九鬼山   2006年12月10日

コース:
田野倉駅9:15〜林道〜9:554九鬼山登山口10:05〜10:20札金峠への分岐〜10:40紺屋休場10:50〜岩場〜11:28九鬼山(970m)〜11:32分岐12:20〜杉山新道〜13:45登山口〜落合橋〜14:10禾生駅


金時山で忘年山行のはずが、雨の予報で急遽、翌日の九鬼山に変更。これはLilyさんのリクエストでもあるが、私にとっても10年ぶり、所属山岳会の初山行の山なのだ。
実は前日まで風邪気味でドタキャンか、とも心配したが、何とか歩けそうで胸を撫で下ろす。

この変更でお二人欠けてしまい残念だが、それでも総勢6名は、お久しぶりの声も飛び交って、高尾から賑やかに列車に乗り込む。

田野倉で降りると私たちだけになり、Mさんを先頭に、標識を追いながら登山口を目指す。

富士急の線路を渡り返し、板金工場の前まで歩けばあとは山に向かったなだらかに登っていく林道となる。沢沿いに進んでいくと、「池の山コース」の標識を見送って、更に登っていくと40分ほどで「九鬼山登山口」に到着。そうそう、ここは確かに記憶にある。


九鬼山登山口
今日は何だか暖かい。しばらく登れば稜線に出て、左に進めば札金峠、右が九鬼山という分岐になる。
きついアップダウンもなく進んで行くと、紺屋休場に出る。ここは開けた絶好の休憩地で、ザックを降ろすとたちまちリンゴやお菓子が回される。
私はと言えば、今日は体調が不安なので、普段持ち歩くロープその他を抜いてきて、この上もなく軽いザックだ。今日も頂く専門、ちょっと気が引ける。

それでも天気もよく、暖かく、おしゃべりしながら歩ける山は最高だ。それに、今日はY子さんが花芽をみてダンコウバイやロウバイの区別を教えてくれるのは、何より嬉しい。

落ち葉を踏みしめ、「あと20分だって」の声でまた歩き出す。ここからはルートが大きく迂回し、少しザレた道なので時々ロープが張ってある。
今日は貸切かなと思ったが、向こうから少人数のグループが結構降りてくる。禾生(かせい)から最短距離を登って、こちらへ下山してくる時間になったようだ。

何度かすれ違いをこなして、傾斜がきつくなっていく。

しかい、結構距離もありとても20分では到達しない。私の記憶ではこの先に『怖い』岩場があったはず。・・・10年前にそう感じた岩場をもう一度確認してみたい。そう思うとついついペースが上がり、とうとう「写真を撮るので」と先を急ぐ。
が、傾斜は増して尾根も少しずつ痩せてくるがなかなか岩が見えてこない。諦めて景色を眺めながら本隊を待つ。

もうすぐ着いてしまうのでは、と思う頃ようやく岩が姿を現す。・・・ふ〜ん、ここだったのか。

昨夜の雨で濡れているが、予想通り、なんでもない岩場だ。そう感じるのは進歩と言っていいのかどうか。当時は、「こんな怖いところをどうしてみんな何事もなくスイスイ登っていくのだろう!」と感じたのを覚えている。宝剣の鎖場にビビッていた頃の話だ。あれから10年・・・。

感慨に更ける間もなく、岩場が終わると待望の山頂が見えてきた。「着きましたよ〜!」と後ろに声を掛ける。
山頂は余り展望もなく、意外と人が多い。展望は少し先に良い場所があるのをみんな知っているので、さっと通過、禾生へのルートが合わさる地点のすぐ目の前に富士山が待っている。


昔は怖かった岩場
幸い時間差で、この広場を独占、全員が丸太に腰掛けて富士山を見ながらお昼。風もなく本当に季節はずれの暖かさだ。

眼下のリニア実験線は目障りだが、向かいの高川山、鉄塔の立つ三ツ峠、そして少し霞んだ富士山を眺めながらのお弁当。誰も時計を見ることなく、心行くまで時を過ごす。
だから個人山行はやめられない。

さて、と降りることになる。下りはなだらかな杉山新道へ。しばらく尾根を進み、それから降りて行くコースだ。途中にリニア実験線の展望台まである。リニアモーターカーが走行する姿を見てみたい気がするが、多分一瞬のうちに消えてしまうのだろう。

明るい落葉樹林帯と暗い植林帯を交互に抜けながら降りて行くと、分岐に出る。標識には弥生峠とあり、1号路・2号路の矢印もあるが、2号路は通行止めのようだ。「あばら沢」という名前も含め、手元のガイドブックには見慣れない名前だが、コースはよく整備されている。
ここから向きを変えてまっすぐに降りて行く。

今日は一日よい天気。足元の不安がなくなる頃には、道端の葉を見て、イカリソウが多いわね、これはシュンラン、と流石はY子さん。
そして、ツチグリ(キノコ)を見つけたのはMさん。ちょっとつついて煙が出るのを楽しんでいる。

時折イノシシが掘り返した痕があるが、出没注意!の熊の方は、きっと私たちのおしゃべりに恐れをなしていることだろう。
念のため小さなベルを鳴らしながら降りて行く。


ツチグリ
もう大分降りたかなというあたりでちょっと休憩。木の実がなっているのか、小鳥が沢山。よく見るとメジロもいる。こちらがじっとしていると、怖がる様子もなく近くの枝にとまってくれる。
他にも沢山飛び交っていて、ヒガラやシジュウカラの類のようだ。まさに野鳥の森。

落葉松のものか、小ぶりの松ぼっくりが可愛らしい。咲いている花は無くとも様々な楽しみはある。
後ろ髪を引かれながらも最後の休憩を終え、少し歩けば集落に出る。ここにもしっかりと標識がある。
あとは禾生駅を目指して舗装道路を歩くのみ。

歩き出すと川にレンガ造りの素敵な橋が目に入る。ガイドブックにある「落合橋」のようだ。これは渡らずに「めがね」をくぐっていく。誰もが写さずに入られない風情がある。それから車道に入って左に進み、禾生駅までしばらく歩く。
まだかな、と思う頃歩道橋と標識が現れ、その右手に本当に小さな駅舎が見える。前回は九鬼山から朝日小沢方面へ、植林の斜面を強行突破、足元が崩れそうな急斜面を必死になって降りたので、この駅は初めて。

幸いすぐに電車が来て、高尾までの切符を買い、大月からの乗り継ぎもよく、高尾でのちょっとした寄り道を楽しんでから家路についた。

次回はオールスターキャストで新年会をやりましょう!


落合橋

戻る 山一覧へ