国上山・弥彦山・角田山   2004年3月27日夜行〜29日(夜行1泊)

ルート:
28日 国上山(313m)〜剣が峰〜雨乞山〜弥彦山(634m)〜多宝山(633m)〜間瀬峠
29日 間瀬峠〜五ケ峠〜角田山(481m)〜桜尾根〜角田岬


 花で名高い角田山(かくだやま)にいつか行きたいと思っていたが、今年ようやく願いが叶ってIリーダーの山行に参加できることになり、この日を楽しみにしていた。
何といっても雪割草(オオミスミソウ)を見たいと思っていた。 それに、弥彦山は2度の"北海道大遠征"登山の折に立ち寄った懐かしい場所。
国上山(くがみやま)も花がいいと聞き、標高も低いし、お花見気分の楽勝登山かな〜とネットで山情報を集める。しかし、ルートがいまひとつよく分からぬままに参加。

 さて、今回もマイクロバス2台の大所帯。でも久しぶりにK子さんとも再会でき、花は先生格、ご近所のY子さんも一緒と分かり、期待と楽しさ倍増。 夜行のキツさも吹っ飛ぶ気分で満員のバスに乗り込む。途中で吹雪になったそうだが、それも気づかずに国上に到着。道の駅で身支度を整えて、国上山へ。まずは古刹「国上(こうじょう)寺」に参拝。
屋根は新しいものの、建物は大変歴史を感じさせ、圧倒的な風格を持つ、小さいながらも立派なお寺だ。


<国上寺>

ここは良寛のゆかりの寺でもある。五合庵なども見てから登山口へ。寺の境内から登り始める。(6:50)
上り口の花壇には早速コシノカンアオイの大きな花がお出迎え。さすがに古刹にふさわしく、渋い花である。ベルのように大きな花だがちょっとグロテスク。
山自体は楽と聞いているので夜行明けでも大丈夫だろう。しかし、途中をバスで繋ぐのかなと甘く考えていたが間瀬まで全行程(当然ながら)歩くと聞いて真っ青。直線でもかなりの距離がある。久方ぶりの山行なのにど〜しよ〜。

まず花の多さにびっくり。初めて見る花ながらびっしり咲いているのがオウレン。野原のツクシのようにニョキニョキ伸びている。小さな花だが、途切れなくびっしり咲いている姿は感動的。


<オウレン>

それに、カタクリがピンクのつぼみをつけている。これまた「この数を見よ!」と言いたくなる。こんなに沢山咲いている所はみたことがない。出足から大変な歓待ぶりだ。これが新潟の花の山の凄さかもしれない。早くもシャッター音が木霊する。

これから進む弥彦山が見えるがガッカリするほど遠い・・・。


<弥彦山を望む>

山頂(7:30?)で一休み、蛇崩へ向かう。崩壊が激しくてこの先は進めない?のかリーダーが引き返す。ホンの少し戻って左手へ降りていくルートに入る。次に目指したのは剣が峰(だったらしい)。この辺は全く調べていないし普通のガイドブックには載っていない。この記録を書くために再度ネットで検索し、改めて1/25,000地形図で確認しているが、246mのピークのことだろうか。)
デジカメ記録では次のようなポイントを通過している。


<標識通過8:05>

小さい山々ながら、急登・急降下を繰り返すので結構厳しい。しかし、相変わらずオウレンとカタクリのオンパレード。花の宴だ。
そのうちに、あれ?と思うとうつむき加減の白いぽってりした花。まだうつむいているのでよく分からない。・・・もう暫く歩くと、あった同じ花が。え?これが雪割草?


<雪割草(ミスミソウ)>

この先はユキワリソウの花園。白が一番多く、少し紫のものもある。大きなカメラ持参の人たちは屈みこんで一斉にレンズを向ける。しばし鑑賞タイム。


<これは少し紫色>

山によって花が変わるのは土壌のせいだろうか。今度はずっとユキワリソウ。思ったより小さい花だが可憐。
ユキワリソウとは一種の総称で、実際にはミスミソウ(三角草)、オオミスミソウ(大三角草)とスハマソウ(洲浜草)を指すようだ。葉の形に特徴がある。
時間があるのでルーペでじっくり見ると、雄しべが赤紫でとても美しい。

その先には何と初めて対面したコシノコバイモ!
これは珍しい花らしい。図鑑では見ているものの、これを枯葉の散り敷く地面の上から見つけ出すのは至難の業だ。しかも小さい花だし。教えてもらえなければ見落としていただろう。
では、ご覧ください。


<コシノコバイモ(越の小貝母)>
 あ、またあった! 


<小さな花です>

さらにはスミレも出現。


<スミレサイシン?>

スミレはほかに、天狗の鼻のように矩が伸びた、ナガハシスミレも。


<ナガハシスミレ?(別名:天狗スミレ)>

一旦下って、堰堤などを経て林道に出た。リーダーがルートを探している。この後は雨乞山を経て弥彦山へ向かう。
保安林の傾いたポールを頼りに斜面を登っていく。(10:15)
急登を終えるとまたお花畑。この頃はキクザキイチゲも真っ白な大輪の花を咲かせていて、ピンクのカタクリの絨毯と好対照でまさに絵のような美しさ。

さて、目指す弥彦山へは、地図で雨乞山と最短距離で結んだ線上の尾根を登ろうとするが、うまくルートが繋がらず、気がつくと1本西側の尾根に繋がっている稜線に出てしまった。そこには弥彦山60分という標識もあった。
計画通りに登ろうとすればもっと時間がかかりそうなので、諦めてこのルートを行く。それにしても時間がどんどん押している。思いのほかアップダウンが多くて傾斜もきついうえに、夜行明けの疲れも出始めたころだ。

それでも花はこれでもかという位多い。カタクリはものすごい数だし、今までで一番大きいのではと思える真っ白なキクザキイチゲ(菊咲き一華)。


<キクザキイチゲ>

もう楽園か天国か。・・・と言いつつも体は結構きつくなってきている。斜面では喘いで登る。雪は全くないが、用心して6本アイゼンを入れている。これが、重い。
スカイラインはまだ通行止め。時折出会う舗装道路が恨めしい。

やっとの思いで弥彦山到着!(13:15)ここへ来て初めて雪に出会った。山頂の神社は絶好の展望テラス。以前見たときとは全く印象が違う。この前は北海道山行の前で、しかも来るまで直下まで来ていたのでいわばサンダル履きで登ってきた。今回は延々国上山から歩いて登ってきたのだ。弥彦山がこんなに高いとは思わなかった。

山頂で写真を撮って、弥彦山出発。(13:45)まだ行程はたっぷり残っている。次は多宝山を目指す。雪は結構残っているが深いところで30センチ位。ザラメ状で、足元でいい音を立てている。スカイラインを横切って登り返す。まだ開通していない。最後のピーク、多宝山には三角点がある。足が疲れた。もう座り込みたい気分。

多宝山からはどんどん下る。頭はそろそろ思考停止。ただ足を運ぶだけ。いつ歩けなくなるかと心配になり始めた。それでも、あとは下るだけだから、とだけ考えて歩く。

ようやく下に舗装道路が見えて、そこへ下る。やっと山道も終わりか。
・・・と思ったらヘアピンカーブが延々続く。時々ショートカットを試みるが、イバラに顔を叩かれたりして、意外と時間は変わらない。もういい加減イヤになってきた頃、標識が現れそこへダメ押しの一言。
「え、まだこんな所?まだ1時間はあるよ。」・・・ガ〜ン。頭は真っ白。

もう足が動かないよ〜!と叫びつつもみんなと一緒に最後の力を振り絞って歩く。道端のキクザキイチゲが大きい。これだけでも普通は大歓声の美しさ、清楚さなのだが・・・。 ユキワリソウもまだ手を振ってくれる。がんばろう・・・。

間瀬峠はまだか・・・。あと少し、あと少し、と崩れそうな体を励ます。

ようやくバスが見えたよ〜!と前方で声がして、長い1日が終わる。
この立派な道路はゲートで封鎖されていて、そこにバスが待っている。予定を大幅に遅れて16:50頃着。 今日は寺泊に泊まる。夕食にはカニが1匹ついた。疲れも吹っ飛ぶおいしさ。でもカニを食べているうちに腕が疲れてきた・・・。

初めて一気飲みした、コップ(の水深?)3センチ量のビールが効いたのか、熟睡したなあ〜何時だろう?と時計を見ると11:30。
11:30??・・・ぼ〜っと数字を見ていてやっと分かった。まだ3時間しか眠っていない。でも熟睡したのだからいいや、とうつらうつらしていたら、今度はイビキが聞こえてきた。あわてて耳栓を引っ張り出して、あとは朝まで寝返りばかり。

さて、翌朝もよい天気。これが何よりありがたい。防寒ばかり心がけてきたが、かなり気温が上がる予報。昨日も暑くて、予想外に水を飲んだ。お湯と合わせると700cc位飲んだと思う。今日も1Lは絶対必要だろう。

さて今日も間瀬峠まで戻って登り始める。宿を7時に出て、7:20から早速登り始めるが、これがまた急登を絵に描いたよう。今日も長い行程が始まった。

が、なだらかになると、何とこれまた超弩級の花園。道端にまでこぼれんばかりのカタクリ。踏まずに歩くのが大変なくらい。さらには今年初めてのシュラン(春蘭)。それもあちこちに。早速カメラ隊があちこちに出動。座り込んで列を停める。ま、いっか。ついで私も1枚。これだけはじっくり撮っただけあって、まあまあかな。


<シュンランの姉妹>

このあたりは樋曽山(ひそやま)と呼ばれ、三角点もある。静かな散策路といった趣。296m三角点に着いたのは9:00。
しかし実は有名な花の名所らしく、日曜日ということもあってなかなかの人出。綺麗な花ごとに各駅停車のわれわれをどんどん追い抜いていく。
しかしカタクリだけでも凄いが、コシノコバイモもまだあるし、ユキワリソウも色が増えた感じがする。なかなかピンクや青はないが、白から薄紫、紫、濃紫へとさまざまな彩り。もう昨日から何枚も写したのに、まだまだ撮り足らない。うっとり眺めているとつい足が止まってしまう。

オウレンもまた出てきた。これは雌雄別で、雌花は紫褐色だと後で図鑑で確認した。紫の花がある!と思ったのはこの雌花だったようだ。


<オウレンの雌花>

これが実になると種が矢車状に並んで楽しい姿を見せる。以前、夏山で不思議だなあと思ったのはこのオウレンの種だったのだ。ちなみに、オウレンは別名がキクバオウレン、文字通り葉が菊に似ている。さらにセリバオウレンもあって、こちらはセリに似た葉だそうだ。

五ケ峠間近の235m三角点で10:00。しかし、角田山はまだ遠い。
ジンチョウゲに似た黄色い花を咲かせる木がある。ナニワズ(難波津)だそうだ。珍しいそうだが、ここには結構沢山見かける。


<ナニワズ>

ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属だそうで、確かに似ている。

それにしても、あまりの数の多さに感動が薄れそうでそれが怖いほど。何枚も何枚も写したのにまた見事なユキワリソウを見ては写してしまう。


ユキワリソウ

感動覚めやらぬままに、ようやく五ケ峠に降りていく。角田山登山口の1つで、すでに30台近くも乗用車が停まっている。まだ続々詰め掛けて、スペースが無いので困っている人も。さすがに人気の山だけのことはある。
しかし、リーダー曰く、「角田山では人を見に行くようなものだからそのつもりで。」・・・納得。

角田山といえばユキワリソウで有名すぎるほど。登山ルートも沢山あり、この五ケ峠コースは距離はあるが一番登りやすいそうだ。しかし、一時はユキワリソウが盗掘でなくなってしまい、地元の人が植えたという。
とにかく道は整備されている。最初は階段状の土留めを1歩1歩登る。早速コバイモまで道端に生えているが、この数からいうと植えたのだろうか?

少しあがるとユキワリソウ園のようになっていて、ここで初めてエンジに近い赤紫の花やピンクの花を見る。が、ついこれは植えたものかなあ・・・と邪念が横切る。
とはいえ、可愛さには変わりない。写真も残り枚数を確認しつつ、やっぱり1枚。

とうとう2日間で最後の登りかと思うと重い体も何とか動くというもの。それにしても、人は凄い・・・。そして、あっという間にユキワリソウ園?を抜けると見事に花がなくなってしまう。寂しい位だ。
それからまたオウレンやキクザキイチゲ、カタクリ。スミレ。

尾根をたどっていくとだんだん山頂が近づいてくる。お昼には着くだろうか。・・・それにしても続々人が登ってくる。凄い数だ。・・・ほかのルートを合わせるとようやく三方平を経て山頂へ。13:00到着。

まあ山頂に人の多いこと!上野のお花見か?!と言うくらいの人だ。しかし広いのでまだ座る場所は、ある。
東京からの団体もほかにいくつかいるらしい。地元の人も多い。地元の人は大体雪解け時期は長靴だ。便利そうだから欲しいなあと誰かが言っている。
さて、ゆっくり食事をして、30分後に出発。下りは桜尾根。一応各種ルート図には載っていないというが、歩く人は多い。灯台ルートの1本北側の尾根を降りるコースだ。山頂から少し戻るとすぐに分岐がある。
ここはユキワリソウの多さで有名らしい。前にも後にも人、人、人。しばらくはあまり花がない。
しかし、そのうちに名に恥じずカタクリの群落やキクザキイチゲ、そしてユキワリソウ。列はすぐに渋滞してしまう。まだ撮り足らない人がいる。不思議と花は見飽きることがないが。

それにしてもこんなに山中で花を見た山行は初めてだ。数も凄いが全行程ほとんど途切れないところがまた凄い。
斜面はカタクリのピンクで埋め尽くされ、大輪の白いキクザキイチゲ、時折紫の花もある。
ルートはとうとう急降下、一気に海岸へ向かう。左手には灯台コースがみえ、やせ尾根を人が歩く姿が黒く小さく見える。まさに海岸、0m地点まで降りきって2:40。長い縦走が終わった。

国上山から弥彦山を経て角田山まで、西蒲三山というのが普通らしいが、山中に時々越後三山という標識があった。ちょっと名前が大きすぎるかも。でも、標高に比べて縦走するのは相当大変なので、気持ちは分かる。
それにしても、よく歩いた。(よく歩けたものだ。)山高きがゆえに尊からず。

付録:白いカタクリ


<カタクリ(白花)>

場所は内緒です。


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