50---15:20不動滝---16:50芝生広場


直前まで台風崩れの低気圧で強い雨が降ったが、深夜には上がり、朝になれば空模様もまずまずで、ほっとする。
今日は私にとっては因縁のある瑞牆山。言わずと知れた百名山である。

PCを買ったばかりの時、これは便利と列車乗り継ぎソフトを使ったら、春の時刻改編で目指す列車に間に合わず、途中で諦めて、大月から1人で引き返すという苦い経験がある。

何となく相性が悪いのかなあ、と天候も気になったが、見るからに岩山で、今度は滑るといやだなあと不安が先立つ山行となった。

さて順調にバスは進み、瑞牆山荘前で下車。準備体操の後に出発する。今日は21名。
今日はコースタイムも6時間と結構長丁場。今週は体調が今ひとつだっただけに足の不安もあって、何となく気が乗らない。
しかし、最後尾を気侭に歩きながら、雨上がりで一層緑の美しい樹林を進むと、気持ちも軽くなってくる。

富士見平小屋の前で左へ折れ、だんだん山深く入っていく。
空はそこそこ明るいものの、湿度が高く、靄の中を進む。ほぼ等高線沿いの道は歩き易い。途中で小川山への分岐を見送る。


小川山への分岐

そのうちに高度が下がったなと思うと天鳥川出合。ここを渡渉ということになる。ロープが張ってあるが、私は水深も浅いので飛び石伝いに右手を渡る。


天鳥川の渡渉地点

この先がいよいよ急登ということと、時間的な理由から渡ったところで昼食となる。といっても今日は長丁場、出発も遅いので20分の大休止。
食べていると雨が落ちてきた。合羽を着るか迷うところ。着る人5割、かな。私は見合わせる。
丁度12時に出発。早速木のハシゴ、大岩の間を縫って登っていく。


瑞牆山への登り

等高線の間隔も狭い訳だ。この先90分ほどはきつい登りと覚悟する。
しかし、所々にシャクナゲの濃いピンクの蕾と、ピンクの花が顔を覗かせ、生憎の天気の中、汗をかいて登る私たちを慰めてくれる。


咲き始めたシャクナゲ

花崗岩ということで思ったよりは滑りにくく、また滑っても崖の下へサヨウナラという箇所はなく、ちょっと安心。
振り返るとちょっといい感じの光景も。


靄と小雨の山歩き

急登の連続だが列の最後尾にいることもあって、待ち時間が格好の休憩となり、案外調子も出てきて、今日は大丈夫かなとほっとする。

待ち時間に花を探すが今日は珍しい花、初めての花は余り見当たらない。
傾斜も上がり、何度かハシゴやロープの箇所を過ぎて、見上げると巨岩の間に空が開けてきて、ああ、もうすぐ頂上だなと思える地点で急に雨脚が強くなる。
ここで諦めて上だけ合羽を着ることに。フードをかぶると視界も妨げられる。
標高はだいぶ上がって2000mを越えても今日は寒くない。もうすぐ、と思えば雨も気にならない。時々タケシマランを見つけて嬉しくなった。
図鑑とそっくりじゃん!という感じ。今日はお花の先生はいないので、尋ねようがない。

両手両足を使う登りから解放されたかな、という所で黒森方面への分岐を経て最後の滑る丸太のハシゴを登ると、ようやく瑞牆山のピークに出る。
今日はガスと雨で岩に登っても何にも見えない。見えないから高度感もなく、怖さも全くないが、ふと見ると絶壁になっていて、おっとっと、という感じだ。

小休止の後、参加者の大半が初めて、という不動滝コースへと下山する。
丸太の梯子を慎重に降りると分岐を右に折れ、樹林帯の中を降りていく。
足元はうって変わってフカフカだが急降下、雨の中要注意だ。


急降下、スリップ注意。

時々視界が開けると、壁のような巨岩の基部を歩いていることに気付く。いろいろ名前もついているが、ガスと雨の中、すぐにはイメージが湧かない。
下の方から水音がしてくるので不動滝は近い、と思わせるがなかなか姿を現さない。

そのうちにまたちょっとした渡渉がある。丸太を数本渡してあるものの、苔むし、朽ちた部分もあってとても渡れない。
前を歩く男性はちょっとおっかなびっくり、ストックをつきつつ慎重に渡っているが、安定した岩を選んで多少靴が濡れても水が中まで入る訳でもなし、足場を確かめてさっさと渡れば、なんでもない。
そんなことを考えているうちに水音も大きくなって、やっと不動滝へ。
確かに豪快に流れ落ちている滝は見事。


不動滝

足元を見るとかわいいツバメオモトが咲いている。


ツバメオモト

小休止のあとまた歩き出す。迷うような箇所はないし、テープもしっかりついているが、このコースを取る人は圧倒的に少ないようだ。

しかし、今日は久しぶりに山道らしい山道を歩いている気がする。
この後も何度が渡渉があり、また何箇所もの大きな段差に丸太橋が渡してあるが、いずれも朽ち果てていて使いたくない。
こんな日はスリップ多発の典型的な状況。注意一秒怪我一生、絶対に怪我をしたくないので私は足場を選んでゆっくり降りる。
前後で時々男性が派手に転んでいるので、余計に慎重になる。

このルートはツバメオモトがたくさん咲いていて実に嬉しい。ミヤマカタバミ?の白い花もうつむき加減につつましい。
バイカオウレンも咲いている。

だんだん緩やかな道になってくるが、木の根も滑るし、岩も滑る。
とうとう、どうしても上を渡らなければ進めない丸太橋では、M子リーダーが先に渡って、向こう側から手を伸ばして助けている。私も遠慮なく腕を伸ばして無事に渡り終える。

こんな日は本当にリーダーは気を使うはず。全員が渡り終えるまで気が抜けないだろうな。ご苦労様です。
そろそろ林道も近いかな?という道になるとやっとほっとする。つづら折を歩きながらみんなの話声も聞こえてくる。
とうとう一気に道が広くなって、林道だろうな、という地点まで出た。


林道歩き

しかし、道もまっすぐになってきたとはいえ、周囲は林、静かな散歩道を楽しむという風情だ。
ふと道端に目をやると、なんとベニバナイチヤクソウが咲いているではないか。


ベニバナイチヤクソウ

ちょっとびっくり。しかし、この林道が長いはず、と覚悟を決めると、何と真新しい立派な舗装道路に変わってしまう。
更に天気も回復し、白樺林まで見えて、一瞬「ここはどこ?今は夏休み??」と疲れた頭が混乱しそうな光景だ。


立派な舗装道路に変る

さてさて、これはイヤだなあと思っていると急に視界が開けて立派な広場につながった。後で聞くと、ここは最近「植樹祭」の会場となった『芝生広場』らしい。
目の前にいきなり瑞牆山が立派な姿を現してまたまたびっくり。


急に現れる瑞牆山

ツツジのオレンジが見事だ。どうやらここにバスが待っているらしい。
長時間の舗装道路歩きを覚悟した直後なので嬉しい。綺麗なトイレ舎もあるようだ。
それにしても駐車場の広いこと広いこと。

私の地図が古い('98版)からかこの広場は載っておらず、林道出合から黒森地区まで90分の歩きと思ったら、随分短縮されたことになる。

それにしてもようやく全体像を見せてくれた瑞牆山、独特の風貌といい、やはり素晴らしい。
登っても、見ても、いい山だとつくづく思う。 今日は登りも下りも山らしい山道で歩き甲斐があった。2230mの山、標高差も結構ある。時間も正味6時間は歩いたし、雨の中滑る道を怪我も無く下山できて満足度も十分。
懸案の山に無事登れて嬉しい1日となった。


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