倉沢山・塩水山  2002年6月15日

塩平〜自然観察路〜乙女高原〜倉沢山〜塩水山〜乙女高原〜塩平


 未明まで雷鳴が轟いていて寝付けなかったが、2週間ぶりの山は乙女高原から歩く山。地図では車道が乙女高原までのびているので、つい甘く考えてしまうが、なんと塩平から歩いて往復のルート、5.5時間と聞いて真っ青。まずは乙女高原まで何とか頑張ってみよう…。

 雨は止み、、勝沼インターを降りる頃には空が明るくなってきた。むしろ日焼けが心配なほどに回復して、幸先よいスタート。塩平から先はジャンボタクシーまでしか入れず、マイクロはだめなのだそうだ。山梨県の林道にはその様な規制があるという。ということで、しばらく舗装道路を歩く。何台もタクシーに抜かれていくのが癪だが、仕方ない。固い地面を歩くのがイヤになってきた頃、やっと自然観察路の入り口に辿り着く。大きな案内図がある。今日は雨だし、体調を考えて荷物は極力軽く、とカメラを置いてきたので写真が撮れない!

 やっと山道に入り、ほっとする。足元が柔らかい。刈り払いされているので歩きやすいが、花も刈られてしまうので良し悪しとリーダーが言う。とにかく花を探しながらゆっくり歩く。曇天で昨夜の雨もあり、林の中は湿度が高い。しかし、コケむした岩もあり何だかひんやりしていい感じだ。そこそこの登りでもあり、ペースを守って歩く。落ち葉が何層にも重なって、その下に小石があるので歩きにくい。いかにもランの類がありそうな湿気だが、見つからない。

 時々真新しい大きなベンチがあって、「お休み処」という感じで私を誘っているのだが、リーダーは勿論通過。しかし、今日は何とか歩けるかもしれない。私たちのグループ以外には誰もいない。この静けさ。木々の息遣いが感じられるような色濃い緑の中を歩いていると本当に体の中から悪いものが発散して、呼吸とともに森の息吹が体の中に染み込んでくるようだ。体が嬉しいな、嬉しいな、と言っている。

 相変わらずめぼしい花はないが、いつの間にか小鳥の声も聞こえてくると目の前に赤いものが飛び込んでくる。思わず赤い屋根の建物(→乙女高原に着いたのかな!?)かと期待させるが、何とそれは満開のレンゲツツジだった。山道も美しい花があると足取りも軽く、何だかピッチも少し上がるような・・・。そのうちに開けた場所に出たと思ったらもう乙女高原だった。

<レンゲツツジ咲く乙女高原と(元)乙女たち>by Y・I リーダー

 そこはまた別世界!レンゲツツジのオレンジの大輪の花が満開で、そこかしこに。いきなりオレンジ色の洪水に出会って、もうびっくり。白樺を抜けると今度は通路にロープが張ってあり、スズランの群生かと思うような、アマドコロの群生とレンゲツツジと、紫のアヤメもあって、もうそれは絵のような風景。

<アマドコロ>by F・T さん

実際、イーゼルを立てて絵を書いている一団が。見飽きぬ景色なれど、こういう時に限って、カメラが無い。ああ、残念無念!

 11時過ぎになっていたのでここで昼食。この景色を心行くまで眺めながらの豪華な時間。(しかし、お店の類は一切開いていない。水も食べ物も持参しなしとありつけません。)

 さて、いざ倉沢山・塩水山へ。地形図にはルートの記載がない。塩水山の表示すらない。新ハイの山行記録があるそうだが、余り人が入らない山のようだ。
 まずは舗装道路を歩いて行くと、左カーブの地点に、大きな鉄塔が聳え立っている。このあたりから山道になるらしいが分かりにくい。鉄塔真下のカーブミラーの1つ先のオレンジのポールのところをよく探すと、細い道が右へ下っている。ここが入り口だ。右は自然林、左は唐松の林と綺麗に分かれている。

 道は細いがしっかりとした踏み跡がある。そのうち笹が深くなるが、藪漕ぎという程ではない。さて、地形図では県境に沿って真っ直ぐに倉沢山へ行くのかと思ったが、山頂も近いかと思うあたりで道がなくなってしまう。そこまではテープ印があったりしたのに。あたりを探すと何と九輪草が生えている!赤い大きな花をつけている。これは大収穫!

<クリンソウ>by Y・I リーダー

 ほんの少しバックすると右手に道がついていた。よく見ればまた赤テープが巻いてあるし、何本もある細い細い流れにその都度丁寧に丸太の橋が渡してある。橋といっても、大股で歩けば跨げる流れだが、これがあるので道がはっきりする。何度も"橋"を渡ると道は大きく右へ逸れていく感じで不安になる。が、これまた左手の斜面に何本かの九輪草が咲いている。見事だ。人が入らないからこそ、こんなに残っているのだろう。ギンランも2本咲いている。

 さて、道は一気に左へカーブしてあとは倉沢山へまっしぐらに伸びている。山頂直下で道は「逆T字形」に、真っ直ぐ(塩水山方面)と左に上がる道(倉沢山)に分かれる。(どちらもテープ印あり。)左に上がると展望のない、ややこんもりとしたピークに出る。標識も何もない。ここが倉沢山のようだ。真ん中の木の枝になぜか寂びたギザギザの円盤が掛けてある。倉沢山と書いてあるのかと思ったが何も読めない。

 先ほどの道に戻って北東方面の塩水山を目指す。笹が肩ほどにまで伸びてきた。枝もうるさい。藪漕ぎになってきた。途中熊?のフン発見!え〜っと言いつつ、この大人数なので大丈夫かな、と思う。なだらかな道を歩く。そのうち右手に沢が現れて、ここが塩水沢の源頭らしい。藪が深いが、そのまま行けば塩水山に到着!

 ここは三角点もあり、目の前が急に広々と開け、伸びやかな草原という感じだ。展望も素晴らしい。1757mのピークとあって、なかなかのものである。それにしても、今日は遅れずに歩けてよかった!

 さて、往路戻る、となる。気分は軽いが笹は煩い。時々ピシャと顔に当たる。倉沢山への"分岐"(Y字の開きが狭い感じ。)を確認して(落ちていたロープを木にぶら下げてきたお陰で分かり易かった。)一路乙女高原を目指す。カッコウが鳴いている。九輪草を確認して、元来た道を辿るが時々枝道に入り込みそうになる。あれ、っと思ったら引き返してしっかりとした踏み跡を確認するしかない。が、そうこうするうちに唐松林に出て、ようやく一段落。一気に上って舗装道路と鉄塔の地点に戻ってくる。

 乙女高原で一休みしていたら、なんと雷鳴が。怖いので早く降りることにする。ゴロゴロ鳴っている。だんだん暗くなってきた。まずい!
ポツポツ来たので雨具をつけることにする。そのうちにザーっと落ちてきた。

 自然観察路は小石や落ち葉で、下りで滑りやすく気が抜けない。慎重に足元を確認しつつ、早足で歩くうちに林道に出て、あとはいやになるほど固い道を歩いて、マイクロの待つ塩平に着いた。


戻る 山一覧へ