木曽駒ヶ岳・宝剣岳   2010年9月18日〜19日

ロープウェイ千畳敷駅12:50〜浄土乗越〜(宝剣岳往復[40分])〜15:20木
曽駒ケ岳〜小屋
: 小屋6:30〜木曽駒山頂〜8:20浄土乗越〜千畳敷〜ロープウェイしらび平駅


夏の大縦走以来、展望への渇望から、楽して楽しい木曽駒へ。連休で混むこともあり、列車の旅である。
駒ヶ根に着いてバスに乗り込み、ロープウェイ駅に着き、「整理券」を求めて疾走するが、聞けば順番待ちもなく、すぐに乗車できるという。
走って損した、と思いつつ、乗車券を手に乗り込むと、あっという間に標高差950mを7分半で上がってくれる。眼下には滝もあり、なかなかの展望だが、山頂はガスに包まれている。
あ〜また?!と思いつつチケットに目をやると、大変!往復券になっている。買う方は往復と言わなかったから片道をくれたものと思いこみ、売る側から見れば戻ってくるのが当然だから、往復券を出す訳だ。
降りる前に気付いて窓口で交渉、手数料50円で事なきを得る。
降り立った千畳敷は流石に空気が冷たく、ベンチでお昼にする。曇りのせいか、観光客もそこそこ。ナナカマドが印象的だ。

やっぱりガス・・・ ウメバチソウウメバチソウ

秋の花の咲き残りを探しながら、ゆっくりカールを歩いて行く。ウメバチソウが一面に咲いているのは嬉しい。
浄土乗越に向かってジグザグに登る手前には、観光客向けの看板があり、ここから先は登山者だけという警告が書いてあるが、殆どの人は軽装で登っている。
曇りのせいで照り返しがないのは有難く、ゆっくり歩い宝剣山荘前まで来る。

宝剣岳未踏のiさんと一緒に空身で往復することにする。後のお二人は山荘前のベンチで待っていただき、ガスが濃くなった宝剣に向かうと、鎖場の向こうから男性が来るのでしばし待ってから 進む。鎖は掛け替えられ、真新しくて支点も細かく、ひっぱっても余り体が振られない。これは助かる。

宝剣の岩場

ガスのせいで足元は見えないが、絶えず絶壁を歩いていることは間違いない。慎重に歩きながら、目の前に最後の岩場と鎖が目に入るが、狭い山頂からのすれ違いが大変だ。
ようやく登りきるとやっぱりガスの中。一応写真を撮って、慎重に降り始めると、何とタウンシューズの女性たちが気楽に登ってくるではないか!!
運動靴でさえなく、スリルを楽しんでいるのか、完全に遊び感覚で、思わず厳しい口調になる。一体どういうつもりだろう。
そうでなくとも、山の初心者の滑落が多い箇所として、最近では地図でも破線のコースなのに。木曽駒よりずっと近くて、山荘からすぐだからかもしれないが、由々しき問題だ。

さて、我々は山荘に戻って、稜線を木曽駒山頂へ向かう。予定よりずっと早い時刻なのは嬉しいが、中岳を越えるのがそれなりに堪える。
ようやく辿りついた山頂はやっぱり四方ガスの中。伊那側と木曽福島側にそれぞれ立っている小さなお社に詣で、本日の宿に向かう。軽い頭痛がするが、もう山荘も目の前だ。先に行って、手続きする。

小さな小屋で、先客が食堂で休憩しているようだ。受付を済ませると、案内されたのは「カイコ棚」の2階部分。一人畳1枚分なのは有難いが、天井がいまだかつてない低さで、常に背中をかがめなければならないのは困ったものだ。おまけに、布団も湿っぽい・・・。
先客が隣で既にイビキをかいて寝ている。気になりつつも、我々も他にすることもなく、ひとまず夕食まで横になる。

5時前に「おいしい夕食が出来ました!」と声をかけられ、食堂に向かう。建物だけでなく、食事も昔ながらの山小屋という趣で、味は悪くないが、北アの洗練された食事に慣れてしまうと、ちょっと見劣りする。
食べている間に、いろいろと説明や「訓示」がある。ちょっと煩いかな、と思いつつも後は寝るだけ。明日は桂木場に降りる予定なので、ロングコースだ。早く寝よう・・・。

布団に入ると暫くして目が覚める。隣の男性のイビキが凄い。耳栓をしているものの、至近距離なので余り効果なし。
さらに、何だか胃の調子がおかしい。食べ過ぎ?いや、そんなはずはないし・・・。
うとうとしては目が覚め、体の向きを変えていると、いきなり吐き気が襲う。え?これって・・・。まさか。

結局、我慢できなくてトイレに駆け込むも、胃液すら出ず、何とか収まる。せっかくなのでドアを開けてちょっと外を覗いてみると、綺麗な夜空に月が輝いている。しばらく夜風にあたって、また寝床に戻る。これはまずいなあ・・・。 高山病は治らないだろうか・・・。

団体さんが4時過ぎに食べるというので、一斉に4時過ぎに起こされる。もうちょっと・・・と寝ていると、更に「少なくとも5時前には食べ終わってくれ」と指示される。
そこで、みなさんには事情を伝え、とりあえず5時前に食堂に行くが、やっぱり食欲がなく、戻ってもう少し寝ていることにする。

他の人たちが食べ終えて出発し、小屋は少し静かになると、30分ほど熟睡。これで随分楽になって、起きてみる。
小屋番さんは、まだ寝ていても良いというが、食堂に行くと皆さんが談笑中。ゆっくりしていて良いと言われたそうで、お礼も兼ねて、小屋のグッズを買ったら、とたんに小屋番さんのご機嫌が良くなって、すごく愛想がよいとか。

皆さんの配慮に感謝しつつ、さっきは喉を通らなかった食事の代わりに自前のパンを出し、お湯でコーヒーを作って飲みながら食べていると、件の小屋番さんが戻ってくる。
「姉さんたちがグッズを買ってくれたので助かるよ、ありがとう。」と愛想良くなった小屋番さんによくお礼を言い、食事を終え、ようやく支度をして小屋を出る。

「下界で煮詰まったら、またおいで!」とすっかり優しく、仲良くなった小屋番のおじさんに別れを告げて外に出ると、 かなりの強風、それに寒い。しかし、今日こそは視界も良好、やっと山岳展望に巡り合う。御嶽山を始め、乗鞍などもちらっと見える。

御嶽山御嶽山が大きい

結局、体調不良なので無理しないようにと言う皆さんのご配慮で、ロープウェイ駅に戻ることになり、時間の余裕もあるので 小屋の周りで写真を撮っていると、もう一人の小屋番さんが、向こうからひょうひょうと降りてくる。

「○○は見たかい?」・・・何と珍しい花を教えてくれ、私達も歓声を挙げて写す。思いがけず夏の名残りの花を楽しみ、再度丁寧にお礼を言って、まずは山頂へ。
真っ青な空とまではいかないが、360度の展望は久々だ。さあ、あとはまた中岳を越えて降りるだけ。稜線をまっすぐ戻るとツアー客やテント泊の人たちが登ってくる。今日はお天気が回復するのだろうか。風が遮られると暖かい。

宝剣岳

乗越まで来ると、宝剣の岩場に沢山の人たちが張り付いている。それから千畳敷からも、大勢の人たちがジグザグを登ってくる。今日は大変な混雑だろうな・・・。

下りは楽々だが、登ってくる人たちは当然ながら青息吐息。時折、親に連れられた小児が小さなザックを背負い、必死に登ってくる姿はなんとも可愛らしい。日辺りの良い斜面には、一輪、ハクサンイチゲが咲き残っていた。

「帰りのロープウェイの待ち時間は2時間以上です。」とアナウンス。確かに、この人数がまた降りるのだから大変なことになるだろう。
我々は、今度も待ち時間なしであっという間に下界に降りる。と、そこもまた人で溢れていた。聞けば、乗るにも目下2時間半待ちという。やれやれ・・・。


浄土乗越からの千畳敷と、千畳敷から見上げる浄土乗越

体調もすっかり戻り、バスを待ってまた駒ヶ根に。駅は閑散として、時刻表も1時間に1本あるかないか。予定より早く降りたので、切符の変更を頼もうとするが、窓口にはカーテン。なるほど、この本数では、常に窓口に座っていても仕方ないか。
実は往路のロープウェイの切符以外にもちょっとしたハプニングがあり、その解決に、この待ち時間の長さが幸いした。
変更した切符であずさもまた指定が取れ、車内で駅弁を買って楽しみながら都内に到着。お疲れさまでした。


今回は頭痛よりも吐き気に驚かされたが、やっぱり高度には弱いことを再確認。もっともこの山は一気に標高を挙げるし、小屋も3000m近い場所にあるせいかもしれない。
とはいえ、日頃の体調管理が悪かったことを自戒しつつ、優しい皆さんに感謝。


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