三ツ岩岳・窓明山   2005年9月9日夜〜10日

コース:
三ツ岩岳・尾根コース(国体コース)4:50〜6:32新道合流6:45〜8:47避難小屋〜9:57三ツ岩10:10岳〜10:47避難小屋11:10〜12:23窓明山12:35〜13:30家向山直下13:40〜13:57家向山分岐〜14:45巽沢山(標識無し)14:57〜15:37保太橋


今回は会津の寂峰めぐり。おまけにやや健脚向けとあって、久しぶりの長時間にちょっと緊張気味。
いつものマイクロバスでは疲れているのに眠れない。眠れないままに登山口へ。バスはまだ真っ暗な中、駐車する。
外は何と満天の星。オリオンが山の端にかかろうとしている。煌々と輝くのは火星か木星か?

懐中電灯をつけて登る予定だが、4:30をまわるとうっすらと空が白み始め、4:50、歩き出す。


登山口
問い合わせたところ、沢コースは橋が使えない等と旧道合流点近くにスズメバチが巣を作っているということで、尾根コース(旧道=福島国体で整備されたコース)を行くことになる。
一応足元が暗いので懐電をつけて歩き始める。殆どの人は沢コース(新道)を行くらしいので、何か珍しい花を期待する。
今回は「やや健」かつコースタイムの単純合計が8:30程度ということで男性が多く、いつもとは顔ぶれがちょっと違う。でもGさん、Hさんら北海道組の方々と再会できたのは嬉しい。
歩き始めると足元はふかふか。道もよく整備されている。途中で地下足袋姿の男性に追い越される。何と登山道整備のため、倒木を切りにいくとか。有難いことだ。

ミヤマウズラ
リーダーが早速珍しい花を発見。うまく撮れなかったが、初めて見るミヤマウズラ。ランの一種。図鑑で見たシュスランかと思ったが、ぼってりした花がかわいらしい。
数株ずつあちこちに咲いている。

道はずっと稜線を行く。案外急で、まだ眠ったままの体には結構応えるものの、まだ日も昇ったばかりの涼しさに大分助けられる。

一気の登りが延々続き、いつもよりペースもやや速いし休憩までの間隔も長く感じるのはちょっと辛い。
でも周囲の自然林は静かに見守っていてくれる。ようやく地形図のように傾斜が緩んで大体の位置が分かってくると、時間も読めるようになり、コースタイムとの比較であと2時間頑張れば今日は大丈夫歩きとおせるだろうと予測する。

入る人はかなり少ないルートゆえか、花の時期は終わっているものの、初めからイワウチワの大群、その後はツバメオモトが大きな青&紺の実をたわわにつけて目を楽しませてくれる。
さらにはマイヅルソウにゴゼンタチバナの赤い実がかわいい。時期には素晴らしい花の絨毯だろう。ただ、会津駒のように、かなり蒸し暑いだろうからこの急登は相当に厳しいだろう。

1308mのピークを過ぎると楽しい散歩気分で、ブナの林を眺める余裕も出てくる。案外早く?新道との合流点に至る。立派な標識が埋め込んであり、オネコースは2.2km、新道は2.7kmとある。
休憩をしたらまた登りだすが、緩むことの無い一気の登りがまた延々と続くため、ちょっとした耐久レースのようでもある。
私も今回は水をしっかり持っているしザックにも久しぶりにフル装備がつめてあるのでそれなりにズッシリ重い。きっとみんなも結構キツイだろうな、と思っているとやはり荒い息遣いが聞こえたり、立ち止まって一呼吸している方、振り返ると間が大分空いていたり、と辛そうな様子がはっきり分かる。
その割には何とか歩けていることが素直に有難いと思える。

地図を見ながら後どのくらいかな、2時間辛抱すれば小屋につくはず、もう1ピッチ、などと思っているとサブ代わりのIさんがリタイヤ。それにつられたように頑張っていたHさんも一緒にリタイア。Iリーダーが残念がる。

みんなもザックを降ろして休憩。ようやく周囲にゆっくり目を向けると、もう実をつけている(ホソバノ?)キソチドリが数本。もう花は終わり、痕跡ばかり。でも、急に林相が変わってオオシラビソ(アオモリトドマツ)にかわって、時折振り返ると展望も得られるようになる。

ツルニンジン
オヤマリンドウが咲いている。それからジイソブ(ツルニンジン)が出てきて、こんな高いところには珍しいね、いつもは林道で見つけるのにと話す。(ジイソブからバアソブかな、と話に出るが、後で確認すると時期的にはバアソブが先で、葉の裏に少し毛が多いとか。これはジイソブでOKのよう。)

日が昇って暑くなってきて、水を結構飲む。急登が終わったかな?というあたりで急に楽になり、湿原も近いかなとリーダーが時間を読んでいるが、意外とすぐに小さな池塘に出て、夏の花の痕跡を確認する。
小さな池塘から20分で避難小屋、と記録にあるなとの声に元気100倍、歩き出すとあれ?という間に避難小屋の屋根が見え、数分で到着。恐らくは水が干上がってしまって記録の元にした池塘とは違うのだろう。
しっかりした小屋で、目の前には水場もあり、冷たくて美味しいという。水をしっかり詰め替えて飲んでいる。水量もそこそこあって、これは泊まるには助かるはず。
チェーンソーの音がするのは、朝追い抜いていったあの人がお仕事をしているのだろう。


避難小屋手前の湿原
ここで待っているという1人を残し、三ツ岩岳頂上を目指す。ところが、40分のはずが相当の泥濘と入り組んだツルツルの木の根に足をとられて随分と時間がかかる。でも、何箇所も木を切ったばかりの箇所があり、あの人は仕事が速いね!と感心。切っている現場では証拠写真を見せてもらう。(切る前、切った後を写すそうだ。)
この山は並びの会津駒などに比べれば○○名山でもなく、来る人はぐっと少ない。それをこれだけ手をかけて貰えるのは有難い。

所々に湿原とその痕跡があり、実を付けたコバイケイソウが立ち枯れしている。オヤマリンドウのほかはアキノキリンソウなどが咲いているが、やけに大きなシオガマが咲いている。これはオニシオガマらしい。

綺麗な花としてはイワショウブも沢山あり、真っ赤な蕾も白い花と同じくらいかわいらしい。
木道がある箇所もあるが、これが急傾斜で滑りそうで怖い。


山頂直前のお花畑
疲れもあって、そろそろ着くかなと尋ねられたので、地元のHPの情報では小屋から40分とありますよ、と言うが、なかなか着かない。ようやくそれらしきピークが目に入ってほっとするが、何とまだまだ。17名なのに1時間近くかかってしまう。

地図の傾斜よりきついんじゃないの?と文句を言いながらもやっと本当のピークが目に入る。
すぐ手前はお花畑になっており、展望もよく秋の実りのブルーベリーや木苺などをお味見している。リンドウが沢山咲いている。(タテヤマリンドウ??)


これが「三ツ岩」

山頂は本当に小さなスペースしかない。記念撮影をして、また避難小屋へ戻る。ここから見ると名前の由来となっている3つの岩の姿がとてもよく分かる。
また、やや離れた位置にこれから向かうはずの窓明山も見える。ちょっとガスってきているので、遠望は余り利かない。それでも下りとあって、気分は違う。

でも、足元がおぼつかない方もあり、湿原の木道で目の前の女性が見事にスッテン!お〜コワ!さっきも滑って転んでおられたのでもう2回目。(そういえば、その後小屋前でも・・・。これで少なくとも3回見事にスッテンと転ばれたので何というか、ただびっくり。)

さて、私も慎重に降りて、小屋で昼食。待っていたTさんによれば、冷えてきたので雨具を着ていたとか。じっとしていると寒いらしいが、日に照らされて汗をかいた体には日陰は心地よい。
今日の本当の目的は窓明山。そういう通好みの山が好きな人が20人近くいるところがこの会の特徴の1つかもしれない。本当に山好きな人(と本当に毎週登っている方)が集まっているということか。


三ツ岩岳を望む
さて、小屋から歩き始めると、まず滑りやすい岩の下りに悩まされる。これまた歩く人の少なさか、岩も木の根もツルツル。目の前の展望を見ている余裕がない。

が、右手に珍しい花。チョウジギクとか。面白い形の花だ。今日は初めての花が沢山で嬉しい。
小屋から窓明山まで70分とあるが、一度下ってまた登り返す。面白いことに、三ツ岩岳から窓明山に向かう途中で道の感じが全く代わり、日当たりがいいせいか、展望のよい歩きやすい道となる。ただし、崖のようになっているのでやや注意が必要だが。


チョウジギク

展望を楽しみながらふかふかの道を歩いている内に、余り苦もなく窓明山に向かって登っていく。
湿地があるがガイドブックにもあるように、木道が整備されておらず、直接泥濘を歩くことになる。モウセンゴケがかわいらしい。

荒れてしまわないように、早く整備されることを祈りたい。
ここまで来ると、本当に静かだ。三ツ岩岳からここまで来て、また戻るひとは在るようだが、周回コースで降りる人は殆どいない様子。
山頂のすぐ手前に分岐があり標識がある。山頂へまず向かい、ここまで戻ってから稜線を降りて行くことになる。

振り返ると三ツ岩岳が大きい。山頂あたりはちょっとガスがかかってきている。お天気が崩れるのだろうか。


山頂手前の湿地


下山路となる稜線
窓明山まで来られた満足感を胸に、家向山経由で保太橋へ降りることになる。

家向山へは一度100mほどを登り返すようだが、あとは大体下っているようだ。コースタイムでは、家向山まで90分、その後は巽沢山までと、そこから登山口までがそれぞれ30分となっている。

歩く人は決して多くないはずだが、ルートはしっかりしていて、しかもふかふかで実に気分が良い。ただ、大分疲れが出始める時間帯でもあり、注意しておりていく。
だんだん樹林帯に入り、風がなくなるので蒸し暑く感じ出す。

後ろを歩いている男性が、今日は長いなあ、膝が笑っているよ、とこぼしている。誰にとっても今日は長いはず。その割には私も頑張って歩いている。

家向山の登りに入る前に小休止。この登り返しがきつかったという記録があるというが、100mもないはずだから・・・と言ったものの、いざ登り始めるとなるほど大変な急登であり、足が攣りそうだ。


今日の山は、登りが容赦なく、一気に登らされてばかり。確かにこれだけ歩いた後ではきつく感じる。

それでも20分とかからず上りきってあとは下るのみ。
これで早ければあと1時間と少しかな。

途中で見事なキノコが生えているが、毒キノコらしい。
山はもう秋、キノコが目立つ。

ミヤマウズラそっくりの花で茎が殆ど伸びていない花があるが、これが(アケボノ)シュスランかもしれない。でも、もうゆっくり眺めたり写したりの時間がないのは残念。

だんだん暗くなってくるし、疲れもたまって転ぶ人やふらつく人が目立つようになる。

今日は自然の林がとても綺麗だ。大きな木も目立つ。森林浴という感じの道である。

巽沢山らしき箇所で休憩するものの、標識がない。地形から見て多分ここだろうと思われるが、40分以上かかっている。となると、15時前の下山は無理のようだ。
真っ白い見事なキノコが生えているが、これは図鑑で見た猛毒のキノコにそっくり。クワバラクワバラ。

さて、あと少し、というところでにわかに雲行きが怪しくなり、何と雷鳴まで聞こえてくるではないか。

慌てて足を速めるものの、とうとうポツポツ落ちてくる。
合羽というほどでもないと、ザックカバー+傘で凌げるところまで進む。
ルートは木で土留めをした一気の下りがこれまたず〜っと伸びている。滑ると怖いなあ、と思いつつも、雷もイヤだし、とにかく早く、早く、と気ばかり焦る。

みんなの足取りも一気に加速、そのうちに先頭から声が聞こえてきて、道路が見えたという。
ああ、もうすぐだ。・・・雨も激しくなる前に、何とか保太橋へ下山完了。

行動時間で10時間弱。よく歩いた一日だった。

ご一緒した皆様へ


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