小楢山   2006年9月30日

コース:
焼山峠9:32〜10:12新道旧道分岐10:17〜(新道)〜的石〜新道旧道合流点〜10:42一杯水〜10:57小楢山11:40〜12:25幕岩12:52〜13:10小楢峠〜13:17一杯水13:25〜13:32新道旧道分岐〜(旧道)〜13:41新道・旧道合流点〜14:13焼山峠
+乙女高原散策


関連情報: 小楢山(山梨市HP)、林道情報地形図温泉

今日は山梨百名山の小楢山へ。焼山峠(やきやまとうげ)まで車で入れば超楽々コースで山頂に立てると聞いている。
今日は数年ぶりの再会となるSさんのほか、お久しぶりのMさんら総勢5名、楽に歩ける山とコースを選んで小楢山となった。

今朝の中央高速は順調そのもの。渋滞もなく、あっという間に勝沼ICへ。降りるとそこはブドウ畑の真っ只中。
わ〜おいしそう!と思った瞬間に交差点を違う方向へ曲がってしまう。あらら、と思ったが、方向さえ合っていれば標識も出てくるだろう、と戻らず進む。勝沼で降りるのも2度目、我ながらなかなか余裕である。
恵林寺に辿り着けば、その先は頭の中に叩き込んできた。最初のトンネル(牧丘トンネル)を出てすぐ左折、すぐに右折で杣口林道へ。(注:焼山林道は当日閉鎖中。)

道も舗装で、どんどん高度を稼ぎ、分岐の柳平はそろそろかと探していると、ダンプが出入りする工事現場に出くわす。H20完成予定の琴川ダムだそうだ。
ここを左折すると間もなく焼山峠。標高も高いので空気がひんやり、気持ちがいい。
比較的広い駐車場と綺麗なトイレがあるが、登山者の姿はなく、キノコ取りの人たちだけ。

ゆっくり仕度をして子授地蔵(こさずけじぞう)から歩き出す。前に来た時よりお地蔵さんが増えている、とIさん。ぐんぐん降りてまた細かく登り降りするルート。
笹やススキが穂を伸ばし、静かなコースだが、駐車場に「熊出没」とあったので、鈴を鳴らしながら歩く。

秋の花が終わり、紅葉まで間があるせいか、誰も入っていないようだ。
ハナイカリが沢山咲いている。ナギナタコウジュという花も初めて見た。
あとはアキノキリンソウ、菊が2,3種類。

枯れた葉や実を見ながら、咲いている姿を想像する。
汗もかかないうちに新道・旧道分岐に出る。まずは直登の新道を行くことにするが、ゆっくり登れば息も切れない。


ハナイカリ(花碇)

ヤマラッキョウ
登りつめたあたりに大きな岩。「的石」とある。片側がすっばり切れて平らなので、矢の的に見立てたのだろうか。
このあたりにはヤマラッキョウの花があちこちに咲いている。紫の可愛い花が集まって出来ている姿は本当にかわいらしい。

これを過ぎると先ほどの分岐からの道が合流したかと思うと、ほんのすこしで今度は「一杯水」。
余り綺麗ではなさそうだが、確かに流れ出ている。
ここで、山頂への道と、小楢峠への道が分かれる。苔むした岩や樹林の中は本当に静かだ。

山頂へのコースを登る。いくと今度は名残のマツムシソウが1輪、かわいいホタルブクロが1輪、と歓迎してくれる。

登るにつれてあたりはレンゲツツジが目に付き始める。この季節にはとても混み合うと聞くが、納得である。
もうなだらかになった道をルンルン歩くと広い山頂に出る。他に誰もいない。

残念ながら曇っていて遠望がきかないが、ワレモコウや1輪のカワラナデシコなど秋の雰囲気を楽しみつつ、東屋で早めのお昼とする。
いつもながら皆さんのザックからはおいしいものがどんどん出てくる。私は軽いのが一番と最小限しか持たないのでちょっぴり肩身が狭い。


小楢山山頂

ワレモコウ
卵焼きから枝豆までいろいろ頂きながらも、会話は弾む。実はこれが一番のご馳走。山の上で時間を気にせず話が出来るなんて。

貸切を楽しんでいると、今日初めての2人連れが登って来る。「母恋し道」から登ってきたのだろうか。
しばらくしてまた戻っていった。

さてそろそろ、と軽くなったザックを背負って今度は幕岩を目指す。ちょっとした岩登りと聞いているので楽しみだ。
小楢山峠に下りて母恋し道を見送ったあと、稜線沿いを歩く。

そのうちに前方にそれらしき岩塊が見えてきたが、分岐になり稜線を離れて右へ進む道が「幕岩はこちら」となっている。
一応それに従うが、だんだん稜線を離れるので心配になり、テープ印もあるのでやはり稜線に戻る。

すぐに岩の塊にぶつかるが、ガイドブックで読んだ鎖場も「幕岩」の表示もない。
おかしいなと思い、ちょっと偵察、と登っていくと、踏み跡はしっかりついている。そこで岩を越えながら更に稜線上を進んでいくと、どんと大きな岩が聳えている。

これこそ幕岩と思うものの、このまま登るのは危険だし、それではと基部に下りてみても鎖がない。

何度も地形図と見比べ、首をかしげる。


幕岩の基部

幕岩の鎖場
仕方なくもう少し行って降りると、岩を通り過ぎる地点にようやく標識と下から上がってくるルートを発見。
「ありました〜!ここです。」

なるほどこの巨大な岩塊の一番端に、太い鎖が垂れている。合流しているのは、分岐から来るルートだろう。
ちょっとほっとして再度地形図を眺めてあっと思う。よくよく見れば、ルートは僅かに稜線を西側に外れているではないか。

このあたりがまだまだ地図読みの力のなさを露呈しているところ。(家でガイドブックを再読すれば、ちゃんと「西側を巻いて・・・」とある。あ〜まただ。)

さて、鎖は太くしっかりしており、また足場も手がかりも十分。鎖がなくても登れそうだが、一応慎重に登る。
最後が岩のトンネルになっていて頭上注意。
これをくぐると一気に展望が開けて、右手に出られる。ここはいわばテラスになっており、足場に太い1本の溝があって、安心して歩ける。

皆さんも順次上がってきて、広いテラスにどっかり腰を降ろし、今日一番の展望を楽しむ。
まだ霞んではいるものの、近くの山並みや空が綺麗だ。


空を眺めて
広いテラスは登り口の鎖場で左右に分かれ、向こう側はずっと広くて、平らな頂上が見える。

渡って行ってみたいが、ちょっと不安定な岩場を越える必要がある。
今回は安全第一で、あっさり断念。景色に余り変りはないし。

それに、「大人数で来ていたら絶対ここには上がれないのだから、これで十分よ。」の声も。


幕岩の頂上
(行ってみたいがやっぱりコワイ)
景色につられて開放的な気分になって、一体どの位ここに居ただろうか。(実は30分近く。)

何だかとっても時の流れがゆっくりしていて、喫茶店でおしゃべりでもしている気分だ。

名残を惜しみつつも、下りは慎重に。足場を順次申し送りして確かめつつ、無事に降りて、本日のメニューはほぼ終了。岩場歩きが加わって、満足度アップ。

帰路は本来のルートを行く。一旦稜線からかなり離れるので、ちょっと不安になるかもしれない。

小楢峠に出て、今度は一杯水を目指す。トラバースなので早い。7分で着いてしまった。
ちょっと休んで、すぐにまた新道と旧道の分岐に出るので、今度は旧道を進む。的石が右手に見える。
この道は笹が深く、余り歩かれていないようだ。樹林の中でちょっと暗い感じ。

新道に比べると起伏がずっと小さいのでこれまたおしゃべりしているうちに合流点に至る。
今度は明るい林になって、唐松が黄葉の少し手前ながら、気分の良い遠景になっている。

何となくもうすぐ着くかなと思っていると、実はまだまだ登りが待っていた。
焼山峠までは結構長い。気分的にもう下る一方という思い込みがあるので、ちょっとした登り返しで汗が出てくる。
途中、踏み跡が沢山あったり、短い二又があったりして最後の長い登りを頑張れば、子授地蔵が見えてきて、やっと焼山峠。
車が見えてほっとする。やっぱりここからの登山者はなかったようだ。

さて、これからすぐそばの乙女高原に立ち寄り、もう少し秋の花を探してみることにする。


紅葉も少し。
乙女高原といえば、山の会で歩いたことを思い出す。(02年6月)あの時は塩平からずっと歩いてレンゲツツジの中に出た。それから倉沢山などに登って、雷が鳴る中を延々戻った記憶がある。

今日は車ですぐ。何となく懐かしい気がする。私はもう靴を履き替えてしまったので、散策程度に草原を歩いてみる。秋の花もほぼ終わりだが、ここにもヤマラッキョウ、マツムシソウ、ツリガネニンジン、リンドウなどが少しだけ残っている。

散策している人や犬連れの人が見受けられるが、静かだ。涼しい風に吹かれて、秋に溶け込む。
今日はとても時間が静かに流れる。


リンドウ
グリーンロッジの管理人さんとお話しする。レンゲショウマでさえ持っていってしまう人がいるとか。

珍しい花の情報を伺いつつも、流通を禁じない限り盗掘はなくならないだろうと改めて思う。どうして規制ができないのだろうか。

6月中ごろからずっと花が溢れているそうなので、その頃また花を求めて来ましょうね、と話しながらまた車に乗り込んだ。

帰路立ち寄った「はやぶさ温泉」は源泉が滔々と流れ、飲むことも出来る。休憩室が使えないのが玉に瑕だが、掛け流しで豊富な湯量には大満足。
また地元の大きな房のブドウ各種のほか、農産物も少し置いてあって、めいめい買い込んだ。

帰りの高速も順調で、いろいろオマケも楽しんだ1日だった。



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