久しぶりの京都一人旅  2003年2月


 様々な想いを胸に、とにかくも一人になりたくて、旅に出た。
行き先は旧知の街、京都。修学旅行で2回、その後も大学時代に1、2回、更にその後も定期的に 数回通った。時期は大半が3月。仕事柄、生徒の受験が終わり一息つけるのはこの時期だから。
という訳で女1人で行けるところはほぼ行き尽くしている。それに、好きな場所も決まっていて勝手知ったるわが街になりつつある。

 久しぶりの旅行だから、とボストンバッグを引っ張り出して荷造りをしてみたが、結局お召し変えするほどの こともなし、で気が付いたらバックパック1つに全て収まってしまった。 それも山用ではなくタウン用の小ぶりのものに。背負うと何と軽いこと!

 さて、ほぼ5〜6年ぶりの京都へは諸事情から夜行バス。都内某所より京都へ向けて深夜出発。
これが何とWデッカーで、最前列だったらまあ揺れたこと!とても眠れなかった。以前の私鉄夜行バスは もっと乗り心地よかったけどなあ・・・。
 バスは中央道から名神へ抜ける。耳栓をしていたら途中で猛烈に耳が痛くなった。甲斐駒や木曽駒 の前を通る訳だから標高のせいか。昼間なら山が見えるのになあ・・・。
 まあ、安いしリクライニングなので、余り文句は言えない。7時頃到着。晴天。

 ・・・という訳でロッカーに預けるほどでもないと、初日は荷物を背負ったまま歩き始める。
朝食はイノダの本店で「京の朝食」1000円也。朝7時から開いているのは嬉しい。
それから路線図を見て、河原町三条からバスに乗る。行き先は上賀茂神社。本日の観光第1号。
ここはいつ行っても清清しい。古いお札とお守りを返して、新しいものを求める。
ここでお決まりのおみくじ。
第二十三番 吉。
「軒のはの嵐の風はさわげども 春を覚ゆる家の内かな」

そのあとは大徳寺。今回は特別公開の聚光院。襖絵が見事。
循環バスに乗って西陣界隈へ。この時期の定番、"京の冬の旅"の「ウォーキング西陣」コース、5500円に参加。
京都の町家の見学や、高級料亭での昼食、今では有名となった安倍晴明ゆかりの神社、老舗和菓子屋での接待などが含まれる。
お目当てはこのコースの「天喜」の昼食。ここは1度入ったことがあるが、お昼でないととても入れない。

 しかして扉の奥のそのまた奥の間に通された。嬉しいことに相席ではなく小部屋に1人だった。 勿論、美味しい。

仲居さんがしずしずと運んできてくれる。窓ごしの坪庭を眺めながら、静かな時間が流れる。

お料理はこんな感じ。実際にはお重は三段重ねで出てくる。

 満腹になったあとは、自分で勝手に回ればいいので、別の神社へ寄って、それから「近為」で漬物を買って、 西陣を少し歩いて(西陣織会館で着物ショーをやっていた。) 最後に鶴屋吉信で和菓子。
2階へ上がると喫茶になっている。頼むとなんとカウンターで目の前で和菓子を作って出してくれる。お抹茶もついて、 通常料金は800円だそうだ。これは一見の価値あり。勿論、味も。

 これだけ食べると流石に苦しい。それに夜行明けで荷物を背負って、そろそろ疲れもピークに達してきたので、 今日は早仕舞いとする。
 3時過ぎにホテルにチェックイン。お部屋はツインにしてくれた。半額で泊っているのだが、一流ホテルとあってサービスも抜群。
知人からメッセージも届いていた。早速お風呂に入って少し眠る。
・・・目が醒めると7時前。これから外出するのも面倒なので、ホテルの中で軽い夕食。

 翌日もよい天気。隣室のバス・シャワーの音で夜中に起こされ、早朝も起こされ、かなり寝不足だが、頑張って出かける事にする。
朝食はホテルでコンチネンタル。お値段も控えめで好感度高し。
さて、今日はどこへ行こうかな・・・。

まずは相国寺とする。行ったことあったっけ?・・・同志社の隣の大きなお寺。ここも特別拝観をやっている。障壁画も狩野派で、 蟠龍図(鳴き龍)がなかなかいい。何とこの図柄でマウスパッドがあったので購入。(とても使いやすい。800円也。お奨めです。)
次にぐるっと循環バスに乗って祇園で下車。八坂神社から清水方面へ歩く。
八坂神社のおみくじは、凶。早速お返ししておく。まあ、そんな時もあるでしょう。

高台寺への道を適当に辿る。このあたりはどこを行っても雰囲気が独特。料亭も多く、日本家屋という言葉の似合う街並みが続く。
そのうちに三年坂、二年坂と普通の逆コースをとって清水寺前。

お寺はパスして、朝日堂へ。ここは陶器が素晴らしい。いつも寄り道、時を忘れて目の保養。
それから茶碗坂を降りる。ここにも実は行きつけの陶器店がある。
それからお昼に予約してある京麩京ゆばの「半兵衛」へ。結局ここまで全部歩いた。
特にいろいろなお麩を様々な調理法で出してくれる。これでおなか一杯。

 さて、もう2時過ぎ、どうしよう。・・・で青蓮院へ行くことにする。東山三条から歩いてみるが、結局 遠回りしてしまい、知恩院まで戻る。
 大きなお寺で、襖絵も庭園も素晴らしい。ここでもおみくじあり。勿論、引きます。
第五十五番 吉。
 雲晴れて着きふたたび明らかなり。・・・花開いて再び重栄、とある。

見終わってもう4時過ぎ。大好きな都路里の抹茶パフェを食べたいと思うが、相変わらず階段の下まで並んで いるのを横目に通過する。またのお楽しみにしよう。

それから一応新京極と寺町通りを歩いて、何だかおなかも一杯なので、デパ地下でテイクアウトして夕食とする。朝も軽い方がいいのでパンを買う。何だか非常に安上がり。

 ホテルに帰ってゆっくり部屋で食事。テレビを見ていると電話が。明日会う旧友から。まだ会社に居ると言う。
会うのは20数年ぶり。話がはずむ。明日の待ち合わせを確認しておく。そのあとテレビを見て、今日買った大量のお土産と、荷物の整理。

 今日も晴れ。チェックアウトして、東寺へ。今は武蔵で人気の観智院へ。ここには武蔵の襖絵がある。それも好きだが、ここの仏像も好きだ。特に動物に乗った仏様が五体、 手塚治虫の火の鳥のモデルにもなったガルーダ(かるら)もある。
果たして観光バスの一団と遭遇。今回は初めて見る茶室もあった。前にきた時は奥にあったので見落としたようだ。
隠し階段?まであって、なかなか面白い茶室だ。南天の床柱や沢庵和尚の書いたお軸もある。これらは解説を聞かないと分からないだろう。
"京の冬の旅"の特別拝観では、拝観料は600円とちと高いが、ガイドさんがつく。大学生だったりご老体だったりするが、 やっぱり説明があるとよく分かる。

 それから京都駅へ戻る。私の大好きな某映画のラストシーンの舞台だ。 新しい建物(駅ビル)になって初めての京都なので、中を探検。

特に空中通路?は歩きたいと思って、天井を見上げてどこから入るのか目星をつける。
ここが古都京都でなければ、斬新で面白いビルである。

期待の通路からは市街が見渡せる。構内を見下ろそうとすると殆どが目隠しされていて、ちょっと残念。
でもちょっと異次元の世界にいるような錯覚を覚える。

 中を十分楽しんでから神戸へ向かう。待ち合わせは13:30。新快速に乗って、初めての景色を楽しむ。
30分ほどすると携帯に着信あり。見慣れぬ番号に一瞬迷う。
一度切れてからあ、と思い、あわてて手帳で確認すると、Y君だ。幸いすぐ後にまた鳴った。
「どこまで来た?」「ちょうど大阪。」「阪急じゃなくてJRだね。了解。」
初日のコールといい、待ち合わせの確認といい、まめなこと!
京都在住のN先輩とも合流の予定だが、(勿論)連絡はない。関西の人はみんな親切なのかしら?関東人は冷たいのかな??
ともかくもその気遣いに感激。
さて、20数年ぶりの再会、顔がわかるかなあとちょっと心配するが、全然変わらない顔をすぐにみつけて、ほっとする。
N先輩を待つ間にも話がはずんで、何と先輩から携帯に連絡があったのも気づかず、あちらから探しに来てもらった。(この3人は高校の写真部OB。)
さて、地元のY君の案内で神戸めぐり。バスに乗って異人館へ。

これが風見鶏の館。急な斜面の間を石畳の坂が網の目のように走り、その間に数々の洋館が立ち並ぶ。
循環バスの時間を気にしながら港へいったり中華街に寄ったり。
彼のお奨めの老祥記という店に並んで名物の「豚まん」を食べる。
う〜ん、並んだ甲斐があるお味。(小さ目の肉まんが3つで240円。)
車を出してもらって、「どこへ行こうか。明石大橋でも見る?」に、思わず「六甲へ行ってみたい。」

「昔車の側面をこすって、修理代が20万になったんだけどね〜。」と笑いながらも快諾してくれた。
助手席のN先輩がナビゲーター。確かに車に弱いと酔いそうなカーブの連続だが、景色がよい。展望がいいというので"ビーナスブリッジ"へ行ってみる。歩道橋「ビーナスブリッジ」がある。 風景の美しいデートスポットとして知られているらしい。

「かみさんとのデート以来だなあ。20年ぶりかな、ここも。」
ちょっとした歩道橋のような小径だが、何だか手すりにごちゃごちゃくっついている。?と思ってよく見ると、これが全部南京錠。マジックで恋人同士の名前が書かれているようだ。絵馬みたいに使われている。 な〜るほどね。
「こんな鍵をつけたって、ダメになるときはダメになっちゃうのにねえ!」と漏らすと、すかさずY君が「そう思うでしょ?それが"中年"なんだって。」と笑う。
とにかくここで記念撮影。"疑惑の?!"2ショットを2枚+男性陣の2ショット。
「コレを撮っておかないとあとからマズイからねえ。」と笑う。

そのあとも山中をドライブ。道の左右にハイキングルートが走っているのが見える。良く整備されているようだ。陽だまりハイクにはもってこいの手ごろな山だなあ、と発想はついつい"山モード"になってしまう。
六甲も縦走するとそれなりの山と聞いているが、確かに展望もよく、アクセスもよくてとても気に入った。 いずれ登りに来ることだろう。

「いいねえ、六甲は。山の中っていいねえ。」と言うと「え〜、こんなのただ木の間を走っているだけじゃん。何にも見えないけど、これがいいの?」
「うん、あっちこっちにルートが交差しているし、木も植林だけじゃなくていろいろあるよ。 歩いたら気持ちいいだろうな〜って見てるの。」
「へ〜。こんなところを走るだけで喜んでくれる人も珍しいね!」
・・・そうかも。山が染み付いているのね・・・。

 運転中も中学(彼とは中学も同じ。)高校の友だちの名前が飛び交って、大いに盛り上がる。懐かしいね、という言葉が何回飛び出しただろう。
その後は明石へ寄ってタコをたべ、私の夜行バスが出る駅までわざわざ戻って、更には発車するまで見送ってくれた。
なんだかこんなに親切にされたことってなかったかも。

 彼の息子もピアノを習っているという。仕事が忙しくて家族旅行もままならない、というのに、私のために時間をとらせて悪かったなあ。
帰りのバスはもう少し眠れた。朝になって東京に降り立つと、駅にはザックを背負った中年集団が。
そうか、今日は日曜日、みんな日帰りハイクなんだろうな。
とにかくも東京に戻った時はすっかりリフレッシュしていた。
神社にも一杯いったし、お賽銭も弾んだし、お札やお守りも一杯。きっとご利益があるでしょう。

さて、クイズです。
次の神社はどこでしょう。

★その1★ ★その2★ ★その3★

これが全部分かる人は京都でも少ないかも・・・。その2が難物でしょう。
それに、お参りに行くにもちゃんと理由もあります。

ヒント:その1・・・陰陽師で有名な神社。西陣にあります。
その2:超カルト?な神社。オフィシャルHPは こちら
その3:山が趣味の人にもご利益大!オフィシャルHPは こちら


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